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短眠の魔法とか私も使いたい

新事実発覚。ユキヤは身長低め。ハルヤも伸びる見込みなし。つまりアマヤも低めだったはず。

「ただいま、こっちはうまくいったよ」

 ユキヤは自宅に入りフニカの顔を見るなりそう言った。

「ハルヤは?」

 姿が見えない息子を探して、家の中を見回すユキヤ。

「帰ってくるなり寝ちゃったわ。ハルヤもうまくやったみたいよ」

「そう、それは良かった。じゃあ、ハルヤが起きてきたら……」

「起きてるよ、おかえりお父さん」

 がたん、と音を立ててハルヤが姿を現す。

 しかし先ほど寝てしまってから十五分程しか経っていない。フニカはハルヤを睨む。

「短眠の魔法は使っちゃダメって言ってるのに、そんなに上達してるってことは……しょっちゅう使ってるわね」

 短眠の魔法とは、その名の通り短い睡眠時間で疲れを取ることができるようにする魔法だ。

 しかし、まだ体が完成されていない子供がこの魔法を使うことで成長の促進に影響が出るということで、多くの親はわが子にこの魔法を教えてはいない。

 ユキヤとフニカも例に漏れず、アマヤも教えていないはずなのに、ハルヤはこの魔法を使っているようだ。

「……ごめんなさい、どうしても今期中にシルバーバッチが欲しくて自分で練習したんだ」

 うなだれるハルヤに、フニカはため息をつく。

「いいわ、でもこれからはなるべく使わないこと。あんまり使うとちんちくりんのままよ?」

「……はーい」

 ちんちくりんて、とフニカの発言に苦笑いするユキヤ。

「僕の子供だからね、あんまり大きくなれる要素はないしなるべく成長を妨げることはしない方がいいよ」

 フニカよりは背が高いものの、ユキヤは成人男性の平均よりも少し背が低い。

 息子がチビ、なんて馬鹿にされるのは父親として避けさせたい道である。

「……うん、今度からなるべく使わないようにするよ。それより……」

 ハルヤはちらりとユキヤを見た。

「……? どうしたの」

「あ、えっと……」

 俯くハルヤ。

 あ、とフニカが声を漏らす。

「大丈夫よ、ユキヤは味方になったの。ハルヤに協力してくれるって」

「え? あ、そうなの? いつの間に……まぁいいや、じゃあ、オレが聞いてきたこと、話すね」

 ハルヤの話を聞き、ユキヤは驚きを隠せずにいたし、フニカは目を輝かせた。自分の仮定は間違っていなかったのだ、と。

「つまり、この騒ぎはその子供ドラゴンが、禁止されているはずの変身術を使ってゴブリンに変身してドバルの街付近に現れたから吹き飛ばされたにも関わらず、いけしゃあしゃあと何もしてないのに吹き飛ばされた! と騒ぎ立てていることが原因ってことでいいのかな」

「うん。その子供ドラゴンの親が偉いドラゴンみたいで、長って呼ばれてたし一声かけたら本当に集まっちゃったんだと思う」

 ユキヤは自分でまとめた結果とハルヤのコメントに、複雑そうな表情を見せた。

「同じ親としては親ドラゴンの気持ちもわからなくはないけど……ちゃんと事実確認をしてから行動してほしいね」

「あら、でももし同じ立場に置かれたらユキヤだって同じことをすると思うわ?」

 フニカが悪戯っぽく笑う。

「……もし、これから似たようなことがあれば気を付けるよ」

「なんだかんだで私よりも子煩悩なんだから。で、ハルヤ。今度はどうするつもり? ドラゴンが街を襲った理由はわかったけど、なんの解決にもなってないわ」

 ハルヤはうーん、と考え込む。

「ドラゴンは賢いから、話し合えばわかると思うんだけど……。でもあの調子だとドラゴンのところに行ったら殺されちゃうよ」

 こればっかりは薬でもなんともならないし……とため息をつくハルヤ。

「そうね……手紙を書けばいいんじゃないかしら。ドラゴンは人間の文字を読めるはずよ」

「正確に言えば、ドラゴンが話した言葉や書いた文字はどんな種族にも伝わるし、どんな種族が書いた文字でも話した言葉でもドラゴンには理解できる、といったところだね」

「まったく細かいわね、ユキヤは。伝わればいいのよ」

 フニカは唇をとがらせてユキヤに抗議するが、ユキヤは魔法で紙とペンを出していた。

 思わぬところから飛び出てきたようで、ユキヤの眉間に皺が寄る。

「フニカ、レターセットはあそこじゃなくて……」

「自分で仕舞わないのが悪いのよ」

 細かいくせに自分で片づけないんだから、文句言わないか自分で片づけなさいよ、と何度目になるかもわからない同じ問答が始まりそうになり、ハルヤは慌ててペンを手に取った。

「な、なんて書けばいいかな!」

 我に返った二人はハルヤを座るように促し、二人も彼の隣に腰かけた。

「まず、ドラゴンはプライドが高いから丁寧に書くべきだろうね」

 ユキヤが言う。

「頭語は粛呈、結語は頓首再拝がいいんじゃないかしら」

 フニカだ。

「しゅく……?とん……?」

 聞きなれない言葉に、ハルヤが首を傾げる。

「目上の人に手紙を出すときに使う言葉よ。あまりこのあたりでは使われていないけれど、ドラゴンになら伝わるんじゃないかしら」

 こうやって書くのよ、とフニカはハルヤの手からペンを抜き取り、紙を手元に引き寄せると、綺麗な字でお手本を書いた。

「……難しいよ」

「いつもハルヤが作ってる薬の方程式よりはずっと簡単よ?」

「得意分野は別だよ。オレ、文字の勉強は苦手なんだ」

 結局ハルヤはひらがなの「しゅくてい」を冒頭に手紙を書き始めた。

「……できた!」

「ハルヤ、とうしゅじゃないわ。とんしゅよ」

「……もー、細かいなぁ」

 唇を尖らせながら魔法で間違えた文字を浮き上がらせたハルヤは、浮いた「う」の文字をくしゃりと握りつぶし、空いたところに「ん」と書き入れた。

「手紙は書けたけど、どうやって送ろう……運び屋さんに頼むわけにもいかないし」

 そんな両親の様子にも構わず、ハルヤは手紙を入れた封筒を手に部屋を右往左往。直接持っていくわけにもいかない。

「あら、もう考えてるもんだと思ったわ。ルー、ルーフス!」

 フニカがパンパンと手を叩くと、小さな翼を羽ばたかせながらルーフスが現れた。

「なんですかー」

 朝以外はフニカの声をマネないルーフスは、穏やかでゆっくりとした声で返事をする。

「この手紙を届けてほしいの。ドバル山の麓にある小屋の傍に、ドラゴンの群れがいるから、そこに」

「了解ですー」

 使い魔は主人、つまりルーフスにとってのフニカが命を落とさない限り死ぬこともなければ、痛覚もない。恐怖心というものが存在しないため、ルーフスはなんの疑問も持たずに手紙をハルヤの手から受け取ると、窓から出て行った。



キャラの身長設定くらい考えておけって?考えたんだよ、でも忘れてたんだよ!

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