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祠(ほこら)

有間の家の居間で3人で意気消沈していた。

莉夏の家の向かいで中はほとんど同じ造りだ。

ただ有間の部屋からだとマンションの全体、共用部の

廊下が良く見える。

なので今夜は有間の部屋から監視する事にしたのだ。

まあ、つまり恐くて夜のマンションに近付けないのだ。

「有間は、なんか見たことないの?」

莉夏が足を無造作に投げ出しながら聞く。

莉夏には昔から勝手知ったる他人の家なのだろう。

「莉夏が建てたマンション出来てから怖くて…夜は

しっかりカーテンしてる。」

「なんで言わなかったの?」莉夏がにらむ。

「たまに京都から帰った時だけだし〜

仕方ないと思って」胸ぐらを掴まれて有間が苦しそうだ。

春は初めて有間の家に入るので、もの珍しくてキョロキョロしてる。

「似てるけど微妙に違うよね?

莉夏の家では裏に蔵があるから、こんなに鬱蒼とした

竹籔ないし。」全く中の様子が分からない竹藪を春が指さす。

蔵への出入り口になってる莉夏の家の居間のガラス窓は

有間の家では、竹籔への入り口になってる。

「昔はちゃんと世話もして筍を収穫してたけど、

父が亡くなってから誰も世話しないしね〜

あっという間にこんなになっちゃったよ。」

有間が少し寂しそうに言う。

「よく2人で筍掘り手伝ったよね〜おじさんの。

そう言えば祠があったよね?

竹藪の中に?」莉夏が思い出したように言う。

「姿がもう見えないから、すっかり忘れてたけど!」

(ほこら)?あの莉夏の部屋の前にあるナガスネヒコの社みたいな?」

「あんな曽祖父が思い付きで作ったもんじやなくて、

もっともっと古いの。ねえ、有間」莉夏に振られて

渋々有間が話す。

「多分この庄屋屋敷ができる前から有るんじゃないかな?

この屋敷作る時に発掘されたらしい。

でもいつの時代の物か分からないし、粗末な祠だったから

そのままにしたみたいだよ。」

あまり興味が無いようだ…おかしい?

いかにも有間が食いつきそうな話なのに!

シャーマンの話の光る浮遊物の時も、有間が大好きそうな話なのに

機嫌が悪くなって違和感感じた。

もしかすると光る浮遊物とその祠には繋がりがあるのかも?

有間は、何か隠してる!

ただの直感だが、正しい気がする。

だが、素直に話す感じはしない。

18で会ってから3年間、だんだん人を見る目も養われてきたと思う。

有間はバカだウツケだと言われてるが、実際は勉強は

出来るし頭も良いのだ。

ただ人に賢いと悟られるのが嫌なのだ。

山背が優秀と期待され追い詰められていった姿を見てたからか?


「ねえ、その祠見たいな。私」春が振ってみる。

「え〜ヤブ蚊の巣窟だよ〜見つけるのも大変だよ〜」

有間がやはり渋る。

蔵の古文書には飛びついたのに、自分の家の謎の祠には

なぜ興味がないのか?

おかしい!

「久々だなあ〜見つけられるなら私も見たいなあ〜」

莉夏は懐かしいようで無邪気に興味を示した。

「祠見つかったら、今夜有間の部屋泊まらないよ、

どう?」春がわざと言う。

「えっ、泊まる気だったの?!」有間がビビる。

「だって夜中の2時だよ〜

もし、なんか…あの首みたいなの飛んで来たら、もう

明るくなるまで莉夏の家まで帰れないよ〜」

「向かいの家じゃん!帰ってよ〜」有間が本気でイヤそうだ。

「昔は良くお泊りしたじゃん!やろうよ、お泊り会!」莉夏もやりたそうだ。

「え〜っ、うそ〜っ!」有間が頭を抱える。

しばらく悩んでたが、

「じゃあ、祠見つかったら、もし幽霊見てもちゃんと

帰ってよ?いい?2人共?」

莉夏と春に確認を取る。

「OKだよ!」春は即答。

「え〜、お泊り会したかったな〜」莉夏は残念そうだった。

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