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あの腕は、君の

作者: 鍵尾加子

第二ボタンは血に塗れずに済んだ。


だからこれだけは無事に君にあげられるね。


そうつぶやいた僕の顔から、急に血の気が引いていく。


僕のYシャツは赤い染みを吸い込んで、白の面積がゆっくりと目減りしていっている。

僕のYシャツにはどうしてこんなに大きな染みがついているんだろう?


不思議だ。


不思議といえば僕はどうしてこんな見知らぬ部屋にいるのだろうか?

さっきまで放課後の教室で、君の席に座って、背を丸めて頭を机の上に載せていたのに。


ベッドには、ま白いタオルが置いてある。

それを手に取って、腹部にあてる。


そのままベッドに横たわった。

タオルを支えている手に、冷たい感触が伝わってきた。

腹部を見やると、白いタオルにも少しづつ鮮やかな赤が浮かび上がってきていた。


教室での記憶を辿ってみる。


頭を机に載せて、耳をぴったりと机の表面にくっつけて、

目を閉じて君のことを考えていた。


その姿勢だと、ちょうど夕日が目を射すので、目を閉じていても眩しいくらいだった。

じっとしていたら急に、目の前に夕日が迫ってきたみたいに、眩い光が真っ赤にひらめいた。

腹に熱さを感じて目を開け下を見ると、

机のおなかの引き出しから、家庭科の時間で使うような包丁がにょっきり突き出していたんだ。

あの腕は、

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