東條沙也加
「ちょっと話があるんだけどいい?」
「なんだ,,でしょうか?」
俺が休憩時間窓から景色をぼ~と眺めている時間を邪魔するとはいい度胸だ!と思い顔を向けると。
とても俺の勝てる相手ではない東條沙也加だった,,,
東條沙也加とは元柔道の日本代表東條敦選手と元空手日本代表の東條千佳選手の娘である。
皆さんの察してる通り恐ろし強い女であると同時に美人な女である
ポニーテールで結ばれた髪型で身長も女子にしては高めでスタイルもよく男子にはもちろん
女子にもモテるがおれはこいつを恐怖している。
あれはまだ俺が入学したてで蒼と知り合ったばかりのことだ。
東條の逸話を聞き俺は恐れ多くも思わず「ゴリラみたい」と言ってしまった。それが俺の運の尽き
急に背後から首根っこをつかまれ足払いをされ倒され俺は何をされたがわからなかったがやった女が東條
って女だとは気づいた俺はムカつきやり返そうと思ったが東條は見降ろし股間を足で狙いを定めながらながらこう言ったのだ
「次はない」
そこから俺は東條沙也加のことをさん付けで呼んでいる、機嫌を損ねたら性別がジョブチェンジされる。
もう玉ヒュンはもう懲り懲りだ。
「ちょっと放課後付き合って,,,頼みたいことがあるの」
俺に頼み事だと?
嫌ってるはずなのに俺今日命日なのかも,,,お母さんと妹と一応光莉にメッセージ入れとくか
断りたいが断ったら何をされるかわかったもんじゃない
「それはもう何でも致しますぜ、では放課後校門で待ってます」
「やってくれるんだったらなんでもいいけど、変なしゃべり方やめておいてね」
「了解いたしました!」
様子がおかしい俺を怪訝そうに見ながら東條さんは帰っていったが、俺は怖すぎて気が気じゃなかった
「何話してたの?」
「うお!!ってなんだ光莉佳かよ!怖がらせないでくれ」
「普通にしゃべりかけただけじゃない,,, なに怖がってるのよ」
「東條に呼び出されたんだ。俺はもうだめかもしれない光莉お前のことは嫌いじゃなかったよ」
「何言ってんのよ?ただの相談でしょ?自意識過剰すぎでしょ,,,じゃ今日は一緒に帰れないのね
わかった,,,なんでて握ってくるの?」
走馬灯を見ながら俺は気づてしまったことがある。一人では勝てないやつには二人で対抗すればいい
「なぁ光莉も一緒に来てくれないか,,,なんでもするから!!」
「なぁ光莉も一緒に来てくれないか……なんでもするから!!」
「は? なんでも?」
光莉の目がすっと細くなる。
あ、やばい,,,,こいつも恐ろしい女の一人だわ
「やっぱりだいじょ」
「いいわよ!あなたの頼みごとを私が断るわけないでしょ?」
めちゃいい笑顔で承諾してくれる光莉だが笑い方が下種の種類だ
さっきの発言を訂正したい
「で? なんでそんなに怖いわけ?」
「怖いに決まってるだろ! あの“次はない”を忘れた日はない!」
「それ、あんたが失礼なこと言ったからでしょ」
「……反省はしているが否定はできない」
「じゃあ自業自得じゃない」
ぐうの音も出ないとはこのこと
「頼む! 万が一、俺が宙を舞ったら救急車を呼んでくれ!」
「そこまでしないわよ」
光莉は肩をすくめた。
――――放課後――――
校門前に立つ東條沙也加が立っているのはすぐ気づいた
ポニーテールが夕日に透けて、やたら凛々しいからか、第六感で恐怖を感じたのかどっちかだろう
「来たわね」
視線が俺から光莉へ移る。
「……なんで九条さんもいるの?」
「光莉が俺から離れたくないらしくて」
「誰がよ!!」
東條は一瞬だけ眉をひそめたが、すぐに小さくため息をついた。
「まぁ女性の意見も聞きたいと思ってたからちょうどいいわ!だけど人に聞かれたくない話だから
ちょっと移動するよ」
連れていかれたのは人気のない公園のベンチ
(ここが俺の墓場か)
来るか? 背負い投げか? 足払いか?
俺は無意識に半歩下がる。
「そんなに警戒しなくても取って食べないわよ」
「……ほんとに?」
「ほんとに」
「それで相談ってなんでしょうか?」
「蒼の誕生日、今週末でしょ」
……ん?
「その日、告白しようと思ってて」
「は?」
間抜けな声が出たのは俺だけじゃない。
光莉も目を丸くしている。
それに対して東條は耳まで赤い。あの猛獣が今では乙女そのものだ
「だから……その、協力してほしいの。蒼と仲いいでしょ、あんた」
……まさかの相談が恋愛相談だとは俺の命日は回避されたらしい。
「な、なんだよそれ……」
力が抜けてその場にしゃがみ込みそうになる。
「なによその反応」
「いや、てっきり物理的に終わるかと……」
「終わらせようか?」
「すみませんでした!!」
「で、何を手伝えばいいの?」
東條は真剣な顔に戻る
「それがわからなのよ,,,私告白したことないし」
「なるほどなっていうかなんで急に告白しようと思ったんだ?」
「この前体育祭で蒼のかっこいいってことがバレたってのもあるけど借り物競争、あれお題が大事な人だったの,,,それで」
「???それもう付き合ったんじゃないのか?」
「いいえ、蒼の反応見た感じなんか恥ずかしがってただけでただ大事な人ってだけで他意はないらしい、のよ,,,」
俺は腕を組みながら考えてみるが俺も告白なんてしたことないしな、とりあえず
「知ってると思うけど蒼は鈍いし回りくどいのはダメだと思う、ストレートに言ったほうがいい」
「やっぱりそう?」
「好きです。付き合ってください”が一番効くと思うけど」
「……もし、ダメだったら?」
その声は強気な彼女らしくないほど小さい東條も悩んでいるんだろう
そこを光莉が先に口を開く
「その時はその時よ。でも、言わないで後悔するよりマシじゃない?」
東條はしばらく黙り、やがて顔を上げた。
「……そうね」
「よっぽどのことがない限り断れないと思うぞ、蒼は東條さんの事尊敬してるって言ってたし、あれはどう見ても好きだと思ってる」
東條は俺の言葉を聞いたまま、しばらく視線を落としていた。
夕方の公園は思ったより静かで、遠くで小学生がサッカーボールを蹴る音だけが聞こえる。
さっきまで“墓場”だと思っていたこの場所が、急に作戦会議室に変わった気分だ。
「……尊敬、か」
小さくつぶやく東條。
あの強気で無敵みたいな女が、こんな不安そうな顔をするなんて思わなかった。
「蒼、前に言ってたんだよ。東條さんは努力家だって。強いのは才能じゃなくて、毎日積み重ねてるからだって」
「……そんなこと、言ってたの?」
声が少し震えている、もしかして本人に言ってなかったの?
「言ってた言ってた。しかも結構真面目なトーンで」
東條の頬がゆっくり赤くなる。
「……でも、尊敬と好きは違うでしょ」
「まあな。でも鈍い男はそこ混ざってること多いぞ」
俺は経験者でもなんでもないが、蒼を見てきた限りそう思う。好きなのに“尊敬”って言葉で誤魔化してる可能性は大いにある。
「あと場所どうしよう。学校はちょっと……」
「,,,,,,せっかく誕生日なんだし、テーマパークはどうだ?」
「テーマパーク?」
「確かに特別感はあるわね」
「学校だとどうしても日常の延長になる。でもテーマパークに連れて行けば気持ちも高ぶるし、雰囲気が後押ししてくれると思う知らんけど」
「……二人きりは緊張するんだけど」
「それは頑張ってもらうしか,,,」
「ならダブルデートにしましょうか?」
「は!?」
急に何言ってるんだこいつは!!
「確かに付き合ってるって噂になってたね、じゃあお願いするわ」
二人が同時に俺を見る。
「はぁわかったよ,,,,俺と光莉でサポートして午前中は四人で回る。いい感じになったら自然に二人きりにする」
「悪くないわね。いきなり二人だと蒼君も構えるかもしれないし」
「しかもああ見えて蒼は絶叫系好きだろ?」
「うんそうだね」
「アトラクションでテンション上げて、昼はゆっくり話す午後、暗くなってきた時に観覧車に
乗って告白」
こんなにうまく行くか知らないしめっちゃ王道だけど
「さっきも言ったけど告白の言葉はシンプルでいいと思う」
「“誕生日おめでとう。ずっと好きでした。付き合ってください」
「……ずっと好きでした」
まだ不安そうな東條に光莉が少しだけ優しく微笑みながら声をかける
「東條さん大丈夫よ、多分成功するわ」
「なんでそう言い切れるの?」
「悠斗も言ってたけど、はたから見ればいい感じに言えるし女子視点から見ても蒼君は
ちゃんと好きだと思う」
なんかこいつ東條に優しくない?俺にもこれくらい優しくしてほしい
東條は目を閉じ、もう一度深呼吸する、そしてゆっくり目を開いた。
そこにはいつもの強さが戻っているように見える
「……わかったやる」
「じゃあ具体的に詰めるわよ」
「チケットは私が取る。集合時間は開園十分前。蒼にはあんたが“誕生日サプライズある”って言って呼び出して」
「了解しました」
「九条さんは自然に私をフォロー。二人きりになるタイミング作って」
「わかったわ」
「なあ東條さん」
「なに?」
「最初に呼び出された時、本気で殺されると思ってた」
「……まだやろうか?」
「すみません」
東條と別れて公園を出るころには、空はすっかりオレンジから暗くなってきていた
帰り道、光莉がぽつりと言う。
「なんだかんだ言って、あんた役に立つわね」
「だろ?」
「調子乗らないで」
――蒼、お前、覚悟しとけよ、お前の誕生日は
東條沙也加の本気が、全部ぶつかる日なんだから




