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天才に命令されて体育祭実行委員会になった件について


この前から鷹宮から勉強を教えてもらうことになり

次のテストに向けてやる気が出ていたが、その緊張を一度ぶち壊す恒例行事がやってくる。


体育祭だ。


うちの高校は一学年五組で

そして団分けは縦割りで、1・2・3年の同じ数字の組が一団という形になっている。


つまり俺たち2年3組は、1年3組・2年3組・3年3組と組むことになり、団の色は今年は赤になった

ちなみに今年の団カラーは赤・青・黄・白・紫の五色で

1年3組には恵がいる


そんな体育祭は体を動かすことが好きな俺は楽しみな学校行事の一つで

今年も楽しむつもりだったが

今年は少し憂鬱だ


前日の夜、光莉から来たメッセージがすべての始まりだった。

メッセージが来た時点で嫌な予感しかしてないが

その予感は見事に的中


『明日から体育祭実行委員ね。逃げたら許さない』

俺は断ったらどうなるのと聞いてみたが

「断る権利もないしもし、無視したらこの前女性の胸を視姦してたって仲いい子に言っちゃうかも」

だそうだ


俺に人権、拒否権はないらしい

体育祭実行委員会は生徒会や教師と協力して

体育祭をスムーズに取り組むために頑張るのが仕事だ


しかも一クラス一名だから誰もやりたがらないので

俺が手を上げれば確定するってことだ


佐々木先生が淡々と読み上げる。


「体育祭実行委員手上げてくれ~」


「体育祭実行委員、手上げてくれ~」


佐々木先生の気の抜けた声が教室に響く。


全員一斉に顔をそらし

誰も動かない楽しんでたくせに,,,,


実行委員は面倒だ。準備、片付け、全体指示、当日のトラブル対応。

やりたい物好きなんていない


やらなくても言い訳できたのに

俺はゆっくりと光莉が座ってる後ろ席の視線を向けると


にこっっと


あら、なんてかわいい満面の営業スマイルでしょう

まるで「やらなきゃどうなるかわかるよね?」とでも言いたげだ


「……はぁ」


俺は渋々、手を挙げた。


「あおー雨宮か。じゃあ決まりな」


「悠斗珍しいな」


「雨宮君そういうのするんだ~」


などクラスから小さな歓声と冷やかし


ほんとにだるい


――――――


俺は光莉と多目的ホールに来ていた

理由は体育祭実行委員会の第一回打ち合わせで説明があるからだ


各クラスの代表が集まり、競技内容や役割分担が説明される。

今年は例年より競技数が多いらしい。

俺は並んである椅子に座り

光莉は生徒会のメンバーがいるところに向かう

俺にも気づいて軽く挨拶してくれる優しい人たちだ

軽く礼して座ると


「雨宮くんも実行委員会なの?」


隣から突然声をかけられ振り向いたとこには

鷹宮さんがいた


「そうだけど,,,もしかして鷹宮さんも?」


「うん!そうだよ」


意外だ鷹宮さん運動苦手っぽいのに


「あ、以外と思ってるでしょ!」

「私運動好きだし得意なんだよ!」


表情に出てしまったのか怒りながら隣に座る


「ご、ごめん」


「私太って見えるもんねしょうがないよね」


「いや太ってるとかじゃなくて

鷹宮さんは十分痩せてるしかわいいから大丈夫」


「いやーそうかな~それほどでもあるかな~」


「あれ?俺言わされただけ?」


「あ、説明始まるよ!聞かないと」


話をそらしてくるがあとで問い詰めよう

今気づいたが光莉と恵がにらんできてて怖い


午前中に団対抗競技、午後はクラス対抗、最後は団対抗リレーと応援合戦。

俺たちの仕事は大きく三つ。


・各団との連絡調整

・当日の進行補助

・事前準備の監督


さらに、実行委員は基本的に競技にも出る

説明を聞きながら、俺は体育祭の構造を頭の中で整理する。


赤団団長は3年3組の男子陸上部エースのひとで

副団長は女子バスケ部らしい

名前などは知らないが同じ団だし

これから知っていけばいいだろう


「悠斗帰るわよ」


いつの前に来てた光莉が隣で小声で言ってくる

「わかったよ,,,,鷹宮さんじゃあね」


「うん!お互い敵だけど頑張ろ~」


「うん!お互い一応敵だけど頑張ろ~」


鷹宮はにこっと笑いながら手を振った。


――――――


多目的ホールを出ると、光莉が無言で歩き出す。


廊下の窓から差し込む夕日が長い影を作る。


「さっき随分楽しそうだったわね」


開口一番やはりそれか


「普通に話してただけだろ」


「かわいいとか言ってたけど?」


聞こえてたのかよ地獄耳かよ,,,,こいつ


「流れだよ流れ」


「へぇ~」


その「へぇ」は光莉がだす危険信号だ

歩きながら俺を見てくる


じっと


「流れでだれにで見言うのね~」

「言い方が悪すぎる」


「実行委員は忙しいの浮かれてる暇ないわよ」


「浮かれてないって」

「顔に出てる」


俺ってそんなに出てるかな?


――――――


翌日から本格的に準備が始まった。


5・6時間目はグラウンド整備で、できるだけ早く集合しないと

得点をもらえないのだとか

赤団は集合が早く


団長が声を張る。


「赤団!今年は優勝狙うぞ!」


歓声が上がる。


実行委員会で俺は一年三組を任される。


仕事内容は細かく分担されている。


・トラックのライン再確認

・入退場門の設営

・放送席周辺の整備

・用具置き場の整理

・観客席の区画テープ貼り


準備は地味だが、ここでミスると本番が崩れる。

一年生はやる気はあるが統率が難しい。


「そこのコーン真っ直ぐ!」「ロープ踏むな!」


走り回っていると、一年女子が話かけてきた


「雨宮先輩って恵と知り合いですよね?」


「そうだけど,,,もしかして恵の友達?」


「はい!そうなんですよ~」

「恵からいつも話を聞いて会って

みたいな~って思ってたんですよ!」


この子距離が近いな

だけど後輩に

会いたいって言われると悪い気分じゃないな

俺って年下好きなのか?それとも妹がいるからかな


「かれんちゃん!なにしてるの!?」


「恵どうしたの?」


「どうしたのじゃなくて,,,いいから手離して!!」


「きゃ~せんぱいたすけてー」


棒読みで叫びながら腕に抱き着いてくる

「お、おい」


「かれんちゃん!怒るよ!

後先輩もデレデレしないで!!」


そういわれると俺の腕を話し恵に抱き着くかれんさん


「ちょっとからかっただけだって取らないから大丈夫!」


「,,,次はないからね?]


「恵こっわ!!逃げよじゃあね!雨宮先輩」


なんだか嵐みたいな子だったな


「先輩も次、私の友達にデレていたら説教ですよ?」

「わかりました」


笑ってるけど圧が出てる顔で言われて「わかりました」以外言えなかった

なぜ俺が怒られるんだ


――――――


木陰で休憩していると光莉がやって来た

タオルで汗を拭いながら水を飲んでいる


「恵からナンパしてるって聞いたけど?」


「してなって,,,,普通に恵の友達にしゃべりかけられただけだよ」


「一年の子が“雨宮先輩優しい”って言ってたけど?」


女子の情報網はどうなってるんだ?


「普通に指示出しただけだよ」


「ふーん」


疑った目で見てくる光莉


「実行委員なんだから、ちゃんとしなさいよ」

「はいはい、わかりましたよ」


そう返しながらも、俺は内心ため息をついていた。


実行委員になってまだ二日目。

なのにやること多すぎるし


光莉は生徒会側の統括補助として動いているから、実行委員の動きは把握している。

恵は一年三組の書記としてクラスの取りまとめをしているから、自然と俺の管轄と関わる。


つまり、俺は2方向から見られている


――――――


準備期間は思っていた以上に細かく、そして地味だった。


体育祭というと、どうしても当日の華やかな競技ばかりに目が行く。

リレー、騎馬戦、応援合戦、綱引き――。


だがそれを支えているのは、地味で面倒な作業の積み重ねだ。


まずはグラウンドの整備。


トラックのラインは、ただ白線を引けばいいわけじゃない。

幅、カーブの角度、スタート位置の距離。

少しでもズレれば抗議が出る可能性がある。


体育教師が言っていたが


「去年、スタート位置がズレてて揉めたらしいからな。今年は絶対ミスるなよ」


たしかに揉めていたがそんな理由でもめてたのか

くだらなすぎる,,,,


とりあえず気を取り直して一年に指示を出していく


「先輩、これどこ置きますか?」

「ロープ足りません!」

「テープ絡まりました!」


あちこちから声が飛ぶ。


一つ一つ答えながら、俺は気づいたことがある

――これ、競技より体力使うんじゃないか?


グラウンドを何往復もして、備品倉庫と放送席を行き来する。

太陽はまだ春なのに、容赦なく照りつける。


そのとき、後ろからタオルが飛んできた。


「使いなさい」


振り向くと光莉。


「なんで投げるんだよ」

「忙しそうだったから」


そう言いながら、彼女は周囲を見渡す。

「一年生、ちゃんと動いてるじゃない」


「まあな。意外と素直だよ」

「あなたがとちゃんと指示出してるからでしょ」


俺は運動は好きだが、まとめ役は向いていないと思っていた。

けれど、やってみれば意外と悪くない。


指示を出して

誰かが動いてくれて

全体が整っていく。


それは、競技で勝つのとは違う充実感を感じた


――――――


準備三日目。


団ごとの応援練習も始まった。


赤団は三年三組が中心となって構成を作っている。

団長は背が高く、声も通るし


「赤団は勢いだ!声量で押すぞ!」


応援の振り付け、掛け声、タイミングなど

まじめな人だったのでみんな真剣に話を聞いていた


俺は実行委員として進行表を持ちながら、練習時間の管理を任される。

「あと五分で交代です!」


声を張ると、三年生が親指を立てる。


学年を超えて一つの団になるというのは、不思議な感覚だ。

普段はほとんど関わらない三年生と、一緒に優勝を目指す


「俺ももう少し頑張るか,,,」


――――――


放課後、実行委員だけの最終確認会議があった。


多目的ホールの空気は、初回とは違っていた。


みんな、疲れている。

だが同時に、少しだけ達成感もある気がするのは

俺だけじゃないだろう


「明日は最終整備です。チェックリストを再確認してください」


生徒会長が淡々と告げる。


光莉はその横で資料を配っている。

手際がいい。


鷹宮さんは俺の隣で、資料を覗き込んだ。


「思ったより大変だったね!」


「そうだな,,,正直つかれたよ」


「でも、ちょっと楽しかったね」


その言葉は、なぜか胸に残った。

確かに終わってみれば楽しかったのかもしれない


――――――


翌日に最終整備が始まった


細かい修正が続いていく


入退場門の角度を調整する。

放送機材の配線を再確認。


一つでも不具合があれば、本番に影響する。


恵は、名簿を持って人数確認をしていた。


「先輩、男子二人まだ来てません」


「誰だ?」


名前を聞き、俺は走る。


校舎裏でさぼっていた二人を見つけ、連れ戻す。


「本番前だぞ。ちゃんとやれ」

少し強めに言うと、二人は素直に謝った。


「……ありがとうございます」

戻ると、恵が申し訳なさそうに言って来る


「お前のクラスだけど、俺の担当だし別にいいって」


「それでもです」

「じゃあ次俺が困ってたら恵が助けてくれ」

俺が笑いながら言うと

恵はうれしそうにうなずいてくれた


その瞬間、光莉の視線を感じた。

遠くから、じっとこちらを見てくる


怖い


――――――


夕方。


すべての設営がほぼ完了した。


グラウンドを見渡すと


真っ直ぐ引かれた白線。

色分けされたテント。

整然と並ぶ椅子。


何もなかった場所が、体育祭仕様に変わっている。


「お疲れさま」


隣に光莉が立つ。


「……なんだかんだ、ちゃんとやってるじゃない」


「失礼な」


「最初は逃げると思ってたのに」

「逃げられる状況じゃなかっただろ,,,人でなし」


「そうだったっけ?」


と小さく笑う光莉


「明日はもっと忙しいわよ」

「わかってる」


ここまで頑張ったのなら


「……優勝、狙うか」


「当たり前じゃない,,,

私がいるんだから敗北は許さないし勝利に導くわ」


「天才はかっこいいこといてててて!!」

「天才って呼ばないで」


俺は耳を引っ張られながらグラウンドを見て

体育祭前夜は、騒がしく終わった



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