はじまり、はじまり。
トラック事故と転生ではチート、といっても、じいちゃんが美形王族ってくらいで俺には特に恩恵がなかった、よなあ?
しいていうなら、愛する彼女ができたのち、転移にもついてきてくれたこと。
絶対彼女と結婚する!
前作、じいちゃんばあちゃん、そして俺も転生?!からの続きものになっています。
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『じいちゃん、ばあちゃん、さようなら・・・。』
みんなで過ごした世界が霞がかかって消えていく。
光の女神たちが、俺たちの周りをクルクルまわる。
『ラルト、そしてミーシャ。あの世界があなた達の救いを必要としているところです。』
『魔王を倒し、あの世界を救ってあげてください!』
そう言って指さす真下。
『『ファイトですよ!おじさん!』』
『え?おじさん?』
問いただす間もなく、急に足元が消えて、俺たちは落下を始めた。おいー!!
不思議な光の女神たちによって、俺と彼女は新しい世界へ旅立った。
ワアアアアアアアアアアアア!!!ガヤガヤ!
とても騒がしい。
落下したと思ったのだが、俺たちは床の上に倒れていた。
慌ててミーシャを抱き起すが、まだ気を失っていて目覚めない。
が、ある異変に気が付いた。
え?何コレ。
ミーシャさんの頭に、ちょこんと猫の耳のようなものが。
可愛すぎだろう?俺は可愛すぎてめまいをおこした。
そこへ、誰かが長い裾の衣擦れ音を立てて俺たちに近づき、声をかけてきた。
「勇者よ、召喚にこたえてくれてありがとう!」
俺は彼女を落としそうになった。
なぜならその、神官らしい服装の人が毛むくじゃらの、大柄なまるでゴリラだったからだ。
いや、ゴリラが神官だ。落ち着け。うん。ゴリラだ。イケメンだな!
「えっと、ここはどこなんです?」
俺は、初めての異世界転移で気が動転してへらっと笑うしかなかった。
いやまて経験のありなしじゃないな。
「ここはマール星大帝国ゲンジュウ国である。そなたらはこの星の危機により、古の召喚を行い現れた勇者である。この召喚魔法陣より出でたのが、なによりの証。」
俺たちの真下の床を見ると、不思議な文様で描かれた魔法陣がある。
なるほど、この異世界・・・魔法がありやがるんだな!少しだけ背筋がわなないて、ワクワクした。
じいちゃんとばあちゃんと転生した世界は、平和だったからなあ。
あと少しで、俺たちもめでたしめでたしというところだったのに。
あの光の女神とやら、次会ったらとっ捕まえて一発かましてやる!!
「勇者よ、ぜひ王様の話を聞いてほしい。もちろん、そちらの女性が起きてからでよい。召喚にて体が疲弊したのであろう。だれか、この者たちを客間にてもてなせ。」
ゴリラ神官は周りのものにそう言い渡して、下がっていった。
良く見渡すと、たくさんの神官風、兵士風、書記風、侍女風・・・と人々がいるのだが。
ああ、ここ『獣人』の異世界なのね~~~!なるほどなるほど。
獣の風味を残した、二足歩行の人間しかいなかったのである。
そういうアニメ、見たことある~。俺の順応力も大したもんだと自分で自分をほめていたら、ミーシャさんの目がぱっちり開いて、俺を凝視した。
そして彼女は、俺の頭のを指差して悲鳴を上げた。
「きゃあ!!な、ツノ?!え?ラルト君?!」
俺も、何かの獣になったというのか。なんだろう?
そっと指差された頭をさわる。
両方からぐるりと渦巻くざらりとした感触の角が。
んんー?なんだろう?角の下には小さ目の三角の耳。
「ミーシャさん、目覚めて早々なんだけど、俺、何に見える?」
彼女は俺の声を聴くと一層驚いたのか、スカートの後ろから出ていた尾っぽがボッと膨らんで、
「その声やっぱりラルト君!!!・・・え?え?ひつ・・・じさん?ええ?私、、、?」
ひつじ。ふわふわでめーめー言うやさしいイメージしかないんだけど!勇者っていってたよな?あれれ。
そのそばで、自分に生えてる尻尾をみて、驚愕するミーシャさん。
「あの、勇者様、一度ゆっくりお休みなさいますか?」
おずおずと、犬っぽい侍女さんが数名こちらを伺ってきた。
俺たちは見つめ合って一度落ち着こうと頷きあった。
できれば姿を見られる鏡などを手配してほしいと伝えて。
さて、この世界ではどんなことが起きているのやら。
やっと本来書きたかった話を作れます。
文章の書き方は、いろんな方を参考にしました。
前作を読んでくださった方、続けて読んでくださってありがとうございます。
更新頻度はまちまちですが、今回も楽しい書き物ができたらとおもいます。
よろしくお願いいたします。