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IQ141のトリセツ  作者: オバケのボス
6/10

 神経質な一面を持ち合わせている少年には定期的に変化する滑稽な癖が沢山あった。

 今思えば、チック症に似た音声や運動などの神経疾患があったのかもしれない。

 少年はよく、

「ぅん、ぅん」

と、小さな声を発したり、嫌な言葉を聞くと同じ言葉を何度も何度も繰り返し念仏の様に囁いたりもした。

何かのキッカケで、気が済むまで自分の腿を幾度も激しく叩いたりしていた事もあった。

 また、机の角を全部触らなければ気が済まないとか、ある方向に歩いていけば、その同じ方向から必ず戻らなければいけないと言う、少年だけではなく、他人がそれをしても許せないと言う妙な癖もあった。

 少年が自分の背中を学校の椅子の背に当てて毎日ゴリゴリとやっていた時には、さすがに、母親から背中に痣があると病院に連れて行かれた事あったものだ。

 何かのワードをキッカケに過敏に反応したのは、ある意味、逃避機制や攻撃機制のひとつだったのかもしれない。

 その機制は欲求不満や葛藤に適応して、人が心の安定を得ようとする時に、無意識に行われる自覚することが難しい、不安を軽減しようとする心理的メカニズムだ。

 しかし、少年が大きくなるに連れて、そういった癖は徐々に無くなっていった。

 環境による心理的ストレスが多大に影響していた時期のように思うが、それについては後の章で語ることにする。

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