下校
第一学年 四月九日 月曜日
宝塚ゆずり葉高等学校 一年五組教室
今日から高校の授業が始まった。
今は三限目の日本史である。正直、この段階で高校の授業というものに飽いてきた。
担当教師は日焼けサロンに通っていそうな男で教師よりホストクラブの方が似合いそうだ。
彼は照れくさそうに言った。
「去年、卒業した君らの先輩達からはサーファーってよく言われたけど、実はやったことないんだよな」
「ふ~ん」
生徒達の食いつきは今ひとつだった。
高校生活における初の掃除、一文字は名誉ある男子トイレ担当だった。
一文字は柄付きタワシを握り力いっぱい便器を磨いた。
黄色くこびりついた汚れはしぶとく落ちる気配はまるでなかった。
どいつもこいつも真剣に掃除をしやがる。
なんの気なく、一文字が窓の外を眺めると、楽しそうに友人と語り合いながら村瀬が竹ぼうきで落ち葉を掃いている。
(え、)
一瞬目があった・・・
「おい、岡、そこ流すからどけって」
長靴をはいた棚橋のしょっぱい言葉に一文字は従い、村瀬は視界から遠ざかった。
楽しい下校、一文字は永嶋と肩を並べていた。
ふと違和感を感じた。隣を歩く永嶋が靴の裏をアスファルトに擦りつけながら歩いていたのだ。
一文字はこいつ踏んだなと思ったが、まだ知り合って間が無いため、それには気付かない振りをして尋ねた。
「なあ、部活、何に入るか決めたか?」
「いや、特に決めてへん、岡は?」
「俺も特に決めてへん、永嶋は中学の時、何をしてたん?盗撮倶楽部とか?」
「そんなんあるか!まあ、写真部っていうのはあったけどな」
「どんな激写しとったん?」
「盗撮してへんわ!俺は軟式テニスやっとった」
「そうか~、せやけど、永嶋がテニスは似合わんな」
「せやろ、ところで岡は何しとったん?」
問われた一文字は、どこか懐かしむような瞳を湛え、空を見上げて言った。
「おお、俺か、俺は自由人やから・・・」
「なんや帰宅部かい」
「まだ何も言うてへんで」
「すいませんした!」
「で、帰宅部やろ」
「お、おう・・」
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