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裏話7

 とりあえず、比較的軽傷っぽいブランの舎弟に話を聞いた。

 それによると、なんか中学時代にブランに負けたヤツらが徒党を組んで襲撃を仕掛けてきたのだとか。

 うん、ヤンキーだな。

 で、ブランの舎弟の一人があちらさんに捕まってしまっていて、助けたければブラン一人で来いとかなんとか挑発したらしい。

 これに反発したブランと舎弟達が暴れたようだ。

 かなり強い人が向こうにはいるらしい。

 んで、ブランはその挑発に乗って、別の舎弟のバイクを借りて人質を助けに行ったらしい。


 うーん、ヤンキーのそういうのはよくわからんが、アホだなぁ。


 確実に相手を仕留めるならチームで動いた方がいいと思う。

 ウルフとか群れで狩りするからな。


 「なんか俺に伝言とかある?」


 先に帰れとかそういうの、あるかなぁとは思ったけど。

 ブランの奴、頭に血が昇っていたのか特になかった。


 「そっかー」


 この間にも、けが人が次々搬送されていく。

 救急隊員の皆様、お疲れ様です。

 そうして気づけば、軽傷のヤンキーと話を聞きつけてやってきたブランの舎弟達に取り囲まれていた。


 「???」


 さて、どうするかなぁと今後の事について考えていた所だったので、さすがに驚く。

 お巡りさん達も、またなんかの集会でもやってるのか?とこちらに来てしまうし。

 とりあえず、適当な駐車場にバイクを停めるようブランの舎弟達に提案する。

 三十分程度だったら、有料駐車場でも無料で利用出来るからな。


 舎弟達は、俺の提案を素直に聞いてくれた。

 それから、話を聞いた。

 要約すると、ブランの事を助けてほしいとかなんとか、そういう話だった。


 なんでも、向こうにはヤバいくらい強いヤンキーがいるらしい。

 

 「いや、なんで俺?」


 これは当然の疑問だ。

 舎弟達の中の一人が答えた。


 「昨日の、四天王抜き見てました。

 さすがブランさんが連れてきた人だって思いました。

 噂では聞いてたんです。

 聖魔学園で、未来の右腕を見つけた話は。

 でも、人間って聞いて、正直ブランさんにはガッカリしたんです。

 日よったなって。

 でも、違った」


 うんぬんかんぬん。

 うんぬんかんぬん。


 要するに、俺なら向こうのヤバいくらい強いヤンキーに勝てるかもしれないから、倒してくれというお願いだった。

 うぇー、それってヤンキーのプライド的にどうなんだろう?

 そもそも魔族じゃん。

 魔族めっちゃ強いじゃん。

 ヤンキーで魔族で、ただでさえめっちゃ強いのに、その中でもヤバいくらい強いヤンキーと戦えって。

 無茶振りだよ。 


 「……まぁ、ブランには優しくしてもらったし。

 その恩を返すってことでいいか」


 言い訳がましいかもしれない呟きが漏れた途端、ヤンキー達から期待の視線を向けられる。

 しかし、タダでとはさすがにいかない。


 「その代わり、二つ条件がある。

 まず、俺のやり方にケチをつけないこと。

 そして、お前らも手伝うこと」


 この二つを提示する。

 郷に入っては郷に従えと言うが、生憎俺はヤンキーではない。

 抗争とかそういう喧嘩のしきたりとかマナーとかをしらない。

 だから、そっちからして見ればマンチキンで卑怯な手を使うがいいか?

 と、一応説明する。

 これを承諾出来ないのなら、俺はヤンキー達の申し出を受けない。

 お昼までまって、ブランが戻らないようなら一人で様子見に行くつもりだ。

 場所?

 調べる手立てくらいある。


 ブランの舎弟達は、少し苦々しい顔をしたが承諾してくれた。

 よし、それじゃ動くかなとなった矢先。

 あちらさんの下っ端イキリヤンキーが現れた。

 どうやら挑発というか、煽りというか、まぁこちらをバカにしに来たらしい。


 ……うーん、油断してくれてるっぽいし。

 イケそうだ。


 数秒後、下っ端イキリヤンキー達の屍(※比喩です。ちゃんと生きてます)が有料駐車場の隅に山積みになった。

 舎弟の一人にお巡りさんを呼びに行かせる。

 その間に、適当に下っ端イキリヤンキー二人を見繕い魔法袋に入れた。

 畑泥棒とか、農高時代に実技授業で遭遇した賞金首とかを生け捕りにした時に一時的に捕まえておくためにやっていたやり方である。

 これが結構重宝するのだ。

 なんかドン引かせてしまった舎弟達は無視して、俺は温泉旅行を満喫中の親父へ電話をかけた。

 

 「あ、出た。

 あのさ、軽トラって鍵ついてる?

 ん、わかった。

 そ、使うの。

 高校の知り合いがネギと大根、あと白菜欲しいって言うから、持ってこうと思って。

 ん、ん、はいはい。そんじゃ」


 恨み言の百や二百はあるが、それをグッとこらえて俺は実家の軽トラを使う許可をもらうと、携帯を切った。

 そして、今度は色々お世話なっている龍神族の爺ちゃんに電話をかける。


 軽トラを魔界へ転送してもらうのだ。

 事情を説明すると楽しそうに了解してくれた。

 ついでに、怪我人が出たら爺ちゃんが治療してくれるそうだ。

 やったね、万が一があってもこれで安心だ。

 電話の途中で、俺は舎弟にこの辺でそれなりに広い空き地とか無いか確認する。

 あるらしい。

 その座標を教えてもらい、爺ちゃんへ伝える。

 あとは、ホームセンターで材料を買わないと。

 それと、念の為に鉈と鋸も用意するかな。

 いや、農民らしく草刈り鎌の方がいいだろうか?

 ま、刃物なのは変わらないか。

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