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取引

 第一学年 五月三十日 木曜日

 宝塚ゆずり葉高等学校 一年五組教室


 昼食にお好み焼き定食ライス大盛りを腹いっぱい食べ、残った休み時間は体育館でバスケット。

 五限目の現国の授業に一文字はそのつけを払わされていた。


 頭がふらふらと揺れ、はっと目を覚ましてはまた揺れだす、ひたすらこれを繰り返していた。

 寝ぼけ眼で前の席を見ると前の頭も揺れていた。


 眠気覚ましに、一文字はシャーペンの先端で前で揺れている男の耳をそ~っとつついた。

 男の背筋はビクリと伸び、なにが起きたのか分からずキョロキョロと辺りを見回している。

 一文字は笑いを必死でこらえながら寝ている振りをして頭を揺らしていた。

 振りはすぐに本物になった。


 その途端、いきなりなにかが額に触れた。

 一文字は背筋をビクリと伸ばし、なにごとかと辺りを見回した。

 机の上に丸まった紙が落ちていた。

 一文字が紙を解くと丸く可愛らしい文字が並んでいた。


『犯行を目撃したぞ!通報されたくなければ持っている飴をだせ♪ by涼子』


 隣を見ると川本が嬉しそうに微笑みながら、板書をわざとらしくノートに写している。

 一文字はノートを破ると返事を書いて川本の頭に投げつけた。

 川本は頭を痛そうに撫でながら紙を解いて返事を読んだ。


『塩飴しかないで?』

『えらい渋いね(汗)、それでもいいよ♪ by涼子』

『掛かりよったな!取引した時点で貴様も共犯よ!飴二つやるから後でノート貸せい!』

『OKいいよ☆ その代わり数学教えてよ~(涙)』


 一文字が書いた返事を川本に投げようとしたとき、不意に後ろから肩を叩かれた。

 振り返ると永嶋が几帳面に折りたたんだ紙を一文字に手渡した。

 一文字は早速紙を解いた。そこには丁重な字でこう書かれていた。


『うざい』と、


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