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セイメイのセカイ  作者: イカさん
第一章
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第一章 グラスタ村②

イカです。

 第九話




「父上!」

「お父様!」


 勢いよく部屋に入って来た男と女の二人。


 男の方はダンと同じ髪型の短髪で髪色は黒ぽいが光りが当たると見方によっては少し茶色く見える。顔はダンを若くしたような東洋人風の出立ちだ。ダンほど筋肉隆々では無いが、無駄がない引き締まった体つきをしている。


 女な方は赤茶色の髪をポニーテールにしている。

 着物を着ていてもスラっとしているのがわかるくらい理想的な体型だ。胸元からは着物の隙間からチラッと見える豊満な二つの膨らみが見える。

 目のやり場に困るな。


 二人とも20歳前後だろうか。かなり若く見える。



「父上!一人で来るなどどうかしています!」


「そうですよお父様!せめて護衛の方にお声掛けして下さい!」


「そんなに心配せんでも大丈夫だ。ほれ見て見よ。まだ死にかけておる。それにこんな可愛い子供がおるのだぞ。」


「それでも!です!まったく、いつもいつも一人で行ってしまって護衛の人が困っていますよ。」



 はぁ、と女の方が諦めたようにため息をついている。

 男の方はジッと俺を見つめている。だがダンみたいに俺の瞳を見ても特に無反応だ。あれは何だったのか。

 それに、あまり歓迎されていないみたいだな。


 話の蚊帳の外である俺は大分落ち着いてきたしょうまを胸から下ろして、少しづつ体に力を入れて起きあがろうと試みる。

 いつまでも寝転んだままでは何かあっても対応出来ないし、それに多分だが助けてくれたであろうこの人達に失礼かなと思ったりもしていた。



「んっしょっと!」



 そんな俺を見てすぐさま反応したのは若い男の方だった。



「!?何をしている!」



 咄嗟にダンの前へ出ていつでも飛び掛かれるよう体制を低くしている。


 やっとの思いで上半身だけ起き上がりしょうまを抱き寄せた。

 そこで気が付いたのだが、俺もこの人達と同じような黒色の着物を着ている。しょうまも白色と紺色が交互に入っている着物を着ている。



「大丈夫ですよ。ダンさんが仰っていた様に体を起こすだけでも一苦労です。それに・・・助けて下さったのですよね?なら、お礼を言いたくて。・・・ありがとうございました。」



 そのまま頭だけを下げて感謝を伝える。

 記憶は曖昧だが、あの時最後に見た青年に似ているから助けてくれたのだろうと思った。

 それにそんな敵意剥き出しのままにされては話も出来ないだろうし、何よりしょうまが怖がる。


 数秒の沈黙。

 最初に口を開いたのは渋い声の主だった。



「ウライ、それにミア。もう良いだろう。まずは座りなさい。」

「すまないカイト殿。この二人は儂の子だ。息子がウライ、娘がミアだ。ほれ、二人とも自己紹介せい。」


「・・・ウライだ。」


「ミアです。取り乱してしまい申し訳ありません。」



 二人共ダンの左右の斜め後ろに座り、それぞれ名乗った所で改めて俺も自己紹介をする。



「藤沢かいとです。こっちは息子のしょうま。改めて助けて下さりありがとうございました。しょうまも、ほら、お名前言えるか?」


「うん。しょうま、です。」



 少し緊張しながらペコリと挨拶出来た息子に口元が少し緩み頭を撫でてあげる。

 それから目の前の三人に視線を戻した所でダンが話を切り出した。



「では先ず、お主達の事を教えてはくれまいか?何処から来てあの森で何をしていたか。」


「・・・わかりました。でも上手く説明出来る自信がないですが・・・」



 さて、どう説明したら良いのやら…。




 *****




 一通り説明が終わる頃にはしょうまは舟を漕ぎ始めていた。

 俺が起きなくてずっと気を張っていて疲れたのか、この話しが退屈だったのか。家にいた頃などいつも構って欲しいアピールをしてきたのだが、この状況で少し成長したかな?

 お利口お利口と頭を撫でてあげる。



「・・・俄には信じれんが・・・・・・むぅ・・・なるほどな。」


「・・・・・・父上。私は信じれません。」


「ウライ、お前は黙っておれ。儂が話しをしておる。」


「・・・・・・・・・はい。」



 ウライはまったく納得していない様子だったが、ダンは有無を言わさず黙らせた。今までのやり取りから物凄く厳格なお父さんなんだなぁと思って感心していたが、やはり相当厳しく育てているようだ。



「わかった。一先ずはその話しを信じよう。では儂からも少し話そうか。お主達を襲った獣、名を"厄災の獅子"と言う。」


「・・・厄災の獅子・・・」


「そうだ。そもそもカイト殿が動けなくなり瀕死に陥った原因はそやつの毒だ。」


「えっ!毒!ですか?俺は追われていましたが、明確な攻撃を受けたのは無かったはずですが・・・。」


「いつかはわからんが、多分やつと遭遇するかなり前ではないかと思う。あやつは獲物を見つけると気付かれぬように遠距離から毒針を飛ばして目印を付けておく風習があるのだ。後は毒が回るまで時間を待ってから一気に攻めに出てくるんだ。」


「・・・なるほど。何となく心当たりがあります。・・・昼間に首に一瞬痛みを感じた時がありましてね。その時は気のせいだと思っていましたが・・・まさかアレが毒針だったとは。その毒が効いてきた時はもう本気で死んだと思いましたよ。」

「ウライさんが助けてくれたんですよね?本当にありがとう!」


「俺だけでは無い。父上とイミカもいた。」


「ダンさんも居たのですね。ありがとうございました!イミカさんという方にも是非挨拶出来る場が欲しいですね。」


「概ねそんな所だ。イミカにはまた伝えておこう。」


「あっ、変な事聞きますが、"厄災の獅子"と戦っている時になんか地面陥没しませんでした??それに弓矢が光って飛んでいったり剣が光っていたり・・・。俺意識が朦朧として夢だったんじゃ無いかって思ってたんですけど、実際はどうだったんです??」



 あの時の記憶が鮮明に思い出されてきて、わからない事がたくさん溢れてきた。



「カイト殿落ち着いて。順番に説明しよう。」


 ダンは冷静な声色で俺を宥めた。





最後まで読んで下さりありがとうございます。


いろいろとご都合主義です。どうかご理解下さい。


藤沢家の名前は全て平仮名です。読みづらいかもしれませんがご了承下さい。

別視点からではカタカナになっています。


投稿は不定期ですが温かい目で見守ってくれると助かります。

では、次回もお楽しみに。


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