作家の恐怖
「今日の日刊ランキングはどうかな?」
そう言いながら僕は会社からの帰り道でスマホを取り出した。
小説投稿サイトを閲覧するためだ。
日刊七位。
「まずまずだな今回の短編は」
小説投稿サイトに投稿し続け十五年。
最近は日刊ベスト五位以内に何とか入るように成った。
それも日頃の努力のお陰だろう。
最初は酷かった。
評価されずアクセスすらされない毎日。
連載を書いても直ぐに打ち切る羽目になる評価。
感想は酷評を貰えれば良い方。
それを思えば今は良いほうだ。
そして何度も不屈の精神で書き続けた結果がこれだ。
今では連載物の一つがブクマが二千評価が四百超え。
短編はまだ評価ポイントが今ひとつなのが多いが徐々に上がり始めてる。
上達してる。
そう実感できた。
短編を書き始めて1年。
やって良かった。
「よ~~し短編を更に書き上げるか」
今日も夜更かし決定である。
深夜。
「出来た~~」
短編を書き終えた僕は背筋を伸ばす。
その時だ。
異常を感じたのは。
「何だこれ?」
無数の感想のメッセージ。
その数二千。
思わず感想のメッセージを閲覧した。
『連載の続きまだですか?』
『エタるくらいなら書くなっ!』
『こんないい加減な作品を見るんじゃなかった』
『時間の無駄』
『書く気無いなら切ります』
『いつ迄待たせんだよっ!』
馬鹿げた量の感想。
それは全て僕の連載物の中で人気の高いやつだった。
嫌な予感がした。
嫌な予感が。
投稿小説履歴を見る。
目的の連載小説を発見した。
唾を飲んだ。
緊張のあまり。
嫌な汗がでる。
心臓が煩い。
手が震えた。
連載の総合評価を確認する。
◇
数日後。
僕は活動報告で謝罪し連載の続きを書き始めた。
今度こそ読者の期待を裏切らないために。
とはいえブクマが以前の数に戻るのは何年後が想像できなかった。
……。