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コチョウラン

作者: kinoty


僕はきみの声にひかれていたんだ。

きみは声優をめざしていたね。その声なら誰もがひかれるはずだ。でも僕は、歌手のほうが似合うと思った。その綺麗な声で、是非歌ってほしいと思った。


きみが、事故にあった。その事故で、声がだせなくなった。僕は、きみが一日中泣いていたのをしってるよ。でもきみは、めいっぱいの笑顔で大丈夫だといった。そのときに、きみにたくさんの幸せをわけてあげようと誓った。


僕は毎日きみの病室にかよった。そこでたくさんの楽しいお話をした。僕がたくさん話した分、きみもたくさん笑ってくれた。それがなによりも嬉しかった。


今日はきみに会いにいくのが遅くなっちゃった。きみが喜ぶとおもって、誕生日ケーキをかったんだよ。でも、きみはもう寝ちゃってたから、ここにおいておくよ。明日たべてね。


とても綺麗な場所をみつけたんだ。まるできみの声を可視化したような場所だった。本当はだめだけど、きみをそこにつれていく約束をした。きみはとても嬉しそうにありがとうといった。


今日は約束をした場所に彼女をつれていった。とても儚くて、広大なお花畑だ。どう?ときみに訊ねたら、きみは泣いていた。なぜか僕もつられて泣いた。そこの花は、きみの病室に活けてあげた。まるできみが二人いるみたいだった。


夢をみた。歌っていたんだ、あのお花畑で、なつかしいあの声で。それを伝えたくてきみに会いにいった。とても嬉しくて、とても愛おしくて。


きみはいなかった。あの花だけを残して。誰もいないベットで、僕は泣いた。一日中泣いた。最後に、またきみの歌う声が聞こえた気がした。僕は、とても大丈夫とは、いえそうになかった。









___きみが事故にあった。


意識不明の重体、私は毎日病室にかよった。意識のない彼に、たくさんお話をした。お誕生日も祝った。綺麗なお花もあげた。どこかしら、彼が笑っているように見えた。


彼の為にバラードをつくった。きっと歌うと素敵だよといってくれた彼に、私の歌を伝えた。病室に私の声が拡がった。

歌っているとき、彼は泣いていた。私も泣いた。でも、歌うのはやめなかった。いつまでも、いつまでも彼に歌い続けていたかった。


歌がおわった。静寂があたりをつつんだ。彼の心音とともに、音はとまった。



私は歌手になったよ。ずっと、ずっと歌い続けるよ。あなたの為に、私は、ずっと.....。

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