ハルヤくんのサービスカット
Q.ショタの入浴シーンなんて誰が喜ぶんですか?
「まったく、何が一緒に入るぅ? だよ!」
ぱしゃん、と水が撥ねた。
確かにお風呂に入った時、気持ちよさで体がとろけそうになったが、それとこれとは話が別。行き場のない怒りを水にぶるけるハルヤ。
「お母さんはほんっとうにオレのこと子ども扱いしすぎだよ! もう母さんと同じバッチで薬ならお母さんよりもずっと上手に作れるのに」
ぱしゃん、ぱしゃん、と水を叩く。
「体だって魔法を使わないで手で洗うならできるし、頭も……ちょっと怖いけど洗えるし!」
目にせっけんが入るのが嫌で、ハルヤはいつもぎゅっと目をつぶって頭を洗っているのだ。魔法で顔を保護すれば良いのだが、あまりその魔法は得意でない。仕方なく、魔法を使わず我慢して頭を洗っているのだ。
「じいちゃんはっ……」
じいちゃんは、と同じ言葉を繰り返すハルヤ。声が震えている。
「オレのこと、ちゃんと一人前だって言ってくれた……」
水を叩く手が止まる。
「じいちゃん……」
幼いころは、お風呂に入るときは父ユキヤでもなく、母フニカでもなく、祖父アマヤが隣にいた。
紛れもなく、ハルヤが望んだことである。
アマヤの骨ばった細い老人の指は、ハルヤの小さな頭を撫でるようにして洗ってくれた。
たまらなく気持ちよかったことを、彼は覚えている。
ハルヤは、永遠にあの手の優しさを感じることはできないのだと思うとどうしようもない不安に駆られた。
ユキヤもフニカも大切な両親だし、大好きだ。
しかし、やはりアマヤには敵わない。それほどにハルヤは祖父っ子だった。
「じいちゃん……」
ぶくぶくぶく、と水中で息を吐くと泡がハルヤの顔を襲うが、そんなことも構わずハルヤは自分の肺が空っぽになるまで息を吐き続けた。
「……出よ」
ハルヤはざぱぁ、と音を立てて浴槽を出る。
魔法で体を乾かし、服を着るとフニカが風呂場の前にいた。
「うわぁ! 何してるの、お母さん」
「何って……ハルヤの服洗濯しようと思って」
よこしなさい、と手を出すフニカ。
「……オレだってもう子供じゃないんだから、服くらい自分できれいにできるよ」
ハルヤは何度言えばわかるのさ、と唇を尖らせる。
「そう? なら私は楽だからいいんだけど……本当に大丈夫?」
どことなく楽しそうな笑みを浮かべるフニカは、息子の反応を見て遊んでいるようにも思える。力ある息子のまだまだ子供なところを見て楽しんでいるのだろう。
「大丈夫だってば。もういい、オレもう寝るよ」
フニカの横を走り抜け、自室へ戻っていったハルヤの背中を見て、フニカは先ほどの楽しそうな表情とはうって変わって、心配そうに息子の心境を思った。
A.私です。多分、ここ書いてる時が一番生き生きしてた。




