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セイメイのセカイ  作者: イカさん
第一章
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第一章 始まり②

イカです。

 第二話



 太陽も西の空へ沈み始め影達が背伸びをするように伸び広がる頃、我が家の玄関に3人の影が映り込んでいた。



「「「ただいまー!」」」


「おかえりなさぁい」



 元気良く帰って来た事を伝える3人に対して間伸びするようなおっとりした声で出迎えてくれる1人の女性。

 俺の嫁、〈はる〉。

 ボブカットにした黒髪で身長は150㎝くらいなので俺を少し見上げる形になる。

 瞳はごく普通の茶色。



「手を洗って着替えてきなさいね。もうすぐご飯よぉ」


「「はーい」」


「俺はシャワーを浴びてくるな」


「はいはい。今日のご飯はお鍋よぉ」



 そんな声を背中に浴室を行くと、


 ん?



「はるー!浴室に洗濯物まだあるよー」


「えっ!ごめーん。しまっておいてぇー!」


「はいはーい」



 やれやれ。仕方がないな。







「「「「いただきまーす!」」」」


 ダイニングテーブルに簡易ガスコンロを置いてその上に大きな土鍋がのっている。シンプルに昆布だしで具材は、椎茸キャベツ長ネギ木綿豆腐に鶏肉だ。これをポン酢で食べるのが藤沢家の定番鍋である。



「にくにくー!」

「あ、しょうま...ズルい」



 しょうまがいち早く鶏肉をゲットしようと椅子から立ち上がって箸を伸ばすが、



「こらしょうま、お行儀が悪いから座って下さい。取ってあげるからお茶碗頂戴ね」



 はるに怒られる。



「それにお肉だけじゃなくてお野菜も食べて下さいね」

「ゆかりも取ってあげるから待っててね」


「はーい...」

「はい」



 ちょっとしょんぼりするしょうまが可愛くてつい頬が緩んでしまうな。

 ゆかりはお姉さんだからか少し我慢したのだろう。もっと我儘言っても良いのに。

 さあ俺も食べようかね。



「んーやっぱりこの季節は鍋だな。美味い」



 夜はすっかり冷え込んで息が白くなってきたこの季節。やっぱり鍋だな。次はキムチ鍋とか坦々鍋とかも期待したいが...まだ子供達には早いか。後5年は我慢だなぁ。







「おっと、もうこんな時間か。父さんそろそろ仕事の準備するね」


 鍋と白米を胃袋に詰め込んで食器を流し台へと運ぶ。

 軽く洗って食洗器へ突っ込んで、



「はる、後頼むわ」


「はいはい、水筒はいつもの所にあるからね。帰りはいつもの時間?」


「そうだな。8時前には帰ってくるからそのまましょうまを幼稚園に送って行くわ。9時過ぎには布団入るね」


「宜しくね」



 そんないつもの会話をしていると、



「父ちゃんもう行っちゃうの?」

「父さん早く帰ってきてね」



 と、送りたいからかかまって欲しいからか慌ててご飯を食べ始める子供達。喉に詰まらせるなよー。



「まだ準備に時間かかるからゆっくり食べなよ」



 そう言ってやってもまだ急いで食べようとする2人に後ろ髪を引かれつつ準備の為に自室へ行き、作業着を着てリュックの中身を確認して、水筒を持ってハンカチをポケットに入れて、あとはジャンパーを着てと。よし。

 あとはみんなにいってきますを言うかとリビングのドアを開けて、



「じゃぁ父さんは...」

「とうちゃん、これみて!これあけてー!あかないの!」



 早々にご飯を食べ終わったしょうまがドタドタと勢いよく俺の前まで走ってきた。

 いつものように何かと理由をつけて引き留めようとしてくるのかと思っていたのだけど....



「これは、何だ?」



 なんだろう。こんなもの家にあったかな?


(黒い箱?)


 俺の片手の上に乗るくらいの小さな黒い木の箱。よくよく見ると消えかかっている絵みたいな薄い線がある。星形?かな?

 真っ黒な下地の上に何かの色で描かれたのだろうが、かなりの年月が経ったのか既に色は無くその描かれた跡が残っているだけだ。

 だいぶ古臭い感じからして、どこかで拾ってきたのかと思いしょうまに視線を合わせて、



「しょうま、これどこから持ってきた?」



 そんなしょうまはキョトンとした顔で



「んーおじいちゃんのところー」



 と、何でもない様子で答えた。

 おじいちゃん?俺の親父の事か?ってことは仏壇の...



「おじいちゃんて、おじいちゃんの写真があってチーンってする所の事か?」


「そう!」



 しょうまは言いたいことが伝わってとても嬉しそうにしている。


(仏壇ねー...。いやいや。確かに古い仏壇だけども俺だって掃除とかしてるしそもそもこの新築に引っ越す時に大きさ的にバラせる所はバラしてるからこんなものあったら気付くはずだが...)


 そんな風に少し考えて、はるにも聞こうと視線を送ってみるも



「あらー、そんなのあったかしらねー」



 と呑気な声が台所から聞こえたのですぐに黒い箱に視線を戻す。


(まぁ時間もないし中身だけ確認して仕事に行くかね)


 と、この時は呑気にもそんな事を考えて箱に手を伸ばしてしまった。

 それが一家を巻き込むとんでもない物語の始まりだったとは知らずに......。





最後まで読んで下さりありがとうございます。


いろいろとご都合主義です。どうかご理解下さい。


藤沢家の名前は全て平仮名です。読みづらいかもしれませんがご了承下さい。

別視点からではカタカナになっています。


投稿は不定期ですが温かい目で見守ってくれると助かります。

では、次回もお楽しみに。


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