~こんなテレビは嫌だ~
氷羅ちゃんと楽しく会話しながらテレビを見ていた時のことだった。
その日は金曜で毎週やっている映画の放送を見ることにしたのだが、今日の内容が和風のホラー映画であった。
さすがにお茶の間の空気が重くなりそうだったので番組変えようよ、と尋ねてみた。
別に怖いからという理由ではない。
決してそうではない。
だが氷羅ちゃんは期待に反してこれが見たいと駄々をこねてしまったので仕方なく見ることにした。
―数十分後―
「ひー、いやー!!」
そこには悲鳴を上げる氷羅ちゃんの姿があった。
「おいおい、妖怪の癖になにビビっているんだよ」
様々なものが飛び交う(一方的に)中、僕は的確にツッコミをいれてあげる。
だが氷羅ちゃんはちゃぶ台を、ひっ繰り返しその上にあったお茶の入った湯のみが宙を舞う。
それが頭や体にかかるわ当たるやらで妨害されてしまう。
「いたっあつっ!!こら暴れるな!!」
あーもうせっかくの晩飯があぁぁぁ!!
「ふこうd、ごふっ!」
座布団が頭にクリーンヒット
しばらくの間意識を失う。
「うぅん、俺はいったい」
そうだ氷羅ちゃんが暴れてそのまま意識飛ばされたんだっけ
氷羅ちゃんは向こうで疲れ果てて寝ている。
あたりを見回すとちゃぶ台が襖に突き刺さっているやらなぜか血痕が畳についてるわテレビから少女が半
身出て来ているやらというか氷羅ちゃんが逆立ちしながら寝ているし、もう嵐が過ぎ去ったような惨状よまったく。
ん?少女?
顔をぐいっとテレビの方に向ける。
遠心力で首が逝きそうになるが気にしない
そこにはまるでちょっとした穴から出てくるようにテレビから半身出て来ている少女がいた。
「あ、どうもこんばんは」
目が合う
「OKこれは夢だ、そうに、違いない」
「待ってください!!助けてください抜けられないんです」
「ったくどうしたっていうんだよ」
現実逃避という手段もあったが助けてくださいって懇願している乙女を目の前にして逃げるほどヘタレではないので話くらいは聞いてあげることにした。
「実は抜けれなくなったんです」
「そりゃ見りゃわかるわな」
「何故だか知らないけど抜けれないんです」
「そりゃ大変だな、じゃあ俺寝るから」
そういって俺は部屋の後片付けをし始める。
「見捨てないで!!お願いだから見捨てないで!!」
氷羅ちゃんの時と同様に必死だ。まじで必死だ。
「わかった、わかった抜けるのを手伝えばいいんでしょ」
「そういうことです」
さっそく俺は彼女の妖艶な雰囲気を醸し出すその白い手をとって引っ張る。
「うぬぬぬぬ、うわ抜けん」
「いたたた、肩が外れちゃいますぅ」
両手を引っ張るもうんともすんとも言わない。
一時作戦会議
「でだ、そもそもなんでこうなった?」
「えっと、まず自己紹介からした方が入りやすいのかな、私は貞子と言います」
「へぇ~」
どっかで聞いたことのあるような名前だな。少なくともさっき途中まで見ていた映画に出ていた・・・・・・
「ぶっ、ちょっとまてお前あの映画に出ていたあれ?」
「はいそうです。」
即答
「うわー俺、決定的な瞬間を見ちゃったかもしれない」
「?」
二次元のキャラが三次元に来ること
それは全人類の夢である。
興味ないけどね
「とにかく早く引っこ抜かないと」
「あう~」
どうしようかな
なんて解決方法を探していると、
「あ~」
テレビのコンセントが抜けていました。
差しなおして電源ON
今度はうまくいくかな
「えいやっ」
すぽーん
するりと抜けてしまった。
勢い余って飛んで行ってしまった。
小時間おいて
「はぁ~助かった。ありがとうございますぅ」
「悪い、悪い勢い余って天井にぶつけてしまった」
テレビから抜けたと思ったら今度は天井にささってしまった。
「言わないで下さいよせっかく無かったことにしてんですから」
「すまんすまん」
ともかく今回の被害は中古のブラウン管テレビが壊れ天井に穴が開いた。大家さんにはどう説明しよう。
「詫びと言ってはなんですが、しばらくここでご奉仕させてください」
「!?」
今なんつった?
「あれ、聞こえませんでした?」
「い、いやあまりに突然で驚いただけだ、と、とにかくよろしくな」
ちゃんと聞こえてましたよ、はい
「はい、ご主人様」
今度、占ってもらおうかな
女難の相が出ているのではないか、と
はい、今回の混沌は今までにない形での登場です。
というかこんなネタこのキャラだけだろできるの。
というわけで第二の混沌、貞子さんです。
ラストになって180°予定していたキャラが変わってしまったのですが、仕方がない
できるだけシュールな場面から入ってきたつもりですがいかがでしょうか?