表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】  作者: カズキ
スレ民はにはお見通し♡
113/148

裏話19 口喧嘩 後編

最終ラウンド、( っ °、。)っパタッ

というか、母親には逆らえない、みたいな話です。

 思い出されるのは、スレ民から教えられたこの1年間の事実。

 ヤマトが死にかけ続けた、記録。


 俺の言葉に、ヤマトの目が見開かれる。

 しかし、すぐに伏せられた。

 そして、返ってきたのは、


「……か?」


「あ??」


「言いたいことはそれだけかって、聞いてんだよ!!

 このお節介野郎!!」


 そんな怒声と拳だった。

 え、お前がそれ言っちゃうの??

 自分のこと棚上げにして、それ言うかぁ。そうかぁ。

 殴り飛ばされる。

 こんの野郎、怪我人だとおもって下手に出てりゃつけ上がりやがって。

 口の端が切れた。

 いや、中もか。

 血の味がする。

 手の甲で口の端ヲを拭い、立ち上がる。

 決めた。

 泣かす。

 ぜってぇ、こいつの事泣かす。


「お節介野郎?

 俺が?

 そりゃお前だろ、お節介の上に死に急ぎ野郎じゃねーか!!」


 俺はヤマトに飛びかかった。

 そして、殴り合い、怒鳴り合う。


「俺はいいんだよ!!」


「良くねーよ、どういう理屈だ!!」


「俺が自由に出来るの、それくらいしかねーんだよ!!

 自分の体くらい、好きに使わせろ!!

 命令すんじゃねーー!!!!」


 寮母さんが間に入ろうと動いたのが見えた。

 と、そこで、やけに明るい声が降ってきた。

 互いに胸ぐらを掴みあって、同時に拳を叩きつけようとしていた俺たちの動きはピタリ、と止まった。


「やっ君、お久しぶり~。

 シルフィのおばちゃんですよ~。

 って、ええええ?!?!

 どうゆう状況??

 二人とも、喧嘩??

 ちょ、ノーム!?

 お目付け役でしょ、なにやってるの?!」


 シルフィードだった。

 シルフィードは虚空に向かって叫ぶ。

 だけど、反応が無かった。

 寮母さんも、前ぶれなくシルフィードが現れたために驚きを隠せないでいた。

 それは、ヤマトも同じだった。

 来ること、聞いてなかったんか、お前。


「あ、あら??

 ノーム???

 え、いないの??」


 おかしいわねぇ、とシルフィードは呟く。


「おばちゃん、ちょっと後にしてくれない?

 ブランとの話し合いが、まだ終わらないから」


 ヤマトが俺の胸ぐらを掴んだまま、そして俺を睨みつけたまま言う。

 俺も俺で、ヤマトの胸ぐらを掴んで、同じようにヤマトを睨み返しながら、


「すんません、少し時間もらいます。

 話し合いの決着がまだなんで」


 そう言った。

 シルフィードはそれを聞いて、呆れたように聞いてくる。


「あのねぇ、君たちのは話し合いじゃなくて喧嘩でしょう??」


 そこで、妙な威圧が向けられた。

 威圧の主はシルフィードだった。

 彼女は絶対零度の微笑みを浮かべ、ヤマトを見た。


「ヤマト、お友達は叩いちゃいけないっておばちゃん、教えなかったっけ??

 どうだったっけ?」


 あえてヤマトと呼んでいるところに凄みがあった。

 俺は実家の母さんを思い出した。


「ヴっ」


 ヤマトが変な声を出して、俺の胸ぐらを掴んでいた手を離した。

 あぁ、逆らえないのね、お前。


「はい、お友達の方も手を離して、ね??」


 ……うん、逆らえないな。

 怖いもん、この笑顔。

 声はとても優しいし、なんなら逆らったところでどうって事ないだろうと思う。

 でも、ダメだ。

 これ、逆らうとめちゃくちゃ怒られるやつだ。

 うちの母さんと同じ笑顔だ。


「よしよし、いい子いい子。

 二人とも、いい子いい子」


 なんて言ってシルフィードは、ヤマトと俺の頭を撫でる。

 けれど、バツが悪かったのかヤマトはその手を払い除ける。

 そして、


「頭冷やしてくる」


 なんて言って、談話室から出ていった。

 それを寮母さんが追いかける。

 その後姿を、ふよふよ浮かびながら見ていたシルフィードが、


「反抗期かしらねぇ」


 なんて呟いた。


 俺も段々頭が冷えてきた。

 だからか、この【話し合い】でのやらかしに自己嫌悪に陥る。

 ただ、事情が聞きたかっただけなのに。

 アイツの置かれてる状況が知りたかっただけなのに。

 どうして、あんな強行手段を取ってしまったのか。

 不意にポケットに手を突っ込むと、携帯に触れた。

 そうだ、報告しないと。

 混乱する頭で、俺は助言してくれた人達へ報告を書き込む。

 なんとなく、怒られるのが嫌でアイツが勝手にキレた、と書いてしまった。

 なに、やってんだろ、俺。

 ふと、シルフィードを見た。

 ダメ元でシルフィードにも聞いてみるか。


「あの」


 俺はシルフィードに声をかけた。


「なぁに??」


「その、ヤマトの怪我ってどのくらい悪いんですか??」


「どのくらい??

 んー、そぉねぇ……。

 悪化したら、私たちでさえもう二度と会えなくなるくらい悪いわねぇ」


 シルフィードは話せるのか??

 なんで??

 いや、それよりも言い方はマイルドなものの、その意味するところは理解出来た。

 やっぱり。

 シルフィードは、さらに続ける。


「だから、そうならない為に君とももうすぐバイバイしなきゃいけないのに。

 喧嘩するなんて、あの子らしくないわね」


「……え??」


 なんの、話だ?


「それって、どういう意味っすか??」


 シルフィードがキョトンとしつつ、俺を見た。

 その時だ、談話室から出ていったヤマト、アイツを追いかけた寮母さんの悲鳴が上がった。

 シルフィードが顔色を変えて、そちらに向かう。

 俺も手早くスレ民に現状を報告し、それに続いた。

 ヤマトと寮母さんが居たのは、談話室を出てすぐの廊下だった。

 そこにヤマトは倒れていた。

 血を吐いて、傷が開いたのか腹からも血が服に滲んでいた。

 その顔色は青白く、死者を思い出させた。

 瞼は薄ら開かれているが、そこにはなにも映っていない。

 そんなヤマトに寮母さんが必死に声を掛けている。

 しかし、意識は無いようだった。

 俺は、アイツの名前を叫んだ。


「ヤマト!!??」

せっかくここまでポイント溜まってるんで、どうせなら一万ポイントまでいきたいので、


・面白かった

・続きが気になる

・主人公には幸せになってほしい


そう思ったら【☆☆☆☆☆】をタップしてください。

広告の下あたりにあると思うので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 俺が自由にできるのはそれくらい。自分の体くらい好きに使わせろ これまた意味深な……ここ数話意味深な台詞が多くてワクワクしちゃうね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ