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第十六話:下舌フラグ

第十六話

 友達である上条龍美が一生懸命食玩のマニアである事をひた隠しにしている。

 まぁ、それはいいとして学園内でそんなにオタクやマニアに対して(俺自身マニアとオタクの違いがわからない)偏見があるのかねと思っていた矢先、話題に上がった事があった。

「羽津学園一のオタクは下舌だよな」

「下舌?」

「そうか、真白君はしらねぇのか。下舌虎子っていってさ、ぐるぐる眼鏡にみつあみの一見地味な女の子」

「へぇ」

 何でも、自分はオタクだと公言してはばからないらしい。上条の奴も俺以外にも友達を作ったほうがいいんじゃないかと思っていたので、ちょっとだけお節介を働こうと考えた。

 なんにせよ、本人に許可をとったほうがいいだろう。

 放課後にでも連絡しようとして居たら昼休みに会う事が出来た。

「何だか学園内で会うのは変な気分だな」

「うん? そうかな」

「ああ」

「それでどうかしたの? 愛の告白でも?」

 高度なボケだと思ってスル―しておこう。

「下舌って知ってるか?」

「はぁ?」

 突如として不機嫌そうな声に早変わりだ。さっきまではそれなりに嬉しそうだったのにな。

「下舌虎子なんて知らないね」

「ばっちり知ってるじゃないか」

「自分はオタクだって堂々としている人物でしょ? 信じられない」

 どこら辺が信じられないのだろう。

「真白君、いい?」

「何がだ」

「何々のオタクとか○○のマニアはね、他人に隠しておいた方がいいもんなの。わたしはそう思ってる」

 下舌虎子とやらはそう思っていないんだろうさ。他人の考えにいちゃもんつけるのはよくない。

 こんな感じで俺が言えばブーメランで返ってくる事になる。

「そうか」

「そうなのっ。だから、ダメ」

「何が駄目なんだ」

「どうせわたしの友達を増やそうとか思っているんじゃないの?」

「鋭いな」

 隠しても仕方のない事なので素直に頷くと若干嬉しそうな顔をした。

「有難迷惑っていうの。今の人数で十分なんだよ」

「そうか? 友達って多い方がいいだろう?」

「それは真白君の考えでしょ。わたしは少数精鋭で、仲を良く、深くしていきたいの」

 考え方は人それぞれだからな。

「まだ真白君なんだな」

「は?」

「いや、呼び方だよ。深い仲とかいいながら名字で俺の事を呼んでるぜ?」

「えっと、ほら、恥ずかしいから」

 何が恥ずかしいんだか。

「下の名前で呼んでいいの?」

「別にかまわないぞ」

「でもさ、と、冬治君もわたしの事を名字で呼んでない?」

「龍美」

 呼び捨てすると顔が真っ赤になった。

「直に慣れるだろ」

「そっかな」

「まぁ、それはいいんだ。下舌虎子とやらを気に入らないのは他にも理由があるのか?」

 オタクは隠すべきものだと言う考えの他にも何かありそうだ。

「うーん、あの子って眼鏡とみつあみ解くだけですっごく、可愛くなるんだよね。胸も大きいし、腰もくびれてるしさ」

 自分の胸を掴んで腰に手を置いてため息をついている。

「お前もそこそこでかいぜ?」

「ちょ、ちょっとっ、どこ見てるのっ」

「尻……んがっ」

 チョップが振り落とされたので甘んじて受けておいた。

「とりあえず、気に入らないのっ。わかった?」

「イエス、マム……」

 オタク眼鏡で変身しちゃうような可愛さの子か。

 俺も年頃の男の子、その下舌虎子と言う存在が気にならないかと言われればノーである。やっぱり、探してみたほうがいいだろう。

「おっぱいも大きいらしいしな。探さないでかっ」

「心の声、漏れてるよ」

「……」

 人の考え方は十人十色、ちなみに俺は胸より尻派だ。


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