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個性

 第二学年 五月十九日 火曜日

 宝塚ゆずり葉高等学校 二年三組教室


(今日は雨がよく降るな)

 たそがれる一文字の隣で、

 佐那を相手に林がなにやらぎゃあぎゃあ騒ぎ立てている。


「あかん、佐那、数学のノート貸して!あと、英語Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、それと日本史も、」

「優子、ほとんど全部やん」

「しゃあないやん、ノート取るんて、なんか、昔から苦手やねん、コピーしたら返すから、」

「もう、しゃあないなぁ、それと返すのは当たり前やで優子」

「さすが佐那!助かるわ~、それと細かいところによく気付くなあ~、さすが、さすが」

 頭を撫でられる佐那は「もう優子は~」といった風に呆れた様子で息を吐いた。


 それはそうと俺もノートを調達しなければと、一文字は林に両手を揃えてお願いした。

「林様、僕の分もコピーお願いします」

「あかん、あかん、ノートは自分で取るもんやで」

(なんじゃ、こいつ、)



 第二学年 六月五日 金曜日

 宝塚ゆずり葉高等学校 二年三組教室


(今日は雨がよく降るな)

 たそがれる一文字の隣で、佐那を相手に林がなにやらぎゃあぎゃあ騒ぎ立てている。

 まあ、いつものことなのだが、


「佐那、どないやった?古文、」

「うん、私なりには、まあまあかな。優子には敵わへんけど、」


 二人のやり取りを聞いていた一文字は、後ろにいる永嶋にある疑問を投げかけた。

「林って、賢いんか?」

「おぉ」と眼鏡を人差し指であげながら、真顔で答えやがった。

 こうなるとどれくらいのモンかいやがおうにも気になるのが人情である。


「どんなもんなん?」の“ど”を言ったとき、林が永嶋にえらい早口で話しかけた。

「永嶋君、今回はどない?私に勝てた?」


 二人は互いにテスト用紙を見せ合っている。

(こいつら、答案用紙が返ってくる度に比べあっているのだ、ライバルなのか?)

 とすれば生意気にも結構上位にいる永嶋に張り合えるだけの学力を

 あのチャランポランな林が有しているということになる。

(まさかな、)


「はい、永嶋君、お疲れ!」

 林は早すぎる口調でそう言うと、永嶋の肩をバンバン叩いて、上機嫌で去っていった。


「なんや、負けたんか?」

「おぉ」

 人差し指で眼鏡を上げ、冷静な様子を装う永嶋だったが、

 どこか凹んだ雰囲気が漂っており、それが一文字には心地よい。


「なんや競い合ってるみたいやったけど、今回のテストの戦績はどないやってん?」

 一文字の問いから永嶋の応答まで、数秒の間が生じた後、重そうにぽつんと言った。


「全敗や、」

「まじで!あいつ、そんなに賢いんか?」

 永嶋は小さく数回頷き、遠くを眺めながら言った。

「多分、学年で一、二やろうな、」

(なんじゃ、あいつ、)


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