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パパVSママ 第二幕

今度はほのぼのした戦い…?

「返事が来たですよー」

 数分後、ルーフスは同じ封筒を持ち戻ってきた。

「ドラゴンは紙を持っていないので、手紙の裏で失礼するって言ってましたー」

「ありがとう、ルーフス。ご苦労様」

「いえいえー」

 フニカの手に手紙を落とすと、ルーフスは部屋の奥へと消えていく。使い魔は必要以上に姿を主に見せないのが決まりなのである。

「……ハルヤ、開ける?」

 フニカの手にある手紙を興味津々、と言った様子で見るハルヤに、フニカは苦笑いで尋ねる。そりゃ開けたいだろう、ハルヤの出した手紙の返事なのだから。

「うん! ……もし、いい返事じゃなかったらどうしよう。話し合う余地なんてない、なんて言われたら……」

 不安げに言いながら、手を止めるハルヤ。

「開けてみたらわかるわ。大丈夫よ、わかってくれてる」

「ハルヤが一生懸命心を込めて書いたんだから、伝わってるよ」

 両親の励ましを受け、ハルヤは止まっていた手を動かす。

 パサリと封筒が落ちて、手紙が広げられ、ハルヤの目が文字を追い始めた。

「……貴殿の意志は伝わった。我らドラゴン族も鬼ではない、貴殿ら魔法使いの言い分もまずは耳に入れておこうとは思う。しかし、大勢の魔法使いに押しかけられては困る。この手紙の差出人であるハルヤ殿、そして付き添いを一人まで許可しよう。日時は明日の昼とする」

 「「僕 が行くよ(私が行くわ) 」」

 開口一番、争うように二人は言った。

「……オレと、あと一人だよ?」

 ハルヤは呆れを隠せない。

「なによ、あとから味方になったくせして、おいしいところだけ持っていこうっていうの?」

 と、フニカ。

「違うよ。ハルヤは名指しされてるから仕方ないとして、フニカまで危険な目に遭わせたくないだけだ」

 と、ユキヤ。

 にらみ合う二人の間で、ハルヤはため息をつく。

「(仲が良いんだか悪いんだか)」

 喧嘩するほど仲がいい、と言う言葉は一体どこの言葉だったろうか。

「僕が守るべき存在である二人を戦地へ赴かせて、僕は一人ここで指をくわえて待ってろっていうの?」

「何よ、私だって戦えるわ。ユキヤに守られてるだけの女じゃないってことは、もうわかってるはずよ」

「「ハルヤはどっちに着いてきてもらいたい?!」」

 やっぱりこうなった、とハルヤはがっくりと肩を落とした。

 二人が喧嘩をすると、決まってこうしてハルヤに決着をつけさせるのである。

もう、慣れっこだ。

 どっちでもいいよ、という言葉を飲みこみ、前回はフニカに味方したことを思い出すと、

「今回はお父さんがいい。あっちの子ドラゴンの親も父親っぽかったし、ドラゴンが相手だったら感情で攻めたてるより理論で詰めていった方がよさそうだもの」

 と、ハルヤは言った。ユキヤは小さくガッツポーズし、フニカは唇を尖らせる。

「もう、なんなのよ、私だってハルヤの力になりたいのに……まぁいいわ、だったらまた同じ魔法を使わせてもらうから」

 いいわね、と睨み付けるフニカの眼光に勝てるはずもなく、こくこくと頷くハルヤ。

「さて、日時は明日の昼を指定されているわけだけど……何か作戦とか立てておく?」

 ユキヤは上機嫌に言った。当然だろう、この一世一代の場面で選ばれたのだから。そんな彼をフニカは不満げに見た。

「作戦って言っても、正直に見たことを話すだけだから特に何もないよ」

 明日かぁ、と呟くハルヤ。

 その顔にはやはり不安が浮かんでいる。一度乗り込んだとはいえ、今度はしっかり人間の姿で乗り込むのだ。

「……大丈夫だよ、ハルヤ。僕がついてる」

 ぽんぽん、とユキヤは息子の頭を軽く撫でる。最近は彼も仕事が忙しい上、ハルヤも実験室に閉じ籠ることが多くなっていたため、こうして触れ合うことも少なくなっていた。

「……うん」

 今度は、一人じゃない。

 父親の体温に安心したのか、ハルヤの不安げな表情が薄れる。

「じゃあ、私はたっくさん料理作って待ってるから。ちゃんと帰ってくるのよ」

 今から仕込みをしなくちゃ、と腕をまくるフニカ。

「楽しみにしてるね、フニカの料理は世界一だから」

 一仕事終えたあとだと特にね、とユキヤは付け足す。

「全部食べなきゃ承知しないからね」

 まだフニカの腹の虫は治まらないらしく、ユキヤとハルヤに背を向けてキッチンへと姿を消した。

「……大丈夫かな」

 フニカは八つ当たりをするかのように大量の料理を作る。美味しいからいいものの、それでも量には限度と言うものがある。

「……僕は、そんなに大食いじゃないんだけどな……多分、大丈夫」

 ユキヤが自信なさげに呟いた。

「お、オレも頑張って食べるから、お母さんのご飯、美味しいし」

 二人の間に沈黙が流れる。

「……やりたいこと、やっておくか」

「うん……」

 生きて帰ってくる予定ではあるが、もし仮にドラゴンの爪に引き裂かれでもしたら。

 そう思うと、やり残したことを片付けずにはいられなかった。

 



ルーフス忘れた人へ。前にハルヤを起こしてた鳥です。ちなみに大きさは結構大きいです。多分ハリポタに出てくる不死鳥くらいの大きさだと思う。

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