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東未奈美

東未奈美

 北原紗衣はトップスピードで廊下を駆けて行った。

「実乃里先輩っ」

「何?」

 ペンを走らせていた実乃里がその手を止めて訪問者へ視線を向ける。

「書類改ざんしませんでしたか?」

「何の?」

「大学からの調査依頼の奴ですよっ」

「はて?」

「生徒会長をファミレスでインタビューした時に使ったものですっ」

 北原の言葉に特に反応することなく無表情のまま実乃里は続ける。

「冬治先輩って言いなおさないんだ?」

「だって、再選しましたから」

「うんうん、そうだね」

「今では立派に生徒会長をやってますっ」

 自分の事のように誇らしげに言って、北原ははっとなった。

「話を変えないで下さい」

「冬治が気にしてないのならいいんじゃないの?」

「別の問題ですよっ」

 北原の唇に人差し指を当てて、実乃里は言った。

「あそこで、冬治が恨まれるのは本当に筋違い。あの東って人間は何をするかわからないからね」

「………一介の女子生徒に何が出来るって言うんですか」

「少なくとも、ストーカーぐらいは出来るかな」

「脅そうって言うんですか」

「ううん、冬治が気にしてないならもう放っておいた方がいいって言っているの」

「わかりました」

「そうそう、北原さんは冬治と一緒に生徒会を盛り上げればいいんだよ。新しい伝統でも作ってね」

「はい」

 北原はそういって今度は静かに廊下を歩いて行くのだった。


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