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IQ141のトリセツ  作者: オバケのボス
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消しゴム

はじめに


万事塞翁が馬・・・運良く生きて来た少年。

サイコパスな一面を持ちながら、なんでも卒なくこなしていた幼少期から非行に走り様々な経験をし企業を立ち上げ経営者になるなど、IQ141と言われた男の波瀾万丈、そして、奇想天外なノスタルジー。

 キンコンカンコーン、キンコンカンコーン。

小学校全体に終業のチャイムが鳴り響いた。

ここ2年生の教室のスピーカーからも同様にチャイムが流れ、生徒たちは一目散に帰る支度を始めた。

 しかし、その生徒たちの手を止めたのは、この学級の担任の先生だった。

「皆さーん、静かにして席に着いて下さい。」

一同に動揺が走ったが、しかし、そこはまだ2年生、素直に席に着く。

「今から大事なお話をします。皆さん目を瞑って下さい。」

静まりかえった教室の中で、少年は先生の次の言葉を待った。

「悲しいお話です。最近、この教室の中で消しゴムがいくつも無くなる事件が起こっています。」

 その話を聞いた途端に少年の心臓は口から飛び出るくらい拍動した。隣の女の子に聞こえるのではないかと心配をするのも束の間、

「皆さん、目を瞑って下さい。消しゴムを取った人は正直に手を挙げて下さい。」

 暫し沈黙が流れ、

「先生は誰にも言いませんよ。正直な人が好きです。だから、そっと手を挙げて下さい。」

 その言葉に罪の意識を感じた少年は素直にゆっくりと手を挙げた。

「今、手を挙げた人は正直者ですね。それでは、皆さん目を開けて帰る支度をしましょうね。それでは、さようなら。」

動揺した少年も含め、皆んなが、誰か誰かと詮索しながら出入り口に向かった。

 しかし、そこで先生の口から思いもよらない言葉が発せられた。

「あかさき君、残りなさい。」

一斉に、全員の目が少年に注がれ、少年の顔は真っ赤に火照った。

すなわち、犯人が炙り出され公開処刑されたわけだ。

少年は子供ながらに大人の嘘に騙されて罠に嵌まる体験をしてしまった。

 その後、さほど説教もされず連絡帳に、先生にこの悪行を書かれ親に見せろと言われて帰された。

家で母親にしこたま叱られて、次の日に一緒に学校に呼び出された記憶がある。

 実は、この事件は1ヶ月前に遡る。

別に貧乏だから人の消しゴムを取ったわけではない。欲しかったわけでもない。

ただ、他の生徒が大きな消しゴム、綺麗な可愛い消しゴム、香りの良い消しゴムを持っていたのが気に食わなかっただけなのだ。

現に、自宅でナイロン袋に70個くらい集めていた消しゴムは、ヤバいと思ったのか七輪に焼いて証拠は既に隠滅されていた。

 思い起こせば、これが知能犯による犯罪の第一歩だったのかもしれない。


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