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真夏の怪談

「莉夏、オーナーなんだから!

行かないと!」春が莉夏の背中を押す。

「ムリムリ〜有間!男でしょ?行って!」

莉夏が有間の背中を押す。

「こんな時だけ!ズルい!

春ちゃん、警官なりたいんでしょ?

頑張って!」有間は春の背中を押す。

「なんでそうなるの〜っ!」春が悲鳴を上げながら

懐中電灯を照らす。


大学4年の夏休み

久々3人は秋津島の莉夏の実家にまた集合した。

莉夏はすでに東京の商社に内定を貰い、有間は大学院へ。

暇なので2人は実家に帰省しに。

春は、まさかの神奈川県警を落としてしまい警視庁と

大阪府警を掛け持ち受験する事になった。

そのため莉夏の実家に試験日までお世話になることに。

ついでに町のドーナツ屋さんで一夏バイトする事にしたのだ。


1年生時の計画通り、屋敷内の母屋、長男宅は壊し

村民マンションを建てた。

ニュータウン計画で村の家を売った村民に入って貰って

今までと変わらず農業を続けて貰うようにしたのだ。

村は20世帯だけだったので、他の20部屋は賃貸にした。

その賃貸部屋のある3階4階で、このごろ幽霊が現れると

噂が立ったのだ。

そこでオーナーである莉夏が帰省したタイミングで

確認処置の要請が、

マンションを任せている有間の母、小夜子から来たのだ。

「莉夏ちゃんももう成人したんだから、オーナーとして

色々やらなきゃね?」

と圧が掛かった。

で、有間と春を巻き込んで幽霊が現れると言う夜中2時にマンション内を探索に来たのだ。

「やっぱり殺人事件があった場所だからかなあ〜?」

有間がビクつく。

「あれは事故だし、山背兄さんは自殺だし、

建て替えたんだから、事故物件じゃないし!

ウチは!」莉夏がかなり苦しい言い訳をする。

「まず、照明器具変えるべきじゃない?

白色灯だから怖いんだよ〜」

春もビクビクしてる。

「仕方ないでしょ!ここらは森が裏にあるから

虫がスゴイのよ!

だから、比較的虫が好かないこの青白い灯りしか

共用廊下に使えないのよ〜!」

言いながら莉夏も震えている。

共用の階段を3階から4階へ上る。

マンションの左端に階段。右端がエレベーターになっている。

階段を上り、ゆっくり端のエレベーターへ向かって

歩いていると、

廊下の突き当りのエレベーターが急に上がってきた。

「誰?こんな夜中に!」春が懐中電灯を構えたまま止まる。

「えっ、誰も大門から入ってきた感じなかったよ?」 

有間は真っ暗な大門の方を手すりから見る。

田舎の夜中の2時に帰宅する人なんていない。

上がってきたエレベーターに人影はない。

「私達、反対から階段上ってきたから、誰も呼んでないよ、エレベーター!」

「イヤだ!怖い怖い〜っ」3人で固まって抱き合った。

勝手に無人のエレベーターが開く。

「ヒ〜ッ!」3人同時に悲鳴を上げた。


目を開けると、そこには小さな男の子が立っていた。

小学校くらいだろうか?

こんな夜中に…寝間着は着ているが…1人で?

これが幽霊?

春が勇気を出して話しかける。

「君は?」

「3階に住んでるよ。あの〜お兄ちゃんお姉ちゃん。

今、何時か分かってる?

ウルサイよ、マジで。」

腰に手を当てて大人みたいにため息を付いた。

そうだ、部屋の前の廊下をキャーキャー言いながら

3階から歩いて来たのだ!

「そうだよね!ごめん!つい怖くて〜」

莉夏が謝る。

「何か探してるの?」男の子が聞く。

「あの…幽霊が出るって苦情が出てるから見に…」

言いにくそうに莉夏が返答する。

「ああ〜な〜んだ、それか!」少年は呆れたように

3人を見る。

そりゃそうだ。

小学生から見たら、もう立派な大人だ。

「恥ずかしいよね〜何が幽霊だよね〜」と春が頭をかいた。

男の子が1番後の有間の後ろを指さす。

「ずっと3人の後ろにいるよ、さっきから」

一斉に後ろを振り返る。

顔だけの男がスッと手すりの外に消えた。

「ヒエエエエエ〜ッ!」

有間が悲鳴を上げて腰を抜かした。

3人ともパニックなり、その場にしゃがみ込んだ。

「ウルサイぞ!誰だ!こんな夜中に!」

ワラワラと部屋から人が出てきた。

「すみません!今、顔だけの男が〜」と3人は言い訳するしかない。

「ねっ、君も見たよね!」同意を求めようと小学生の方を向いたが、

そこには誰もいなかった。





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