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天才で美少女がモテないはずはない

それは、放課後の廊下から始まった。

生徒会の手伝いを終えた俺が教室に戻ると、空気が少しだけ違っていた。


人が妙にざわついている

(なんだ?)


中心には、光莉と


その前に立っているのは――


確か3年の早川,,,涼先輩だったかな?


サッカー部のエースでよくクラスの女子が話してるのを

聞いた気がする。


背が高く整った顔立ちで男の俺でもかっこいい

と思える中3でこれだけかっこいいなんて羨ましい


いわゆる“モテる男”


俺と違って,,,,別に悲しくなんてないんだからね!


「九条さん、少し時間もらえるかな」


大人びていて落ち着いた声だ、とても1歳差だと思えない


周囲が静まりかえってて固唾をのみこんでいる


光莉は真剣な表情で先輩の顔を見ている


「ええ、いいですよ」


そこで、なぜか。


なぜか俺のほうを見てくる光莉


「あなたも一緒に来なさい」


は?


教室がざわつく


「なんで俺だよ?意味わか,,,」


「来て」


拒否権は当たり前だがないらしい


俺は仕方なく立ち上がる。


周囲の視線が痛いが、なれたものだ


なんで俺が付き添いなんだ。

告白だろこれ?

普通、邪魔者ポジションだ

俺が先輩なら普通に嫌だと思う

ごめんなさい


今は先輩についていっているさすがに腕は組んでいない

さすがのこいつでも空気を読んでいるらしい


夕方の光が差している告白をするには絶好のコンディションだ

俺がいなければ、帰りたい


三人で立つ構図

どう見てもおかしい。


早川先輩も少し困った顔をしている。


「えっと……」


「気にしないでください」


光莉が淡々と言う。


ちらっと俺を見るなんだこいつ

絶対何か企んでる目だ!

嫌な予感しかしない。


早川先輩が覚悟を決めたように話し始める。


「九条さん、ずっと前から好きでした」


「結婚を前提に付き合ってほしい」


結婚!?だと?

さ、さすが金持ち!恋愛のスケールが違う!


空気が張りつめる

居心地が悪い

俺は横で石像のように立っている。


本当になんでいるんだ俺。

断るにしても、俺がいる意味はない。


光莉は、少しだけ考える素振りを見せて

そして


「申し訳ありません」


ここまでは普通だった

でも次の一言が問題だった


「私、この人とお付き合いしているので」


え?


時が止まった。


「……え?」


早川先輩が固まる。


俺も固まる。


「え?」


自分の声が遅れて出た。

光莉は俺の腕を自然に取る


「は?」


小声で言う。


「話合わせて、あとで説明するから」


小声のやり取り。


早川先輩がゆっくり俺を見る。


「……そう、なのか?」


違うんです,,,とは言えなかった

俺はただの雑用なんです!


そう言おうと口を開きかけた瞬間。

光莉が俺の腕にさらに力を込める。


あらなんてかわいい笑顔だこと

完璧な令嬢スマイルで俺を黙らせる


「はい,,,俺は光莉を愛しています」


「ばか!」

なぜか恥ずかしがる光莉、お前が言い出したことだろ!!


早川先輩は数秒沈黙して、そして小さく笑った。


「そっか。なら仕方ないな」


さすがイケメン光莉にはもったいない

「雨宮だったけ?」


「は、はい」


「大事にしろよ」


「いやあの」


完全に誤解されたんですけど、俺にもこの先

彼女ができる可能性が最悪だ


「離せよ!もういいだろ?」


「まだ」


「何がまだだ?」


「見られてる」


俺は周りを見ると確かに

窓から視線がある。


噂好きなのは一般人も金持ちも変わらないか,,,


「なんであんなこと言ったんだ?」


「私よく告白されるの」


「お前見た目だけはかわいいからな~」


「お前じゃなくて光莉!」


「いてて痛いって!」

つねるのは勘弁してくれよ


「彼氏がいるって言えば、他の人にも告白されなくなるでしょ!」

どう頭いいでしょ!

と言ってくる光莉


理屈は分かる。

分かるけど。


「俺に彼女ができなくなるじゃん……どうしてくれんの?」


俺が本音をぶつけると、光莉は一瞬きょとんとした。


本当に、きょとんとこちらを見る


まるでその可能性を考えたこともなかったみたいな顔だ。


「……あなたにできるの?」


「できる可能性はゼロじゃないだろ!?」


「限りなくゼロに近いけど」


「おい」


さらっとひどいことを言うな。


夕方の中庭は、告白イベントが終わったのにまだざわついている。


窓際にはまだ人影がたくさんいる


明らかにこっちを見ている!


九条光莉が告白された。


しかも“実は俺が彼氏”という衝撃の事実付きで

明日の校内ニュース確定だ。


光莉は腕を組んだまま、小さくため息をつく。

ため息をつきたいのは俺だ

「せっかくかっこいい人だったのに良かったのか?」


「なにがよ?」


「だから,,,その,,,,付き合わなくて」


「だって私あの人知らないし

知らない人から付き合ってて言われたらあなた付き合うの?」


「まあ可愛かったら付き合うかもいたたたた!耳を引っ張るな!」


「さっき私に愛してるって言ったでしょ!浮気しないで!」


「あれはノリだ!」


「ノリでも言えるなら十分よ」


意味が分からない。


でも光莉は本気で、これが最適解だと思っている顔をしている。

九条光莉という人間は、基本的に合理的だ。


感情で動くことは少ないが


だから今回も、“面倒を最小限にする方法”として俺を使ったのだろう。


それは理解できるが


九条家ご令嬢長女の彼氏(仮)

字面が重すぎる


「俺の評判は?」



「上がったでしょ?」

にやにや笑っている光莉楽しそうだ


「命の危険がな」


「父様は学校の噂まで把握してないわ」


「してそうで怖いんだよ」


九条家の父親を思い出して、背筋が寒くなる。


あの無言の圧こえ~んだよな


あれに“娘の彼氏”として対面する未来は、できれば回避したい。


やっと腕を離された頃には、廊下のチャイムが鳴っていた。


――帰宅時間――


俺たちは並んで歩き出す。


「ねえ」


「なんだ」


「さっきの、どこまで本気?」


「どれだよ」


「愛しています」


歩く足が止まりかける。


「ゼロ」


即答。


「……そう」


声が少しだけ低くなる。


「ああもう、嘘だよ!」


自分でもよく分からないが、慌てて付け足す。


「多分ゼロではないと思う」


「どっち」


「分からんけど大事ではある気がする」


光莉は数秒黙ってから、ふっと笑う。


「ふーん大事で愛してるって?」


「そこまで言ってねーよ!」


校門を出ると、いつもの黒い車が待っている。


小夜さんが静かに頭を下げる。


「お嬢様、お帰りなさいませ!」


「小夜!私付き合ったの!」


一瞬だけ、目が細くなる。


「……おめでとうございます?」


「違います」


光莉はさらっと言う。


「私のこと愛してるって言ってたわ」


小夜さんは微笑みを崩さない。


「まあ、素敵ですこと」


完全に楽しんでいる。


車に乗り込む光莉

俺は乗らずに小夜さんに挨拶して帰ろうとすると

やっぱり今日も引き釣りこまれた


後部座席で、いつものように光莉が腕を組んでくる。

今日はやけに甘えてくる


「おい」


「何」


「学校外だからもいいだろ?」


「彼氏でしょ?」


「仮だろ」


「細かい男は持てないわよ!小夜が言ってたわ」


「まじっすか?」


「ええ、そうかもですね」


冗談のようだ


窓の外を眺めながら、光莉はぽつりと言う。


「ねえ悠斗」


「ん」


「嫌なら、明日否定してもいいわよ」


意外な言葉だった。


もっと強引に押し通すと思っていた。


「……いいのか」


「その代わり、また告白ラッシュになるけど」


「それは面倒だな」


「でしょ?」


つまり。


俺が否定すれば、光莉はまた矢面に立つ。


俺が受け入れれば、盾になる。


そういう構図だ。


「はぁ……」


ため息が出る。


「しばらくは黙っとく」


光莉が少しだけ目を丸くする。


「優しいのね」


「違う」


窓に映る自分の顔は、少し赤い。


「面倒なだけだ」


光莉は何も言わない。


でも、腕の力が少しだけ強くなった。


――翌日――


予想通り、校内は大騒ぎだった。


「まじで付き合ってるの!?」


「いつから!?」


「どこで!?」


質問攻め。


俺は机に突っ伏したくなる


光莉は平然。


「半年くらい前ぐらいから」


さらっと爆弾を投げるな。


蒼が泣きそうな顔で言う。


「おめでとう!僕うれしいよ~」


「まあ、ありがとう?」


嘘だと言いにくいな

再び光莉のほうを見るとまだ質問攻めされてる


「どっちから告白したの!?」


「内緒」


楽しんでいるだろ絶対。


でも不思議なことに。


男子の視線は、昨日までと少し違った

羨望と、ほんの少しの警戒心


光莉に近づくには、俺を通らなければならない。

そんな空気ができている。

勘弁してくれ!


――昼休み――


俺たちはいつも通り並んで弁当を食べる。


「ねえ彼氏」


「やめろ」

いつも通り弁当を交換して食べている


「卵焼き甘くないんだけど」


「仕返しだ!本当はワサビを入れようと思った」


「ねえ」


光莉が小さな声で言う。


「本当に彼女できたら、ちゃんと言いなさいよ」


「なんで?大体付き合ってるのに告白してくる

やついないだろ?」


「わからないから一応言ってるのよ,,,]


その言い方が、妙に引っかかった。


「お前はどうなんだよ」

「なにが」


「好きなやつできたら」

光莉は少しだけ考える。


そして、いつもの調子で言った。

「その時は、ちゃんとあなたを振るわ」


「俺,,,告ってない降られるんだ」


だが可能性が、ゼロとは言えない。


――生徒会――


「憂鬱だ~」

「なにがよ?」

「絶対会長たちにからかわれるじゃん」

「それなら大丈夫会長たちに言ってあるから」

「早く行ってくれよ」


気が楽になったが

なぜかジト目で見てくる


「そんなんに恵さんに誤解されたくなかった?」

「え?だから会長たちに,,,っておい待てよ」


「どうしたんだよ?」

急に腕を外して早歩きで歩き出す光莉

「つーん」

すねているこういう時はあれだ

俺は手を持っていき撫でる


大抵これでうまくいくどうだ?

「ねぇ撫でてればうまくいくと思ってない?」

ぎくり

「そんなことないよ~よしよし」


「もういい嫌い!」

ってことがってことがあったんだけどどう思いますか?会長


「あ~だから喧嘩気味なんだ!」

「はるはるさっさと誤ったほうがいいよ」


「え~俺が悪いんすか?」

「女の子に正論話通じないよ」


まじかよ女の子ずるい

俺はあきらめながら光莉の隣に座る

まだ機嫌が悪いようで恵を抱きかかえている

苦しそうだ


「光莉離してやれ」

すると無言で開放する光莉

「で何よ!」

「ほらこい」

今度は座ってる光莉を横にして膝枕をしてやりながら

頭をなでる

後ろのほうで


「きゃ~」

「いいなあ~先輩」


など言われてるが一旦無視する


「そのごめん」


「別にここまでしなくていいわよ」


赤くなりながら言うくらいなら

早めに機嫌を直してほしかった



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