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ドラゴンについての考察

カーチャンはやっぱ偉大

 結局、ドラゴンが群を作って移動するケースなんて、過去にはなかった。

 しかし現実に今ドラゴンは群を作り、アマヤの魔法の外でドバルを破壊しようと機会を狙っている。

 考えるしかない。ハルヤとフニカはドラゴンの気持ちになって考えてみた。これも、アマヤがよく言っていた事だ。何か不当に攻撃されたときも、相手の気持ちになって考えてみることだ、と。

「……子供」

 フニカがぽつりと呟いた。

「え?」

 ハルヤは意味がわからない、と首を傾げる。

「ドラゴンは賢い生き物よ。感情もある。だとしたら、人間と同じように考えてもいいと思うの。なら、今までの自分たちの生き方を曲げてまで他種族に攻撃する理由。子供よ。ドバルの人たちの誰かが、ドラゴンの子供を不当に攻撃したのかも」

 ハルヤにはよく理解できなかったが、これ以上の理由を見つけることができなかったので、フニカの意見で仮定することに決めた。

 しかし、ドバルの街にドラゴンが迷い込むことがあればアマヤの耳に伝わり、ハルヤも目にすることだろう。

 それにドバルの街の人々は滅多にドバルから出ることはない。仮定を信じるには、あまりにも納得できないことが多すぎた。

「……ドラゴンたちって、どこにいるのかな」

 ハルヤはふと思った疑問を口にする。

 そう、あれだけ多くのドラゴンがいて、ドバルを襲撃したのなら集まった場所、本拠地があるはずなのだ。

 その本拠地がわかれば、勝機が出てくる。

「そうね……お母さんに任せて」

 そういってフニカが取り出したのは、ドラゴンの鱗。

「どうしたの? それ」

 ハルヤが驚いて訊ねると、フニカは苦笑いをした。

「お義父さんの服に付いてたの。魔法薬に使えるから、ハルヤにあげようと思っていたのだけど。使っちゃうわね」

 え、とハルヤが言うが早いか、フニカは呪文を唱え始めた。

「鱗よ、鱗。汝の持ち主の居場所を我に教えたまえ」

 鱗はふわり、と浮き上がるとフラフラと窓の方へ行くと結露した窓に自らを擦り付け、文字を書き始めた。

「ドバル、山……・麓の、小屋……? の、傍」

 ハルヤがそう読み上げると、鱗は仕事を終えた、とでも言うようにバラバラ塵となって消えた。

「小屋の傍……確かに、あそこは巨大な生物が多く集まるのに適してるわね」

 呟くフニカ。しかし、ため息をついて頭を振った。

「だめだわ、あんなところにいるのならこっそり近づいて会話を聞くなんてできない。隠れる場所がないわ」

 小屋の傍は、堅い岩に覆われた更地だ。とても広く、巨大なドラゴンでも二十匹は余裕で眠れるだろう。

 フニカの言うとおり、隠れる場所はない。岩もあるにはあるが小さいものばかり……そこまで考えて、ハルヤは閃いた。しかし、フニカに言えば反対するだろう。

「お母さん、オレ考え疲れたから、今日はもうやめる。ちょっと研究室に行ってくるよ」

 そう言うと、ハルヤはフニカの制止の声を振り切り、自分の研究室へと向かった。

 


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