第一回 夫と妻
ガチオタ夫(38)と微オタ妻(34)は結婚して丸五年。
子供はまだ。夫・サラリーマン、妻パート。アパート暮らし。
そんな二人の日常を只だらだらと書く。
妻は最近趣味で小説を投稿している。
他の趣味は読書。マンガ・小説・その他活字なら何でも良い活字中毒だ。
それとゲーム。ゲームはRPGが好き。某最後のファンタジーから最近増えてきたオープンワールドまで、ストーリーが面白い物なら何でもやる。今のお気に入りはスカイ○ム。
スマホアプリもしょっちゅうチェックを入れる。脱出ゲームが好み。
一方の夫はマンガ命。主にファンタジー・コメディ・美少女が好きで、特に四コママンガをこよなく愛している。小説はラノベ。
エロゲも積むほど持っているが、エロシーンよりストーリー重視なので基本エロシーンを飛ばしてプレイという、エロゲの存在意義をまるで無視するプレイスタイルの持ち主だ。
そして一番のコレクションは美少女フィギュアだ。我が家では彼女たちを「娘」と呼んでいる。
夫がフィギュアを購入してくると、妻は「また娘増やして!何人こさえれば気が済むの!」と疑似子沢山かーちゃんモードで夫を叱って遊ぶ。
そして夫は飽きた高く売れそうな娘を選んでホビーショップへ送り届ける。まるで口減らしに娘を遊郭に売り飛ばす親の気分だ。
妻は、小説を書いていることを夫にはナイショにしていた。
他人に読まれるのは本望だが、身内に読まれるのは恥辱プレイとしか言いようがないほど恥ずかしい。
ところが、つい最近夫バレした。
読ませろとしつこいので「ゴリゴリの純文学だから」と前置きして読ませてやったら、真面目に批評してきやがったので反応に困った。
曰く「登場人物がよく分からないから、台詞の頭に名前付けたら?」
いやいや。純文学でそんなん見たこと無いわ。
「あとさー、ギャルが出てくる意味が分かんない。妻のイメージじゃない」
妻のイメージなんか読者に分かるかい。
「純文学でももっとはっちゃけていいんじゃないの?堅いよね」
はっちゃけたらそれエンターテイメント小説だから!てか純文学書きたくて書いてるって言ったよな?
参考にすると言って華麗にスルーしたが、夫は本当にしつこかった。
次の日。
「ねえねえ、当て字を使ったらいいんじゃない?」
「当て字ぃ?どういうこと」
「流星と書いてシューティングスターみたいな」
ちょっとだまっとけ。