裏話4
午後もそれなりに働いた。
結局魔物の襲撃は昼の一回きりだった。
日も暮れかけた頃に、農業ギルドの職員さんがやってきて罠と結界を点検、修理して行った。
その時に聞いたのだが、どうやら故意に罠や結界が壊されるイタズラ、否、事件が続いているらしい。
犯人はおそらくゴブリンだろうと言うことだった。
母親が昼に狩った魔物もこの時に引き渡しておいた。
土詰めも予定通り終わった。
翌日のことだ。
今日は従兄弟の家へ土詰めの手伝いに行くことになっていた。
替えのジャージに着替える。
昨日着ていた農高ジャージは庭で干されている。
そのため、今日は聖魔学園で支給されたジャージである。
ま、従兄弟の家は作業小屋で土詰めするから魔物に襲われる心配はないだろ。
襲われたところで、地元だし鉈もある。
朝食を食べている最中、つけっぱなしのテレビからどこぞの山でモンスターが出て登山客を襲って大変なことになっている、とやっていた。
うわぁ、大変だぁ。
ほんとに例年より被害多いなぁ、と俺はのんびり考えながら味噌汁を啜った。
そんな俺の横で、弟がバタバタとなにやら慌ただしく着替えて出ていこうとする。
訊ねると、農業ギルドから魔物の駆除の要請が来たらしい。
この時、数時間後に起こることを知っていたなら、たとえ生乾きでも農高ジャージを着ていったのに、と、俺は後で悔やむことになる。
手早く朝食を済ませ、俺も今日の現場に向かう。
従兄弟の家でハウス作りと土詰めを手伝う。
その合間の雑談で、朝の遭難のニュースについて話題になった。
なんでも、聖魔学園の生徒も巻き込まれたらしく、俺の知り合いじゃ無いのかと思ったらしい。
ここでたとえ嘘でも知り合いだと答えたら、十分後には集落全体にその情報が回りきっているはずだ。
まあ、知り合いは少ないので違うと答えておく。
順調に仕事は進み、あっという間に昼になった。
従兄弟の家で豪勢な昼食をご馳走になっていると、携帯が震えた。
学園、というよりも、糞担任からだった。
メールなどのテキストメッセージではなく、電話だ。
従兄弟と従兄弟の家族の視線が突き刺さる。
俺は、ちょっとすみません、と断ってその場を離れ玄関で、電話に出た。
「なんすか?」
不機嫌になってしまうのも仕方ないだろう。
絶対、いい電話では無い。
その予感は大当たりだった。
今朝のニュースについて知っているか聞かれ、もちろんそれは前置きで、要約すると助けに行け、という学園側からの命令だった。
ドラゴン倒して生徒を救った実績があるのだから、助けにいけ。
ということらしい。
はぁ。
気が重い。
とりあえず、従兄弟に相談しよう。
現場監督、従兄弟だし。
通話を切って、事情を説明し午後から救助に行ってもいいか訊ねる。
あーあ、これでこのこと、しばらく話題になるんだろうな。
ある事ないこと尾ひれと背びれ付きまくって。
ちなみに、従兄弟は快諾してくれた。
思ったよりも作業工程が進んだらしい。
昼食を済ませると、俺は嫌々ながら出発する。
まずは、弟にも要請を出していた農業ギルドに行こう。
あそこなら、それこそボランティアで救助行きますとか言えば転移魔法で飛ばしてくれるはずだ。




