家路2
「それでね、これがあなたに渡したいもの。」
ベッドの傍らに美しい裸体を晒して座り、髪をとかしている女が言った。
(あ、ああ、なんだっけ・・・・)
飲み過ぎでぼうっとした頭で記憶をたどる。
そう昨日は信じられないことに「うまくいった」のだ
ユキという彼女の名前を思い出す。
「こ~れ!」
昨日の妖艶な雰囲気とはうってかわり
どちらかというと少女のような笑みで、ヤクを後ろから抱きかかえた。
想像より小柄な身体が密着し、胸の膨らみが背中を程よく刺激する。
手には名刺を持っている
(そうだ、まずい、逃げないと)
昨日の記憶、、、
あのあと、常連連中と大盛りあがりしたあと、
ふと見たらユキはいつの間にかいなくなっていた。
少々残念に思いながらも、帰る道すがら
ユキが現れたのだ。
「あのね、受け取って欲しいものがあるんです。 何でも願いを叶える魔法のアイテム」
(そうだ、ユキちゃん、やばい人だ)
(待ち伏せ、予言、プレゼント、数え役満だったじゃないか、しかも初対面)
過去にメンヘラ女にひどい目に合わされた経験が頭をよぎる
「あ、ユキちゃん、おはよう、えっと・・なんだっけ・・・」
「だから、こ~れ!覚えてないの?ヤラしてくれたら受け取るって言ったの?」
そうだ、そうだった。
メンヘラ数え役満の、夢のような美女だから
ヤラせろって言えば手っ取り早く追っ払えるとおもったんだ。
ヤクの予想とは裏腹に、ユキはヤクをの手をとって、近くのホテルに入っていったのだった。
「受け取ってね、約束だからね」
もう欲望には逆らえなかった。いかに欲望を満たし、逃げるか。それだけを考えながら
部品の多い非対称の妖艶な服の下に確かにあった
期待以上の、白く柔らかい肌と、抗う理性を打ち消す香りを思い出す。
「あの、、おれ、今日午後から仕事だから、、」
「そうね、はやく帰ったほうが良いわ。連絡が来ているはず。でも逃げなくていいのよ、私メンヘラじゃない」
「それは、、」
ヤクがいぶかしげに言い終わる前に
「あなたのことは大体聞いててよく知ってるの。私の役目はそれを渡すこと。
待ってたんだけど、お友達とずっと喋ってるんだもの。
もしかして女より男がすきなのかなっておもっちゃった。」
「え?」
わけがわからない。
ユキは俺を知っていた?俺の行きつけのバーも?女性を片っ端から口説くことも・・・
まだ夢がさめていないのかと疑いながら家にたどり着いた。
携帯がなった。ルクの彼女からだ。
「おはよう、どうしたの?」
「ヤクくん、、、ルクが、、ルクが死んじゃた、、、、、」
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