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裏話13

 遭難者救出の日から、3日後。

 今度は糞担任から電話があった。


 『腕と足がもげたって?』


 なんで楽しそうなんだ、この人。

 めっちゃ声弾んでるし。

 ほんっと、糞だな。


 「大した用事じゃないなら切りますよ?」


 『なんだ、釣れないなぁ。

 これでも仕事回した責任感じてるから、電話したってのに』


 「そうですか。じゃ、また新学期にあいましょう。

 どうせ、クラス持ち上がりだから、先生がそのまま担任になるんですよね?」


 『まぁな。ところで、改めて聞くんだが本当はなにがあったんだ?』


 「そういったことは猟友会か農業ギルドに問い合わせてください」


 『お前の口から聞きたいんだよ』


 「……俺は言いたくありません」


 『弟に殺されかけたんだろ?』


 「違います」


 『じゃあ話せって、なにがあったのか正直にな。

 そうすれば、公的な場所での吊し上げを回避してやれるから』


 「吊し上げって、なんの話ですか」


 『いやさ、お前と直に話をして、本当はなにがあったのか証言させてやるって息巻いてる奴らがいてな』


 「は?」


 思い当たる節はある。

 二周目チート野郎と二年生達だろう。


 『生徒会長が農業ギルドとかから取り寄せた証言なんかを提示して、一時的に黙らせはしたんだ。

 でも、そいつらは自分達の中の真実を確かなものにしたいわけだ。

 お前に助けられたことに感謝なんてしてないし、そのことに納得なんて欠片もしてねぇんだよ。

 手足を犠牲にしたの、無駄になったな。

 遅かれ早かれ実力行使に出てくるぞ。

 なにせ、この前の件の二年生もそうだが、エルの方もお前に恥をかかされてる』


 「感謝云々は別に欠片も期待して無いので、どうでもいいです。

 あと。手足が吹っ飛んだのは、俺にしてみれば安いもんですよ。

 アレは二年生なんかのために犠牲にしたんじゃないです。

 それよりも俺、二年生連中のことはともかく、二周目チート、じゃなかったエルさんとやらに、なにかしましたっけ?」


 『一応未来の有力貴族候補に変なあだ名を付けるな。

 ほら、廊下でシルフィードを出してたやつ。覚えてないか?

 シルフィードの奴が、エルの寝小便のことバラした件だよ』


 「あ、あー、はいはい。

 ありましたね、そういえばそんなこと。

 でもアレをバラしたのはシルフィーのおばちゃんだし。

 精霊召喚して呼び出しくらったのは向こうの自業自得。

 俺、二周目チート野郎に対して何もしてませんよ?

 いくら二年生達に泣きつかれたっていっても、なんて言うんですか?

 逆恨みが過ぎません?」


 『だから、変なあだ名をつけるな。

 ほら、交流会の試合の枠を、お前に奪われたってのもある』


 「それは先生が俺を指名したからでしょ。

 先生がやっぱりやめたって言って、二周目チート野郎指名すればよかったじゃないですか」


 『そこは色々と事情があったんだよ』


 「事情?」


 『お前の言う二周目チート野郎は、言うほどそこまで好かれてないんだよ』


 「そうなんですか?

 学園の人気者(笑)じゃないですか」


 『そりゃ一部には人気だろうさ。でも嫌うやつの方が多いぞ。

 そもそも皆に好かれるやつ、なんていやしないぞ。

 いたらそっちの方が、ホラーでファンタジーだ。

 エルに女を寝盗られたりしてるやつもいるし。

 それこそ入学からこっち、無自覚に才能を見せつけて、ほかの奴らの努力とか、自尊心、友情なんかを踏みにじってきたからなぁ。

 お前がアイツの交流会での試合の枠を奪ったように、あいつにそうした発表の場や枠を奪われた奴らってのが一定数存在するんだよ。

 そもそも、才能をこれでもかと見せつけてきておきながら、「え、出来るのが普通でしょ。違うの?」みたいな反応されてみろ。

 いけ好かないし、顔面に一発入れたくなるだろ』


 あんたが言うか。


 『ちなみに、俺もあーいうキラキラしたやつ大嫌いだ。高校の時に同じクラスにあーいうタイプが居て、ムカついて殴ったら教師に根回しして、俺の事停学にしやがった』


 教師が言っちゃいけないやつだよ、それ。

 まぁ、顔面に一発入れたくなる、というのは物凄くわかる。

 理解できる。

 俺も入試の時にやった。

 んで、入試会場追い出されたんだよなぁ。


 『早い話が、出る杭なんだよ。

 お前の言うところの二周目チート野郎こと、エル・フォン・ファランクスって男はな。

 ついでに言うと、こいつの育ての親のことも俺は嫌いだね』


 ついでで、現代の偉人をdisんなよ。


 『賢者だなんだって持て囃されたからなのかは知らんけど、可愛いからとはいえあんな元々分別のないガキに、覚えがいいからってあれこれ危ない魔法教えてさ。

 その教えてもらった魔法で学園の備品壊しても、謝りもしねーの。

 壊してなにがわるいの? 俺なんか悪いことしちゃった? って態度がほんっとムカつく。

 そういう育て方した里親の感覚が理解できない。

 備品だってタダじゃねーんだっつーの!!』


 なんで俺、愚痴聞かされてるんだろ?


 『話を戻すが、色々事情があったってのはそういうこと。

 アイツの鼻っ柱を折る役目に適してたのがお前だったんだよ。

 選抜メンバーにお前を選んだ理由はそれだ。

 教師じゃ選抜メンバーになれない。

 他のやつじゃ、エルやその取り巻きに辞退しろって言われたら素直にそうしてたはずだ。

 でも、お前には辞退できない理由があった。

 自分の持ち物を壊されたくないって理由がな。

 加えて、強さだけなら納得させられる物をお前は持ってるし。

 下手すると、権力者への繋がりもエルよりお前の方が上だしな。

 さすがのエルでも魔王との繋がりは無い。

 チョーカーの件のこともあるしな。

 わざわざ魔王から圧力があったんだ。

 それも効いてるからこそ、いくらエルやその取り巻きたちが圧力をかけようとしても無駄に終わってる。

 まぁ、エル側が生徒会長のことをちゃんと取り込んでたらもう少し話が違ってたんだろうけどな』


 なんか、無駄に長いな。

 切っていいかな。

 でも、吊し上げとかめんどくさいこと画策されてるのは、聞き捨てならないし。


 「とりあえず、二周目チート野郎達が俺の事虐める計画を立てているのはわかりました。

 でも、それと俺の証言がどう繋がると??」


 『矛盾だらけな奴らの妄想を言い負かす補強素材にするだけだ』


 口喧嘩で勝つための証拠が欲しいってことか。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔王様が抗議してるところ。 味方はいてよかった [気になる点] 魔王様やマー君に手足のことを言ったら全力で助けてくれそうなんだけど、主人公にその気がないからな… [一言] 糞教師さん、なん…
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