表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/148

扉を叩いたのは……

***


コンコン、と。

固く閉ざされた、扉が叩かれた。

ボソボソと、扉の向こうから声が届く。

でも、小さくて誰の声なのかわからない。


「まだダメか」


アキラは言うと、ブランを見た。


「誰の声かはわかるかな?」


「女の声だ。でも、知らない奴だ」


「そっか。

じゃあ、もう少しだ。

もう少しだけ、話をしよう」


「これ以上なにを話すって言うんだ」


ブランにアキラは微笑んだ。


「あの子を世界に繋ぎ止める方法がある」


「…………」


「龍神が取ろうとした方法じゃない。

全く別の方法だ。

でも、それは最低最悪な方法だ。

きっと彼は泣くだろう。

泣いて、後悔して、それでも死ねない絶望に打ちひしがれる。

そんなことになっても、君は彼に生きてほしいかな?」


「…………だ?」


「うん?」


「どんな方法だ?!」


ブランは、アキラの胸ぐらを掴む。


「答えになってないよ。

君は彼の生を望むかい?」


「ふざけてんのか!!」


その返しに、アキラはニコニコとやっぱり微笑んだ。


「あはは、うん、ふざけられたらきっと幸せなんだろうなぁ」


そんなふうに返してくるアキラの表情を見て、ブランは言葉を失った。


「……っ」


あまりにも、似ていたから。

彼に、ヤマトに似ていたから。


「なんなんだよ、お前。

なんで、アイツに似てるんだよ」


「……似てるかなぁ。

似てないと思うよ。

俺と彼は別人だもん。

でも、君は俺の家族によく似てる。

けどモヒカンは無いかなぁ。ダサいよ、あれ」


「ダサ、い??

カッコイイだろ」


「うわぁ、センスヤバいね。

それなんとかした方がいいよ。

俺の家族は少なくとも君よりセンス良かったよ。

似てるけど、君はやっぱり俺の家族じゃないね。

当たり前なんだけどさ」


どこか楽しそうに懐かしそうに言って、アキラは自分の胸ぐらを掴んでいるブランの手に触れた。


「うん、もう大丈夫だ。

それじゃ、あとは頼んだよ?

俺は寝る」


その言葉は、しかしブランに向けられていない。

扉に向けられていた。

扉の向こうにいる、誰かに向けられていた。


「あ、入っていいんすね?」


その声にブランは扉を見た。

扉が開く。

同時にアキラが言ってくる。


「最低最悪の方法は、きっと彼を、ヤマトを絶望させる。

いいんだね?本当に??」


「クド…い」


ブランの言葉は途中で止まる。

アキラにヤマトを重ねてしまう。


「等価交換、代価、なんでもいいけど。

君がちゃんとそれを支払えると信じてるよ」


そう言って、それからなにか思い出したらしく、こう続けた。


「あぁそうだ、もう一つ、いい事をおしえてあげる。

年越しのドタバタ、覚えてるかな?

あの時、彼は君に対して誓いはおろか、契約すらしていなかった。

これがどういう意味か、君ならわかるはずだ」


「!!」


ブランの瞳が大きく見開かれる。

そんなブランを見て、でもそれ以上アキラはなにもいわなかった。

彼の目の光が消えて、人形のように動かなくなる。

それと同時に、誰かが部屋に入ってきた。


「ありゃ、寝ちゃったかぁ。

ま、いいや。

ようやく会えたな、マー君?」


振り返る。

そこには、見知らぬどピンク色の髪をした美少女が立っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うわぁ終わらずに2ヶ月放置されてるぅぅ 次読んだときには名前忘れてるって
[一言] んん?ピンクゴリラ?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ