表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/41

第十話:左野と相合傘

第十話

 梅雨に入ったのかなと空を見上がる。

 灰色の空から一滴の雫が落ちてきた。

「目に入ったっ、天界から目薬っ」

 雫はあっという間に数を増やして大地を襲う。傘を忘れた間抜けな俺は校舎内へと撤退するしかない。

 俺みたいに傘を持って来なかった勇者の数は少なく、男子は女子の友人か彼女、女子は男子から誘われて一緒に帰り始めて更に少なくなった。

「現実なんて必要ない、おれには二次元の嫁さえいればいいんだっ。うおーっ」

 そういって選ばれし勇者は鞄を頭にのせて去って行った。

「猛者だ」

「なんて奴だ……購買部に行けば傘の一つ、うっているというのに……」

 一人の言葉で勇者達は購買部へ雨という魔物を凌ぐ剣を買いに行った。

 俺もその一人になろうとすると知り合いを見つける。

「あ、スクミズコ」

「スクミズコ?」

 スクミズコ、左野初は妖怪でも探すような目で辺りを見渡している。

「リッキーのこと?」

「リッキーだよ」

 セット販売の羽根突律が親指を立てているので首を振った。

「今日はスクール水着じゃないんだな」

「はぁ? 毎日水着を着ているわけ無いでしょ?」

「左野は水泳部だろ? もしかしてすっぽんぽーんで泳いでるのか」

 想像してふいてしまった。これはないな、そんなことをするのは幼稚園児ぐらいだろう。

「違うわよっ。素っ裸で泳いでいる奴なんていないわよ」

「ああ、サボりか」

「さ、サボってなんか……ないもん」

「だよなぁ、カナヅチだから頑張らないと……いや、何でも無い。俺が悪かったよ」

 既に涙をためている状態だった。これはさすがに言い過ぎだろう。

「あー、泣かしちゃったー」

「悪かったよ、すまん」

「謝るのなら最初から泣かせなければいいのに」

 おっしゃるとおり、返す言葉もございません。

 ジュースで左野のご機嫌をとりつつ、購買部へ行こうとしてうめく。

「どったの?」

「落ちついて聞いてほしい、リッキー。今君らにジュースを奢っただろう?」

「ありがとーございます」

「ああ、気にするな。ただちょっとお金が足りなくなって傘を買えなくなった」

「うわ、女々しい。それって気にしてるって言うんじゃないの?」

 ここぞと左野が責めてくるので中指を立ててやった。

「しょうがないなぁ、それならここはわたしが傘に入れてあげようっ」

 左野よりはある胸を、それでも薄い胸を、叩いてくれた。

「ありがとう、リッキー……けど、俺が入ると肩が出て濡れちゃうからいいよ。鞄を頭にのせて走るから」

「じゃ、じゃあ、あたしの傘、貸してあげるわよ」

「え? いいのか」

 左野が許可してくれたので傘に入る。

「ち、違うわよっ。誰があんたと相合傘なんて…ほんのちょっとだけはしてみたいけど」

「してみたいだ…」

「ほ、ほら、ここに折り畳み傘があるから」

「超ファンシー」

 花とクマの二重奏、これを男子学園生がするのはなかなかの勇気が必要そうだ。

「これこそまさしく勇者だな」

「其処まで言うのならしなくていいもん。お気に入り、貸してあげたのに」

「滅相もございません、有り難く使わせていただきます」

 女子学園生から指を指されたのですさまじい眼力でそんな連中を沈黙させる。

「うわー、すごい。睨まれると子どもが出来ちゃいそう」

「いや、ないから」

「う、うそ。あんたに睨まれると子供が……出来るのね。目をそらさなかった。お腹が最近出てきたのもあんたのせいね!」

「信じるなよ。断言すんな、お前の腹が出たのは甘いもんの食いすぎだろ」

「左野のお腹はぽんぽこりん」

 リッキーの言葉に左野はかなりのショックを受けているようだ。

「うん、ま、傘に関しては礼を言うぜ」

「もっとお礼を言いなさいよ。満足するまで受け付けてあげるんだから」

「ありやとーございます」

 胸をそらした左野にリッキーが頭を下げている。

「ジュースをもう一本、あたしに奢る権利をあげるわ」

「なんて面の皮が厚い奴なんだ。リッキーなんとか言ってやってくれ」

「うん、あのね、左野はこう見えて下着泥棒に間違えたことを悔んでいるんだよ。だから、てれ隠し」

「なっ、ちょ、違うわよっ。どうせ、こいつ」

「こいつじゃないでしょ? 真白先輩って裏じゃ呼んでるじゃん」

「り、リッキーっ」

「先輩、別に恥ずかしい呼び名じゃないよね?」

 ここは頷いておくしかない。

「ああ、変じゃない」

「そ、そう?」

「うん、自信を持っていいよ」

「じゃ、じゃああんたのこと、真白先輩って呼ぶわ」

「好きにしてくれ」

 天を仰ぐと雨がいつの間にか止んでいた。


毎日更新出来ればベストなのでしょう。つまり、今回はおそらくできなーい。前作では比較的毎日更新できるような段取りでやってきました。しかし、前作はなんだかなーな出来に。気づけばみなさんが読んでくれているおかげで冬治が主人公の気になるシリーズも四作目、ですかね。さて、くわしいことは活動報告にでも載せますか。今後も読んでくれる方がいれば続けられるのでお願い致します。感想以外にもメッセージ、疑問、等を募集しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ