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400文字小説

東京のせいにして

作者: 船生龍之介

 味噌汁が吹きこぼれてコンロにジュウジュ

ウと音を立てたのは、母が交通事故にあった

と電話で知らされているときだった。

 わたしはコンロを掃除し、明日の準備をし

て、一人六畳の部屋でこたつに寝転がった。

片付ける場所がないので、冬でも夏でもこた

つはそこにありつづけるのだった。わたしは

横になったままスマホを手に取り、母が事故

にあったことをSNSで誰にともなく発信した。

それに対するリアクションは世界のどこから

も返ってこなかった。母を心配する気持ちを

誰かに肩代わりしてもらうわけにはいかない。

そんなことに今更気付いた。

 命に関わる怪我をしたわけじゃない。こっ

ちのことは気にしなくて良い、と父は言った。

 アパートは相変わらず静かだった。今日に

限って違うことといえば味噌汁の焦げた香り

がほんのすこしばかりするということだけだ。

それもすぐに気にならなくなるだろう。

 夜が明けてもここは東京なのだから。

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