雪道を
雪道を一人歩いていた
先週ほどに、一度雪が降ったが、其れ以降雨も降ることがなかったから
一週間前の雪なのであろう、それも、杉に囲まれた、日陰の多いこのみちならではと言うべきなのかも知れない
僕の周りでは、先ほどから膝元で、揺れている、鈴が、鳴り響く以外に
木から落ちる雪や滴の音がしている
「あーーー」何となく景気付けに、叫んでみるが意味など無い
ただ、空しいという感情も、そうで無いという感情もなく
いつの間にか歩く、そして、また叫ぶ
5分ほど山道を歩いた頃だろうか、僕は、道に足跡があることに気がついた、其れが、不鮮明だとか、だったら、それほど気にする必要性もなかったのかも知れないが、しかしそのときの僕は、其れが、比較的新しいことと、もう一つ、明らかに神社に向かうこの道を、獣のような物が歩く足跡を発見したのだ、その明らかに、しかやウサギではない物に、狸や狐かと思ったりもしたが、しかし、最終的に、犬だろうと思った、さすがに狼という考えは、浮かびはした物の、現実味を帯びず、犬という最終結果を出した、しかしどうだろう、こんな道を犬が歩けるものだろうか、一応、全ての道に石が引かれている丁寧な作りであり、昔は、すごくにぎわったとか、しかし今では、日に二、三人が上るほどであり、そこまでの華やかさはない、僕はそんなことを考えるも、足を止めることなく、雪道に足を滑らせないように歩く
20分30分
僕は歩き続けた
相変わらず、靴の足跡と犬と思われる足跡は続いている
途中途中カメラで写真を撮りながら進む
近頃、ポストカードに何か良い写真はないかと言われ、そう言う人様ように見せる物をとらない僕は、仕方なしに、このしがない街の数少ない名所(自称)に向かったわけである、本当は、その話を聞いたとき、どうもからだが疼き、居ても立っても居られず、本来、余り朝が強い方ではないが
昨晩はやく寝たこともあり、比較的はやめに起きることに成功した
「あーーー」
なんとなしに、また叫んだ
誰もいないから出来ることだ
先ほどから人の気配はない
足跡はあるが、もしかしたら昨日以降の物かも知れない
今だって、そう遅い時間帯ではない、其れ以上はやく登る人間が居るとも思えなかった、相変わらず、鈴が鳴っていた
「いやー、付いた付いた」
この道の名所は、四つある
二つは、途中と、本殿で見える、街の全体像であり
もう一つは、本殿
そして最後は、なんといっても、本殿近くに設置された、わき水であろう
何といっても、水は良い、しかも、其れがゴールに用意されているのだから、全国を探しても、これくらい良い条件は以外と無いのではないだろうか、しかも、道が全て、石でしっかりと作られており、雪が、無いときは
その石と、そこに生えたこけが良い感じを醸し出す
その周りは、普通ではお目にかけられないような、大きな杉の木が、道を囲むように立ち並ぶ姿は、実に自慢の対象だろう
「さて、撮りますか」
僕は、レンズを取り替えながら、何枚か写真を撮る
天気が良いせいか、多少、ガスっているように見えるが、望遠越しにみる遠くの山の白い雪がはっきりと見えた
「よし、帰ろう」
僕は目的の物を、撮り終えて、帰ろうとしたそのとき
リーンリーンリーン
鈴の音がした
僕のかと思ったが、どうだろう
僕は、そのまま雪のある道を降りていく
ここで転けて怪我でもしたら一大事だ
一応の細心の注意をして、来た道を戻る
そのときは気が付かなかったが
僕は鈴を落としていたんだ
それに気が付いたのは、車に戻ったとき
フロントガラスに、鈴がめり込んでいた
其れが最初一体何かぼくには分からなかった
ただ、面倒なことになったと、割れたガラスを見て思ったが
後から思うに、どうして、自分の鈴が、フロントガラスにめり込んでいたのか
誰がやったのか
本当に自分の鈴か
似たものではないだろうか
ただ、真相は分かっていない
これは、後から聞いた話だが、良くほらをふくおとこが、僕と同じ日に、じんしゃに行ったという、そこで、どうから上が、サラリーマンであり
そこからしたが獣の物を、見たという、果たしてその真相がどう言うものかは分からない、ただ、僕が、あの日体験した話をするよりも前にはなしたことと関係はあるのだろうか、どちらにしても、その日、彼は酒に当たり、救急車の中で亡くなった
僕は、関係あるのだろうか