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【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】  作者: カズキ
スレ民はにはお見通し♡
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裏話16 農高でこき使われたブランの話

 ここに来る直前、ヤマトから血の匂いがした。

 てっきり傷が開くかなにかしたものと思っていた。

 けれど、見る限りアイツは普通だった。

 普通に立って歩いている。

 その両隣には、同じように汚れているものの元気そうな男子が二人。

 その男子たちと、ふざけながら、笑いながら歩いてくる。


「あ、いたいた。

 どうでした、ブランは?」


 ヤマトがこちらに声をかけてきた。

 声を向けられたのは、リィエンだった。


「んー、まぁまぁ??

 魔法ってのはすごいねぇ、あやかりたいわ」


 リィエンはそう答えた。

 魔法よりもステゴロでサイクロプス倒す方が、普通に凄いと思うんだけどなぁ。

 俺が変なんだろうか??


「あー、そうだ一つ訂正しておくと、私生徒会長になったんだわ」


「知ってます、キーリたちから聞きました。

 凄いですね、あの風紀委員をぶっ飛ばしたってことでしょ?」


 なんかとても物騒な会話が始まった。

 どうして、風紀委員をぶっ飛ばすことが生徒会長になることに繋がるのだろう。


「プラス、先輩後輩合わせて100人抜きしたよ。

 去年の秋にね」


「おお、凄い!

 先代生徒会長に勝ったってことですね」


「なんとかねぇ」


 100人抜きして、先代の生徒会長に勝つ??

 ……農業高校には、俺の知らない慣習があるんだなぁ。

 途中で俺は思考を放棄した。

 ぼんやりと、ヤマトと旧友たちのやりとりを眺める。

 と、そこで気づいた。

 リィエンが、ヤマトを見ながら不思議そうな顔をしている。

 そして、それとなくタケルや、ヤマトの友人たちを見て、考え込んでしまう。

 その間に、掲示板を確認した。

 やり取りをしていると、実況者名義でレイドまで現れた。

 とりあえず、ある程度の助言をもらって、一時的に掲示板から落ちた。

 リィエンが丁度、会話を切り上げて何故か俺を見てきたところだった。

 目が合った。


 そして、


差し入れ魔族(ブラン)君、ちょっと、大事な話がある」


 なんて言って、俺の方へ来ると腕を捕まれ、連行されてしまった。

 生徒たちから離れた場所に来ると、難しそうな顔でこう言ってきた。


「成り行きとはいえ、ヤマトが君をここに連れてきた。

 そして、君を私たちに託した。

 それだけ、ヤマトにとって君が特別なんだろう。

 でも、その時に、違和感があった。

 どんな成り行きで、君がここに来たのかは知らない。

 聞く気もない。

 けれど、ヤマトにとっての特別枠かもしれない君に確認しておきたいことがある」


 リィエンはそう言うと、いまだこちらの友人達と楽しそうに笑いあっているヤマトを一瞥した。


「彼は、何に巻き込まれている??」


「………」


「君はなにか知っているか??」


「……どうして、そう思うんですか?」


「質問を質問で返されるのは好きじゃない。

 が、そうだな。

 たしかに不思議だろうな。

 自分でいうのもなんだが、私とヤマトは似ているところが多い。

 特に、育った環境とか諸々だ。

 まぁ、私にはさすがに【龍神様の後継者】になれるような器も才能も無かったけれど。

 とにかく、そんなわけでヤマトもそうだが私も鼻がいいんだ。

 ヤマトのやつ、怪我をしてるだろう??

 血の臭いに混じって、魔法に似た臭いがした。

 たぶん、呪いだ」


 ドクンっと、心臓が大きく嫌な音を立てた。

 ヤマトの腹の傷が呪いかもしれない。

 それは、スレ民たちが考察したものと同じだったからだ。

 いや、リィエンのそれは考察ではなく、実際にヤマトと話して体感したことだ。


「あのヤマトが易々と怪我をして呪いを受けた、なんて信じられないし、ありえない。

 アイツは、この私と唯一渡り合える人間だ。

 けれど、現状としてアイツは怪我をしているし、呪いを受けている」


 ドクンドクン、と。

 心臓がうるさく鳴る。


「なぁ、ヤマトに何が起きている??

 ブラン君は、それを知っているんだろ??」


 どこか確信を持っている、問だった。


「……それは」


 言うべきだろうか?

 ここは、この人は、アイツが信頼している人だ。

 そして、たった1年だけだけれど、先輩だ。

 なによりも、一目見てヤマトの置かれている状況を察することができた。

 誰も教えていないのに。

 なにも知らないはずなのに。

 俺が迷っていると、ヤマトが俺を呼んだ。


「ブランー!

 腹ごしらえしたし、もう帰るぞー!!」


 そこでリィエンが嘆息する。

 そして、俺の手を取ると、サインペンをどこからともなく出して、その手のひらにサラサラとなにか書いた。

 数字だった。


「私の携帯の番号だ。

 なにかあったら、連絡してくれ。

 今日の手伝いのお礼に、力を貸してやる」


 言いつつ、今度は俺にサインペンを渡してくる。

 そして手のひらを見せてきた。


「君の番号を登録するから教えてくれ」


 言われるままに、俺は自分の携帯番号を彼女の手のひらに書いた。


「なんか、ありがとうございます!」


 礼を言う俺に、リィエンはヒラヒラと手を振った。

 そして、俺たちは寮に戻ってきた。

 同時に、抜け出したことが担任にバレていて、二人揃って寮に軟禁されることになった。

 さらに、ノームと駆けつけてきた龍神様からの説教が追加された。

せっかくここまでポイント溜まってるんで、どうせなら一万ポイントまでいきたいので、


・面白かった

・続きが気になる

・主人公には幸せになってほしい


そう思ったら【☆☆☆☆☆】をタップしてください。

広告の下あたりにあると思うので、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] まーくんは説教される理由が無いでしょう。申し送りを怠ったノームが悪い。ヤマトは諸々ガッツリ叱られなさい
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