続51 星降りクリスマス・後編
バイト終わりにケーキの宅配を頼まれた。なんと人使いの荒い店長だ、優しそうな最初のイメージは崩れ去ってしまった。カップルがひしめく駅前の広場を水中に潜むように息を止めて通過し、ケーキを手に持ったまま電車へと乗る。揺られること数駅、目的の駅で降りてバスを使いそして歩いて辿り着いた先は、
「すいませーん、ケーキの宅配に上がりました。春日様のご自宅で間違いないでしょうかー?」
見慣れた豪邸だった。庶民のくせに見慣れたって言い方は不自然だよね、でも本当だから仕方ない。二メートル級の堅固たる壁は西洋の城壁を彷彿させ、重厚な鉄の門は水滴が凍って張りついて威圧感を増している。雪が降るとこの家はブリッグズ要塞に変身するみたいですね。何度かお邪魔したことがあるがその度に中の広さに驚かされています。まさに豪邸の名にふさわしい立派なお家だ。そんなお屋敷がケーキの宅配先、こうして律儀にインターホンを押して仕事を遂行する真面目な新人バイトですわー。なるほどね、店長のおっしゃった通りここの家はよく知っていますよ。帰宅ついでに届けることも難なく可能だ。ただ一つだけ腑に落ちないのは、どうして春日家の人は俺があそこのケーキ屋でバイトしていたのを知ることが出来たのだろうか。
『兎月君? わざわざケーキ届けてくれてありがとうね。入ってきてちょうだい』
「あ、はい」
この声は春日母か。クセの強い父娘に比べたら母親の方はごく普通のお母さんだ。美人で愛想良くて料理も上手で完璧な奥様。どーしてそんな優しい人の娘なのに春日は性格が悪いのだろうか。愛想良くないし無口だし理不尽だし、似ている点は容姿とローキック使いってことぐらいかも。春日の性格は父親のせいじゃないかなと勝手に思っている。そんなクソみたいな父親もこの家にはいるのだ。……会いたくねぇ~。
「こんばんは兎月君、寒い中ご苦労様だったわね。温かいココアでも飲む?」
「い、いやお構いなく。ケーキ渡したらすぐ帰りますので」
鉄の門をくぐり玄関に近づくとドアが開き中から春日母が顔を覗かせてきた。何度も会っているのだから気さくにメリークリスマス!と挨拶してもいいのだが、あまりフレンドリーに接するとその流れで家に招かれてしまいそうだ。お金持ちのイブの日に呼ばれるなんて素晴らしいと思う。そりゃもう豪華なディナーがあってチキンも一羽まるまる皿に乗っかっていることだろうさ、バイト終わりでクタクタだし腹もハングリーな状態だからご厚意に甘えて中に入りたいところ。しかし、入るわけにはいかない。だって春日父がいるから。
「なんだ貴様か。渡すもの渡したらさっさと帰りやがれ」
ほら来た親バカの社長さんの登場だよ。春日母の後ろから舌打ちしながらこちらを威嚇してくる、攻撃が一段階下がっちゃうよ。カラフルなトンガリ帽子を被っている春日父、すげークリスマス楽しんでいますよね? 娘とのイブをエンジョイしてますやんか。やはり俺は招かれざる客のようです、そうだと思ったよ。こいつがいる中で落ち着いてくつろげる自信はない、ならこいつの言う通りさっさと帰った方が身の為だ。ちっ、これでもあなたの娘の為に色々と頑張ってきたんですけどねぇ。
「あなた、そんな酷いこと言わないで。恵の王子様なんですから」
「はぁん!? こいつなんかに恵を任せられるか、つーか誰にも渡さない!」
平常運転この上ない。絶好調の親バカぶり、どれだけ娘を大事にしているんだ。こいつのことだから、「将来パパのお嫁さんになるー」といった幼少の頃のたわいもない約束を本気で叶えようとしているんじゃないだろうか。残念ながらあなたの娘さんは俺の嫁になる予定ですのでぇ、ざまぁないっすね。
「……何お前ニヤついているんだ、あぁん?」
「そ、そんなことないですよ」
ニヤニヤしていたのが見られてしまった、春日父の顔がさらに歪んで悍ましい形相で睨んでくる。さながら神話に出てくる八岐大蛇の如し、蛇に睨まれた蛙よろしくぅ。へびにらみを食らって麻痺になってしまう、やっぱこの人恐い……。春日父としては俺の存在が気に食わないのだろう。自慢じゃないが客観的に見て春日に最も近い男子は俺だと思う。そんな奴のことを警戒しても当然か、はいはい今すぐ帰ればいいんでしょ。こっちだって今日はもう春日と会うのは諦めてますよ。付き合っているのがバレた瞬間に命はないと考えていい、キリストさんの誕生した日に死ぬのはちょっと嫌です。さっさとケーキの代金もらって帰った方がいいっぽいな。あ、そういえばケーキ代はどうしたらいいのだろうか? また後日お店に渡しに行けばいいのかな。その流れでまたバイトやれと言われそうで恐い。
「クリスマスにバイトだなんて兎月君偉いねぇ、はいケーキのお代金」
「確かに受け取りましたありがとうございます。いやぁ、暇なんでバイトしてみようかなーと思いまして」
「イブの日に暇だなんて寂しい奴め、ざまあ!」
微笑みながらお金を払う母親、憎たらしい笑みで下品に大笑いする父親、なんつー高低差だろう。このクソ親父が……テメーがいなかったらバイトだってキャンセルしていたさ、テメーさえいなかったらな! 原稿用紙十枚くらいに殴り書いた文句をスピーカー使って大音量でぶつけてやりたいが、そんなことしたら父さんのクビが飛んでしまう。及び俺の首も飛ぶ、物理的な意味で。ケーキ代も頂いたことだし、もう帰りますよ。春日父恐いもん、じゃあ失礼しますね。はぁ……。
「……兎月」
入っていきなよと優しくお誘いしてくださる春日母のご厚意を気持ちだけ受け取って踵を返したところで背中に愛しの声がぶつかってきた。返した踵をさらにもう一度返す、スケートでターンを決めるように一回転して再び豪邸の玄関に目を向ければ、春日母の奥の春日父のさらに奥から顔を覗かせる春日の姿が映った。父親と同じようにトンガリ帽子を被っている。え、何? ここの家庭はイブの日にはしゃぐタイプの一家ですか?
「春日……」
「帰るの?」
「ん、まあ配達終わったし、うん帰る」
というか相変わらず無表情の春日さん。カラフルなトンガリ帽子を被って見た目はランラン~と楽しげな格好なのに表情はいつもと同じで無を貫いている。窓から顔を覗かせたサンタもびっくりしちゃうよ。「え、あの子ホントに楽しんでる!?」みたいな。
「……」
「どうかした?」
「……送っていく」
え? 送っていくって……俺を? い、いやいやそんなことしなくてもいいよ。だって春日父が、
「だ、駄目だよ恵ぃ! こんな奴送る必要ないってぇ!」
こうやって猛抗議するに決まっているから。後ろを振り返って必死に娘を説得しようとしている。かなり焦っているようだ。どれだけ娘のことが心配なんだよ、別に襲ったりしないって。というかあなた様は仮にもここの大豪邸の主でしょうが、そんなお方が玄関で必死になって叫ぶんじゃないよ。威厳はどうした威厳は。
「おい兎月! お前がさっさと帰らないから恵が変な気を遣ってしまったじゃないか。今すぐ早速即刻この場から立ち去るがいい!」
「え、えー?」
そして俺に対してキレやがった。何この仕打ち、何この八つ当たりっぷり。ただ俺はバイトの宅配で来ただけなのに……どうしてこうも理不尽にキレられないといけないのだろう。
「あなた、兎月君を邪険に扱わないでください。兎月君は恵のことを何度も守ってくれたじゃないですか」
「それとこれは話が別だ。こんなイケ好かない奴が恵の彼氏になろうものなら即刻その首を斬り落としてくれるわ」
「はぁ……あなたって人は」
猛犬のように唸り声を上げる春日父、それを見て春日母は溜め息をつきながら右足を半歩下げた。あ、その動き知ってる。春日がローキックを放つ時と同じ動作だ。
「痛い!?」
「いい加減に、してください。恵が大切だからって、過保護に、なり過ぎないで、くださいな。恵だって、自由に、行動、したい、のですから」
休むことなく連続で放たれる春日母のローキック。機械のようにリズム良く無駄なく一定の間隔とスピードで右足が春日父の足にヒットする。その度に悲鳴を上げて次第にしゃがみ込みだして床にうずくまるように丸くなる春日父。玄関先で何をしているんですか、見ていてすごく情けない社長の姿ですけども。
「恵、行ってきなさい。この人は私が押さえつけておくから」
「うん」
押さえつけるというか、蹴りつけるというか……。春日父、急に弱くなったな。痛い痛いと連呼して半泣き状態になっている。まるで自分を見ているようだ。なんと情けない。
「め、恵行かないでぇ……あうちっ!」
「あなたはいい加減子離れしてください」
聖夜の空に悲鳴が響き渡った。笑顔で蹴り続ける春日母に見送られながら俺と春日は外に出る。トンガリ帽子を脱いでちゃんとコートを羽織って春日は出てきて俺を送る気満々。こちらとしても大変嬉しいのですが、悪いけど春日を一人で帰すわけにはいかない。春日が俺を途中まで送ってくれたらそこからUターンして春日を送り返す必要がある。俺は俺で過保護だなー……でも心配ですので。
「……」
「……」
さっきまで雪が降っていたが今は止んでいる。なんと空気の読めない天気の神様だろう、ここは俺達に気を遣ってムード作りの為に雪を降らすべきでしょうよ。夜風の勢いが弱いのが幸いかな、それでも外は十分寒いけど。道の端に少しだけ積もった雪を眺めながら新しく設置された街灯に照らされて春日と俺は何も喋らず歩き続ける。ケーキを届けてその帰り道を送ってもらう……何これ、堀宮状態? 春日さんと兎月くんみたいになってる今?
「えっと、メリークリスマス?」
「……」
春日からの返事はなし。横に並んで歩くだけで何も喋らず無表情のまま。ちょっとだけ不機嫌そう? いやでもこれがデフォルトに近いから何とも言えないよな。大体俺もなんで第一声がメリークリスマスなんだよ。もっと他に言うべきことあるじゃないか。サンタか、サンタのおっさんの気分か、えぇおい。プレゼント用意してはいますけど、まさか今日渡すことになろうとは。人生はノリと流れで決まると誰か偉人が言っていた覚えがあるが、まさにその通りだと思う。いや、これはもう運命としか言えないのではないだろうか。会えないと諦めていたらケーキの配達先が春日家だなんてロマンチック展開になる俺達の運命力に乾杯っ。実際のところ俺がケーキ屋でバイトしていることを知ってわざわざそこでケーキを買ってくれた春日家の人に感謝すべきなのでしょうけどね。ん、そういやなんで俺のバイト知っていたんだ? 春日に言ったっけ?
「ねえ春日、どうして俺の働いていたケーキ店知っていたの?」
「……真美が教えてくれた」
あ、水川か。バイト中にやって来てケーキを一つ強奪していった小悪魔な奴ね。
「……そのお店で注文して兎月に届けてもらうようにすれば今日会えるって真美が言ってた」
み、水川……!? 前言撤回、水川は小悪魔じゃなかったよ。ただの天使だった! なんということでしょう、イブに会えない俺達の為に水川が知恵を授けてくれていたのだ。あの子ちゃんと話聞いてくれていたよ、相談しといて良かった~。今頃自分の家で美保梨ちゃんと一緒にケーキ食べながらドヤ顔している水川が思い浮かぶぜ。ありがとう水川真美様、あなたのファインプレーに心躍りそうです。
「……バイト疲れた?」
「ん、まあ初めてだったからしんどかったよ。でも店長さんは良い人だし同僚は知り合いだったし、なかなか楽しかったかな」
ラストの方はカップルの甘々ムードに毒されて窒息しそうになっていたけど。池内君なんて泣いていたくらいだもん。
「そっちはどうだったの? 火祭達とカラオケ行った後、家で家族とチキン頬張ったりした感じ?」
「……ん」
「クリスマスだもんね~、家族と過ごすのが一番だよな」
「……」
あ~、それにしても腹減ったな。昼から何も食べてないよ。もう夜中の十時だよ? 腹からジングルベルの音が鳴りそうだ。家帰って晩ご飯にありつきたい、欲張るならチキン食べたい。白髭眼鏡のおっさんがニコニコと笑いながら販売するお店のチキンセット食べたい、あれ結構ペロリといけちゃうよね。クリスマスなんだから庶民の家でもチキンくらい注文してもらいたいところ、帰って箱があったら歓喜のあまり飛び跳ねてやりますよ。開けて骨しかなかったら絶望だけどね。父さん母さん、ちゃんと俺の分残しておいてよね。
「というかさっきから痛いよ!?」
家で待っているであろうチキンに想いを馳せていたが、先ほどから春日が肩の肉を抓ってきている。痛い痛い! 俺はチキンじゃないって、食べられないから。いや俺はチキンだけどさ。あ、違くて、根性なしのチキンって意味なだけで実際に俺を頬張るとジューシーな味わいとかそんなわけないから! なんでいきなり抓ってくるんだよ。何か気に障ること言いましたか?
「……私は」
「え?」
「兎月と一緒に過ごしたかった……」
あ、あぁ……思わず涙がホロリ。いかんいかん、何嬉し泣きしそうになっていやがる将也よ。エンディングまで泣くんじゃない。さっき俺の言ったクリスマスは家族と過ごす的な発言が嫌だったのだろう、こうも真っ直ぐで胸突き刺さる言葉を言ってくれるとは。そ、そりゃ俺だって春日と一緒に過ごしたかったよ。もっと前からバイト頑張って金溜めて、高級ホテルのレストランで夜景を見ながらディナーしたかったよ。今夜は帰さないぜ子猫ちゃん、とか歯の浮くような台詞言って夜の街に消えていきたかったさ。でも現実はそうもいかず二人の間には大きな障害が立ち塞がっていたんだよ。春日父という頑固な壁があったんだよ。な、なんだなんだ? 春日がやけに素直な気がするぞ。クリスマス補正が入っている気がするぞ、これは良い雰囲気になりそうな予感。天よ、今すぐ雪を降らせてくれぇ。ここで降らないでいつ降るんだよ! 俺が春日にフラれた時に降るのか、えぇおい!?
「……」
「痛いって、抓る力強くしないでぇ……はい、プレゼント」
「?」
もっとタイミングを見計らって良いムードの時に渡したかったが、このままだと家に着くまで延々と抓られていそうだったから強引にプレゼントを渡す。抓られながら情けない悲鳴を上げて渡すプレゼントほど惨めなものはないが、こうでもしないと抓り作業に終止符は打てそうにない。ラッピングされた箱を差し出すと春日の動きがピタリと止まった。出来れば抓る指を離してから停止してほしかった、まだ抓ったままだし。
「さっきバイト終わってさ、もらった給料そのまま使って買ったんだ」
水川と火祭にホールケーキ奢ったせいで半分ほど減給されたバイト代だが、それでも全額つぎ込めば良い品が買えましたよ。クリスマスだもの、やっぱり素敵な贈り物したいじゃないですか。俺の全てを捧げるとか寒い台詞を言おうと一瞬でも考えた自分にムーンサルトを決めてやりたいぜ。とにかくまあ受け取ってくださいな。
「……ありがと」
「良かったら開け」
言い終わる前に包装された紙を破り出す春日。ちょ、せめて最後まで言わせてよ。そこは「え、私の為に? 嬉しいよ♪」的な台詞を言うとかあるじゃないすか。女子らしさを見せつけてくださいよぉ、火祭なら絶対言うって。なんで無言で我武者羅に箱開けているのさ。ちょっとムード崩れかけたよ? まあ抓られている時点でムードもクソもないのですが。
「……ペンダント」
「ん、可愛いっしょ?」
はい、そこの閲覧者うわっ、こいつベタだわぁとか思ったでしょー! 悪かったなベタなプレゼントで、こちとらスタンダートな発想しか出来ない軟弱者ですよはいはい。『真・リア充』や『恋愛マスター』といった一級職業の方々ならもっとエッジの効いた斬新なプレゼントが出来るのだろうけど、残念ながらこちとら『三級リア充』そして『へたれ下僕』のジョブしか極めてないのでね、超フツ~な物しか選べなかったんだよ。というか別にペンダントでもいいじゃん! イケメン主人公のアシタカだってサンにペンダントみたいなのあげていたし、定番かなと思ったんだけど。キラキラと輝く星型のペンダント、これ結構高かったからね。バイト代全部出して買ったから!
「……」
「そ、そこで無言はやめてもらえます?」
ペンダントをじっと見つめたまま動かないマイ彼女。品定めしているようにも見えるし、一切思考が働いていないようにも見える。要するに何を考えているから分からない。え、えぇー……それ駄目っすか? やっぱベタ過ぎかな……野球ゲームだったらセンス×がつくレベル? で、でもほらそれ、あれじゃん、その、可愛くね? 星型だよ、宝石みたいなのついてるよ、キラキラ光るよ? な、なんか駄目っぽい? う、うーん…………指輪の方が良かったのかな? いやさ、一瞬考えたよ。指輪の方が素敵じゃないだろうかと。結婚を前提にお付き合いしているし、それを決定づける証拠みたいなノリで指輪の入った箱をパコッと開けてアイラブユーと囁くプランもアリかなと思った。でも指輪って意外と高くて半日分程度のバイト代じゃ良い品は買えなくて……うぅ、資金不足が嘆かわしい。
「ありがとう」
お?
「すごく嬉しい……大切にする」
そう言って春日はペンダントを首に回してつけた。胸元で輝くペンダント、うん似合っていると思うよ。そして俺も嬉しいでっす! よ、良かった、喜んでもらえたみたいだ。なんか今日やけに素直過ぎないっすか? ストレートに意見言ってくれるし、受け答えもしてくれる方だし。理不尽に暴力振るうのは変わらずだけどね。いやぁ、喜んでもらえて良かった。今日一日働いた甲斐があったよ。……ここで雪でも降れば完璧なんだけどなぁ、空見上げても雲一つないし。本日の営業は終了しましたって感じだな。
「……私も兎月にプレゼント」
「え、マジ?」
でも春日、上着羽織っただけで手ぶらで来たじゃん。何か持ってきた、の…………んぐっ!?
「……ん」
「……」
……………そ、そーゆーことね。最初何が起きたか分からなかった。春日の胸元でキラキラと光るペンダントが視界で揺れていると思ったら真っ暗になって……。あ、あー……あー、あっ? あ、あははははっ…………ヤッベ、顔真っ赤になっちゃう! こればっかしは何度やっても慣れないって!
「……」
「そ、その……ありがと」
「ん」
それからは二人並んで俺の家まで歩いていきました。その間も雪は全く降らなかったが、それでも全然良かった。今日会えないと思った人と会えただけで十分、願いが叶ったのだから。まあ是非とも来年は誰にも邪魔さえず二人きりで雪降るイブを過ごしたいなぁと思う。雪が降って、そして、願いを叶えてくれる流れ星が降るような、そんな聖夜を。




