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隣の君に花束を  作者: 藤咲 乃々
第2花 私を見つけて
11/11

お誘い

それはこの花屋でバイトをしないか、というお誘い。


私の答えは決まっていた。

もう一度この店に来ることが出来たら、手伝いがしたいと私から言うつもりだった。


売り物であるバラを無償で貰ってしまった申し訳なさと、助けてもらったお礼。


そして役に立たないかもしれないけど、私の他にも悩んでいる人がいるなら力になりたいと思った。


「やりたい!こんな私でよければよろしくお願いします」

「助かるよ。俺は部活が忙しくて少ししか出られないから」

土日祝はお客さんも多いが、花白さんがほぼ1人で対応しているらしい。


「中川さん、今週の日曜日からお願いしてもいいかな?」

「はい!」


初出勤の日にちも決まり、仕事内容を大まかに教えてもらった。

私の仕事はレジ打ち、花束のラッピング、電話対応。


「あと、店では私のことを苗字で呼ばないで」

「そうなんだ。なんて呼べばいい?」

「美怜でいいよ。“花白”って苗字が嫌いなの」

花白って苗字は可愛くて羨ましいくらいなのに、なんでだろう。


いきなり呼び捨てはハードル高いけど、

「分かった。美怜って呼ぶね」

「うん。じゃあ私も変えた方がいいか...」


美怜は少し考え込んで「改めてよろしくね、翠」と微笑んだ。

人に名前を呼ばれるのは悪いものではないと思った。

特に美怜は笑った顔が美し過ぎて魅入ってしまう。


「いいな、俺も混ぜてよ。仲間外れで寂しいじゃん」

「うーん、呼び捨てに抵抗あるから夏希くんで」

呼び方を決めるなんて、なんか照れ臭い。


「あ、夏希くんさ、」

「ん?」

そうそう、聞きたいことがあったんだ。


「昼に呼び出されてたじゃん。何だったの?」

今日の学校でのこと、どうなったかまでは知らなかったから気になっていたのだ。


「あー、告白されたね...」

予想通り、告白だったようだ。

夏希くんは美怜の方をチラッと見た。


「断ったよ」

「ふーん、そう」

美怜は私には関係ないという感じの返事をした。


みんなが黙ってしまい気まずい空気が流れる。

その空気を破ったのは美怜。


「翠これ。ここで着るエプロン。日曜日忘れず持ってきてね」

「ありがとう!頑張ります」

美怜が胸当てエプロンをくれた。


黒地で胸に白い糸でliebeと刺繍が入っている。

貰ったのは嬉しいけど、大人っぽいので私に似合うか不安だ。


時間ももう遅いので解散になった。


薄暗くなった道はいつもなら少し怖く感じる。

が、liebeで働けること、美怜達と仲良くなれたことが嬉しくて全く気にならなかった。


クサノオウ…“私を見つけて”“思い出”

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