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原初の弟  作者: 浅葱
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EPISODE.5 呼び出しと自己紹介

 登場人物がどんどん増えてます…大変←




「さて、君の名前は。」

「モブ男です。」

「ふざけているのか?」

「………………いえ、まったく?」

「…。」

「…。」


 皆さん大変です。生徒会が絡んできています。俺は無実です。…まぁ、思い当たる節がないわけじゃないが。


「なんて億劫な…。」

「なんだって?」

「あ、はは。いえいえ、別に。というか、人の名前を聞くときは、まず自分からとよく言いましてね?」

「ん?あー、それもそうだな。私の名前を知らないのも珍しいが…。」


 自意識過剰なのでは?と言ったら怒るかな。怒るよな。


「生徒会副会長をしている。百目鬼玲子だ。よろしくな。」


 えぇ、知っていましたとも。やっぱり自意識過剰とかじゃなかったですね、よかったよかった。


「わー、素敵なお名前ですねぇ。百目鬼どうめきって初めて聞きました。かっこいいですねぇ。やっぱり男としては、何気ないところにかっこよさを求めたくなるというか、あー、いやほんと羨ましい!あ、ちなみにこっちの緑組は、一年の井田智樹ですよ?副会長。そういえばさっき話したって言ってましたよね、失礼しました何度も。んで、こっちの紫は二年の多岐朔夜っていいます。イケメンは名前もいいんですね、ほんと嫌になりません?あ、副会長は美人ですもんね、そんなこと思わないですよね。すみません、なんか余計なこと言ったみたいで…おおっと!こんな時間だ!もう午後の授業始まりますね!そんじゃあ俺はこれで!」

「待て。」


 作戦失敗のようです。そしてなんだが不機嫌にしてしまったようです。


「君、の、名前、は?」


 そんなに区切って言わなくても…。


「黙秘権を行使しま、」


―――ピーンポーン


 俺の言葉を遮り、校内放送の音が鳴る。食堂が一気に静まり返り、さすがの副会長もそちらに気を取られているようだ。

 よし、この隙に!


『ゴラァ!!ニ年紫C組、大野木雅人ォォ!!はよぉ、職員室来んかいボケェ!!忘れとったとは言わせへんぞぉお!!』


―――ブチッ


「わーい…。」


 忘れてましたよ、せんせー。えぇ、ほんとビックリするくらいすっきり忘れていましたとも。


「早く行かねぇと、御仕置きされるぞ?」

「多岐君、いかがわしい言い方はやめなさい。そして首を傾げるな、気持ち悪い。あー…億劫だ。」

「そういうことなら仕方がないな。また後で伺うことにしようか、二年紫C組の大野木雅人君?」

「あ、ははは、はっはー…はい。」


 最悪だ…っ!







「何ぶすっとしてんねん。」

「………世界は無情に満ちているのですね。」

「え?何なん、風邪?」


 三澤先生は、俺の発言が相当気持ち悪かったらしく、あの後すぐに解放された。こちらとしては、先生の微妙な気の使い方のほうが気持ち悪かったのだが。全く、こんなことなら呼び出す必要もなかったろうに。おかげで…


「お仕置きは終わったか?」

「…お陰様で。というか、オシオキジャナイデスホントニヤメテクダサイ。」


 生徒会なんかに捕まってしまうんだ。

 俺に用なんて、十中八九あの能力行使未遂のことだろう。いらん親切心など出さなければよかった、などと今更後悔しても遅いのは分かっているが、そう思わずにはいられない。目の前に堂々と立っている副会長の百目鬼玲子からは、どう考えても逃げ切れないような気がするし。


「で?俺に何か。」


 わかっているのに、どうしても一縷の望みにかけたくなるのは仕方がないことじゃないだろうか。例えそれが全くの無意味で、無駄なことだとしても。白を切りとおせるわけもないが、少しぐらい余裕ぶったっていいだろう。余裕なんて、全然ないけどな。


「君は、昼時に起きた能力行使未遂の現場にいたな。」


 断言ですか。


「えぇ、野次馬ですけど。」


 まぁ、嘘をつく必要もあるまい。事実、俺はただの野次馬だった。


「逃げ去る三人に、君が『底上げはルール違反だ』と囁いたとか。」


 なるほど、誰か〝聴けた〟のか。


「さて、どうだったかな。」


 これ、ほとんど尋問じゃないか。面倒事はごめんだとばかりに、俺は肩を竦める。


「生徒会書記、時兼蘭が君の声を聴いている。Sランクの『覚―サトリ―』が、聴き間違えることなどないとは思わないか。」


 じっと副会長が俺を見つめる。俺の一挙一動、どんな細かいところでも見逃さないように。そうか、〝聴けた〟のはあのちみっこいのだったか。だからヘッドホンなんだな。

 これ以上抵抗しても、不利になるだけか。巻き込まれるのも拒否だが、敵視されるのはもっと拒否したいところだし…。


「はぁ、降参だよ副会長。」


 俺は両手を上にあげて、溜息をつく。かすかに、目の前の彼女の口角が上がったのを見た。






「さ、詳しいことを聞こうか。」

「へーい…。」


 連れてこられたのは、当然生徒会室。縁のない場所だと思っていたが、まさかこんな形で入ることになるとは。今この場にいるのは、四人。お馴染みの副会長と書記、俺と、それから…


「まぁまぁ、慌てても仕方ないよ玲子。彼は容疑者じゃないんだから。ね?大野木君。」


 爽やか王子と評判の生徒会長、香坂悟。俺は、この爽やかと言われる笑顔がどうしても胡散臭く見えて仕方がない。絶対腹黒い。


「ま、とりあえず自己紹介をば。二年紫C組、大野木雅人。身長183㎝、体重は76㎏、スリーサイズは秘密ってことで。あ、視力は両目とも2.0。得意科目は情報。苦手なのは、神学。好き嫌いはなし。あ、でもあれはダメ。えっと、果肉入りの飲み物。あの粒々が流れ込んでくるのが無理なんだよねぇ。そんで、」

「おい。」


 堪え性がないね、副会長。ちらり、と生徒会長を見ると面白いものを見るような目をしてる。なんか、気が合いそうだね俺たち。そして視線を副会長に戻すと、少し口角を上げて言ってやった。


「そして、能力は『解析』。」





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