第六十話:関係性
「どうしたんだ、ボーッとして?」
「ふぇ?」
暮葉さんに後ろから声をかけると、少し驚くようにして振り返った。
「そんなに驚くことでもないだろ」
「ははっ…確かに」
「暁さんのところ行かなくていいのか?」
「えぇ、あの子のことだから、また個人的に話しをしに来ると思う」
「あの子のって、知り合い?」
「修学旅行の時に幼馴染の話したでしょ、それがあの子なの」
「あー、確かにそんなこと言ってた気が…」
「私の家と同じ感じで、あの子の家も結構お金持ちだったのよ」
「じゃあそのつながりで幼馴染に」
「そう。その頃の私はそんな家のことなんて気にしてなかったけどね」
その頃の私ってことは、まだ幼いころに暁さんとは別れたのだろうか?
俺たち二人と、暁さんに集まったクラスメートたちの耳にチャイムの音が響き渡った。
「あっ、授業終わった」
「そうだな」
* * *
「ねぇさっちゃん!」
「!…ビックリさせるなよ」
昼になり一緒に弁当を食べに来たようだ。
「なんで暁ちゃんと話さなかったの?」
「人があれだけ集まってたら行く気も失せるだろ」
「そうかなー?」
「すまん、遅れた!」
七海と二人で会話をしていると、新しいペットボトルを持った佳ちゃんが帰ってきた。
「おう、さっさと昼食べよう」
「せやな!いただきます!」
弁当箱を広げた瞬間、佳ちゃんは思い出したように叫んだ。
「せや、暁さんも一緒に飯食わんか?」
「はい、是非ご一緒させてください」
佳ちゃんがそう言うと、綺麗な白い髪を靡かせながら、暁さんがこちらへ向かって歩いて来る。