裏話4 四番目の記憶
【注意】猟奇的と思われる場面があるので苦手な人はスルーしてください。
あと、まぁいつもの如く主人公がボコられてます。
これも苦手な方はスルーしてください。
それからしばらく、ディアナと2人で森をさまよった。
気配を探りつつ、奇襲をかける作戦で動いていたら思いのほかすんなりとメダルを手に入れることが出来た。
さてさて、次はどっちに行こうか。
右か、左か。
よし……右に行ってみよう。
俺とディアナはずんずんと歩を進める。
「みぃつけたぁ!」
そんな愉快そうな声が降ってきた。
そう、空から降ってきた。
同時に殺気を充てられた。
俺は咄嗟にディアナの首根っこを引っ掴んで、引っ張る。
抱き寄せて、飛び退る。
「せ、せせせ、先輩、あのその、いま授業中!」
なにやら動揺してるディアナを、荷物よろしく肩に担ぐ。
そして、さっきまで俺たちがいた場所に、人が落ちてきた。
それは、魔族だった。
20代後半の魔族の男だ。
落窪んだ目が爛々と輝いて、俺達を見ている。
「……誰だ?」
俺は呟いた。
ただの呟きだ。
教師にはいなかった顔だ。
いや、全員を知ってるわけじゃないけど。
少なくとも、この実技授業に来ている教師の中にはいなかった顔だ。
「アハアハアッハッハー♡
なぁるほど、たしかにそっくりだぁ♡」
気持ち悪い。
なんだろう。
なんか、ヤバい。
変質者だ。
こう、違法薬物でキマってる、変質者の類だ。
どうして、私有地に、それも結界内に変質者がいるんだ。
「あー、でも、」
言葉を続けていた男が消えた。
かと思ったら、すぐ近く、右下に気配が現れる。
はやいっ!!
「あの方よりは、全然だなぁ」
もう一度飛び退ろうとして、背中から木にぶつかる。
ディアナも結果として、顔面をぶつけてしまった。
「へぶっ」
ディアナから、うめき声のようなものが漏れた。
わー、ごめん!!
顔に傷が残るようなことしてホントごめん、ディアナ!
あとで龍神族のじいちゃんにみてもらうから、もうちょい我慢しててくれ!
「よそ見は、よくないぞぉ♡」
なんて言って、男の手が伸ばされ下腹のあたりを掴まれそうになる。
間一髪、俺はそれを避けた。
「あの、ここは私有地ですよ?
不法侵入になっちゃうんで、はやく出ていった方がいいですよ?」
俺は、そう声をかけつつ逃げる機会を窺う。
「思ったより早いなぁ♡
さすが、あの方の片割れだぁ♡」
しかし、男は俺の言葉を欠片も聞いちゃいない。
「で、も♡」
男が消える。
今度は、上?!
俺はディアナを投げた。
殺気を向けられた先が、俺ではなくディアナだったからだ。
「んぎゃっ」
ディアナが明後日の方向に転がる。
そして、ディアナに向かって伸ばされただろう、男の手。
それを、握っていた鉈で受け止める。
「おぉ、凄い凄い!!
そう来るか!」
男の目がさらに怪しく輝き始める。
「なら、コレはどうだ?!」
男の姿が、また消える。
そして、ディアナの方に現れる。
ちっ!
執拗いな、なんなんだよ、コイツ!!
これが実家か農業高校の山か畑だったら一思いに殺せるのに。
ここで、そんなことしたらガチで捕まる。
「こんの、やろう!!」
俺はディアナと男の間に割って入り、また鉈で男の手を防ごうとする。
と、そこで、男の顔がまた楽しそうに歪んだ。
そして、今度はもう少し上の方へ手を伸ばしてきた。
それを、俺は、空いてる方の手でたたき落とす。
持っていた鉈で牽制する。
男はそれをさらりと避ける。
「さっきから意味わからんことばっかほざきやがって、この変質者め」
男を睨みつける。
あの方云々、と言っているところを見るに幻覚でも見てるんだろう。
きっとそうだ。
男は、吐き捨てる俺に向かって、しかし楽しそうに、言ってくる。
「アハハ、そうかそうか。
お前、知らないんだもんなぁ♡
あの方のこと、なにも知らないんだよなぁ。
あの方の片割れで、唯一血肉を分けた半身だって言うのになぁ」
聞くな。
脳の中で声がした。
自分の声だ。
聞くな、聞くな。
そして、考えるな。
男の言葉の意味を、理解しようとするな!!
「とくに言うなって言われてるわけじゃなし、教えてやるよ」
男が笑う。
楽しそうに笑う。
顔を歪めて、笑う。
「俺はさ、お前のお兄様、ウスノ様の命令でここに来たんだよ」
世界から、音が消えた。
意味がわからない。
ウスノは。
もう、ずっと、前に死んだんだ。
頭では分かってる。
分かってるのに。
「……え?」
俺が声を漏らすのと、
「つぅかまぇたぁ♡」
男の言葉が重なる。
男が視界から、消える。
そして、下腹に軽い衝撃。
トン、と男が触れた。
瞬間、念の為に着ていた農業高校のクソダサジャージが溶け、腹が露出する。
そして、そのまま露出した腹を掴まれた。
かと思ったら、そこを引きちぎられた。
「っ!!!???」
肉を持っていかれ、今度は内臓が飛び出て来る。
そして、激痛。
俺は、そこで男を蹴りつけた。
男が吹っ飛び、離れた場所にあった大木に激突する。
俺は激痛とともに、体の力が抜ける。
立っていられなくて、俺は膝をつく。
破かれた腹を抑えつつ、俺は男を見た。
「動きが鈍ったなぁ♡
そうそう、あの方、ウスノ様から言われてんだよ。
お前は、誰にも愛されてないから、俺が愛してやれって。
お前は、寂しがり屋だから、ドロッドロに愛してやれってなぁ」
「ちがう、だって、ウスノは、もう、ずっと昔に死んだはずだ!!」
男がゆっくりと、こちらに歩いて近づいてくる。
俺の言葉なんて無視して、近づいてくる。
「お前が持ってる、とても大事なもの以外、ウスノ様は要らないんだと。
残りは俺にくれるって言ってたからさ。
なんなら、味見もしていいって言ってたしな」
ケラケラと男が笑う。
歪んだ笑みを、顔に浮かべている。
そして、そのまま引きちぎった俺の腹の肉塊をペロリ、と舐めた。
やべぇ、こいつ真性の変態だ。
せっかくここまでポイント溜まってるんで、どうせなら一万ポイントまでいきたいので、
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