表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第6話 そういえば結局試着してないじゃん

「エンディミール様がいていいわけがないでしょう。」

アカディア先生とルゥの決闘が終わった後で、学院長室で私たちの制服の試着を始めようとしたら珍しくルゥが声を荒げた。

「別に知らない相手じゃないんだしよくない?それこそ小さいころにはお風呂に入れてもらったこともあったじゃん。」

「それは小さい時だったから許されたのですよ、エルル様。今の成長されたエルル様の肌を男性にさらすわけには参りません。」

「ほら、ルゥがいるから試着するのは問題ないだろうし、僕は外でゆっくりしているから。ね?」

「そんな気にする必要ないと思うんだけどなぁ。」

私がそうぼやくと、ルゥから気にしてくださいと言わんばかりの目が向けられた。

「それから、あなたも出て行ってください。アカディアさん」

そう言ってルゥは目を向けた先には、こちらに戻ってきてからずっと土下座の姿勢で動かないアカディア先生がいた。

「ですが、私は雷帝様に対し、大変な無礼を働きました。それについての謝罪をさせてもらえるまでは動くわけにはいきません。」

そう言って土下座の姿勢のまま動かないアカディア先生。

あぁ・・・すごく嫌だ。

「私は気にしてないから顔をあげてよ。」

「それでもまだ罰していただいておりません。」

やめてよ。私にとっては舐められるよりもこっちのほうが嫌だ。

こうなってしまった人間はてこでも動かない。

ルゥは怒るだろうけど仕方がないかな。

「それなら罰として、私たちが学院で馴染めるように手伝ってよ、教師として。」

「エルル様!」

案の定、ルゥは私を窘めようとしてきた。

「ルゥは黙って。今回のことはルゥにだって悪いところがあったんだからね。」

「ですが・・・。」

「ですがじゃない。反省して。」

「・・・申し訳ありません。」

「それで良し。」

そう言って、私は落ち込んでしまったルゥの頭をなでてあげる。

実際には、手が届かなくておでこのあたりになってしまったけど。

「ですが、私はルゥさんとの決闘に負けました。そうなった以上、賭けに従って私は教師を辞めなければいけません。」

「そんなの再就職でも何でもすればいいよ。少なくともエンディは私が説得するから。もし、それが気まずいっていうんなら、それも罰のうちっていうことで諦めて。」

『頭の固い人相手はこうして先に逃げ道を塞いであげればいい。』

アストライオが交渉術を教えてくれた時のことを思い出した。

「・・・そういうことでしたら分かりました。私の全力をもってお二方が馴染めるように努力いたします。」

「ありがとう。それじゃあこれからよろしくね、アカディア先生」

「はい、よろしくお願いいたします。エルルア様」

「・・・えっと、様つけるのもやめてね?あくまで私生徒だから。私も敬語練習するし。」

先が少し思いやれるけど、とりあえず学院内でエンディ以外に味方を一人作ることができたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ