いい加減サブタイトル考えるの辛い
書いた小説を一気に投稿してるからサブタイトルは行き当たりばったりなの。
カチャカチャ、と器具の音のみが響く研究室。
既にドラゴンの細胞はひげ一本のみを残していた。失敗は許されない。
青く光る液体にひげを入れようとする右手は、微かに震えていた。
「ハルヤ!」
「うわぁ!」
するり、と右手からひげが落ちる。
「あっ」
青い液体は一瞬にして赤いドラゴンの鱗のような色になり、コポコポと泡を立てたかと思うと、発光し始めた。
「あ、あら、もしかして、成功したの……?」
フニカが息を切らしながら呟いた瞬間、液体は黒く淀んだ色になり器具に張り付いた。
「……失敗だよ、これから先に進めないんだ……で、お母さんどうしたの? そんなに慌てて」
少々落ち込んだ面持ちでフニカを見るハルヤ。
「あ、そうそう。お母さんわかったの。ドラゴンは変身能力があるのよ!」
フニカは先ほど見たことを手短に説明した。
「でも、ドラゴンが嘘をついたことがなぜかはわかってないよ?」
困ったように言うハルヤ。そう、どうしてもハルヤはドラゴンが嘘をついたことがひっかかって仕方がないのだ。
強い生き物は嘘をつかない、つく必要がない……そう教えられているからである。
「ハルヤ。嘘をついたのは子供のドラゴンよ。子供が親に嘘をつくときはどんなとき? それはあなたがよーくわかるんじゃないかしら」
フニカが悪戯っぽく笑うと、ばつが悪そうな顔をして、ぽつりと呟くハルヤ。
「……怒られたくないとき」
むー、と尖ったハルヤの唇を軽く弾き、フニカは嬉しそうに笑った。
「せーいかい。さて、これでわかったのは子ドラゴンは怒られるようなことをして嘘をついたってことね。この怒られるようなことって何かしら? 人里に降りちゃいけないだとか、そのあたりだと思うのだけれど……。」
「やっぱりドラゴンに変身する薬は必要だね。でも、もう材料がないんだ。お母さん、また取りに行ってもいい?」
小動物になる薬を懐から取り出し、ハルヤはフニカに見せる。許可を貰わないことには、きっとまた怒られてしまう。
「あら、その必要はないわ。お母さん子ドラゴンの鱗を手に入れたの」
落ちてたの、とハルヤの実験材料置き場に鱗を置くフニカ。
「一枚か……オレ、自信ない」
ハルヤは、ちらりと失敗した残骸に目をやる。いずれも悲惨な状態でハルヤに洗われるのを待っていた。
「あら、ハルヤは逆境に強い子よ。お母さんは信じてるから、自分が思う通りにやりなさい」
ぽんぽん、とハルヤの頭を撫でたフニカは研究室を出る。きっとハルヤはうまくやるだろう、という確信がフニカの胸を満たす。
サラダの材料をもう一度取りに行き、薬を完成させたお祝いをしてあげようとフニカは再び街の外へ向かった。
そういえばまえがきやたら馴れ馴れしくてすいません