危険な奴
第一学年 六月十二日 水曜日
兵庫県 尼崎市 某ゲームセンター
ゲームセンター内の照明はどことなく薄暗く、ゲームに興じる客はどことなくうさんくさい感じのする奴等ばかりだ。
白山正輝にとっては、この危険な雰囲気に浸るとかえって気持ちが落ち着くのだった。
戦闘機で敵機を撃ち落していくシューティングゲームに興じる正輝は、撃墜されてもすぐにコンティニューが出来るよう、ゲーム台の上に五十円玉を数枚重ねて置いていた。
「オラ、オラ!堕ちんかい! くそ、こいつ固すぎるぞ!」
やけに耐久力がある三面の大ボスに愛機を撃墜された正輝は、五十円玉をすぐさま投入し戦闘を再開する。
熱中する正輝の背後に男が三人突っ立っていた。
三人の真ん中に立つ大柄で金髪の男が柔らかく毒のある声で正輝に話し掛けた。
「えらいお小遣い貰ってんねんな、俺らにも少し分けてえな~」
正輝は振り向きもせず、ミサイル発射ボタンを連射する。
「なんやびびって、こっちも向けへんの? まあ、お小遣いくれる奴には俺ら、なんもせえへんから安心してくれや」
そう言うと大柄の男は、重ねてあった五十円玉を残さずわしずかみにした。
その時である、突然、正輝の愛機が大ボスに特攻し、自爆して果てた。画面にはコンティニューを促すカウントダウンが始まる、9、8、7、
「コインがあらへん・・・」
正輝が呟く間も、カウントダウンは続く。3、2、1、0、画面中に赤いゲームオーバの文字が大きく表示されチカチカと点滅する。
そんな正輝の行動をみていた三人が、あほちゃうかこいつなどと言い合ったその時だった。
ガコン!
ゲーム台をしこたま蹴っ飛ばし、三人に強烈にガンを飛ばしながら正輝は立ち上がった。
大柄の男に負けないくらいにデカイ。
「お前らがコイン持ってくから、コンティニューできへんかったやないかい」
正輝の発する殺気に脇にいた二人は明らかに怯んだが、真ん中の男はガンと共にタンカ切り返した。
「お前が、勝手に突っ込んで死んだんちゃうんかい! 文句あるんかコラ!」
言うや、大柄の男は正輝の胸ぐらを掴みあげる。と同時に正輝は男の金髪をわしづかみにするとあがなえない程の腕力で躊躇無くゲーム台に叩きつけた。
男の額がぱっくり裂け、ゲーム台にどろっとした赤黒い液体が付着する。
激痛の中、金髪の男は上体を起こそうとゲーム台に手をつき、頭を上げたが、その途端、顔面に固い膝がめりこんだ。
正輝は容赦なく何度も何度も男の顔面に膝を打ち込む。
男はたまらず両手で顔面を庇った。
すかさず正輝は金髪を引きずり男の頭をゲーム台に叩きつけた、何度も何度も叩きつけた。
ガッ、ゴッ、
鈍い音が響き渡ると男はゲーム台に顔をうずめたまま動かなくなった。
うずくまる男の仲間もそれを傍観していた他の客も、その光景をただただ怯えて眺めるしかできなかった。
皆、一斉に思った。
(あいつ死んだんじゃないか?)と、
正輝は血まみれで動かない男を一瞥すると興味なさそうにゲームセンターから出て行った。
(あいつ死んだかな? まあ、パクられてもええけどな、)
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