裏話6
えー、まぁ、そんなわけで。
ちょっと頑張ったら優勝してしまった件。
観光客に華を持たせてくれたんだろうな。
おかげで二槽式洗濯機買える。
優勝が決まった瞬間、
「魔法なし、拳だけで勝ちやがった」
シン、と静まった観客席。その中の誰かが呟いたのが聞こえた。
そして、次の瞬間には歓声と怒声が湧き上がった。
怒声は賭けでスった大人達である。
人生、思い通りにいかないということを学んで来なかったのだろうか?
とくに賭け事なんて、その最たるものだろうに。
……うちの親父も、畑や田んぼのない冬とかの農閑期なんかは昼間から飲んでパチンコ打ちに行ってるんだよなぁ。
ちなみに、四天王を2人抜きした時点で司会の人に色々質問され、それに答えたのだが。
さすがに中古で芋のために二槽式洗濯機買います、と言うのはちょっと抵抗があったので、適当な答えを口にする。
と、スタッフの人が慌てたようにやって来て、俺の首に着いているチョーカーについて確認してきた。
何故か四天王さん達までゾロゾロ出てくるといった、トラブルがあった。
ちょっと怖かった。
怖いついでに、なんか見覚えのある面差しの女性が現れた。
レフィアさんだった。
そして、レフィアさんは魔王だった。
俺の人を見る目、ヤバくね?
カンストしてね?
マジで魔王だったよ、この人。
そこからわちゃわちゃと色々あったが、レフィアさんが俺のチョーカーをとってくれた。
なんでも、違法なものらしい。
そこからは、龍神族の爺ちゃんに教えてもらった、入試の時に在校生をボコボコにする時に使った身体強化魔法。
それを使って、残りの四天王さん達をなんとか倒すことが出来た。
そうそう、ラスボスが昼間の隊長さんだった。
「君、卒業後の進路決まってる?」
試合後、レフィアさんがいないところで勧誘を受けた。
レフィアさんには、首輪をとってもらった時に勧誘を受けた。
今のところ、まだ決まっていない。
のんびり考えるという、在り来りな回答をしてその場は終わった。
あ、いや、カウントダウンは参加した。
あのお祭り騒ぎは、世界も種族も関係ないなと思った。
明けて翌日。
少しだけ寝て、初日の出を見た後のことだ。
ヤンキーに取り囲まれた。
バイクに乗ったヤンキーだった。
先日の暴走族とは別の、えーと? チーム?
チームだった。
そしてマー君、じゃなかったブランの舎弟達だった。
なんでも新年のご挨拶に来たらしい。
ただ挨拶に来ただけにしては、なんというのか部外者の俺でも分かるくらい空気が暗かった。
んー、ちょっと離れてるか。
ブランもあんまり話聞かれたくなさそうだし。
俺は近くのコンビニに行ってくると伝えてその場を離れる。
これが運の尽きだった。
いや、まさか新年早々、推しの一番くじ発見するとは思わないじゃん?
で、手元には昨夜手に入れた現金があるわけで。
二槽式洗濯機を買う金は残して、ちょっとつぎ込んでしまった。
つぎ込んだって言っても、常識の範囲だよ。
ホントだよ。
クジを引いている間、やけにバイクの音が五月蝿いように感じた。
ブランの舎弟達じゃないだろうな?
笑い声も聞こえてくる。
しばらくすると静かになった。
で、頃合を見てコンビニを出たらなんかパトカーが集まってて騒然としてた。
え? え?
何があったの?
なんか、ブランの舎弟達ボコボコになってるし。
喧嘩?
そのブランはいないし。
え、マジで何があったの?
この数分で、ほんと何があったの?