第五十四話:満点の星空
「はぁ~いい湯だなぁ~」
「ですねぇ~」
湯にどっぷりと浸かり、二人しかいない空間にそう呟く。
湯に浸かり、まったりとしていると、一つ壁の向こうで声が漏れた。
男性のような声だった。
「ん?なんか盛り上がってるねぇ」
暮葉ちゃんも気付いたのか、そう聞いてきた。
「楽しそうだね、あっちも人がいないのかな?」
「そうじゃないかな~」
久しぶりの温泉が気持ちよかったのか、声が抑えめになり、まったりとしている気がする。
暮葉ちゃんも、トロンとした声になっていたが。
* * *
「まだ寛ぐ?」
そう暮葉ちゃんが私に聞いてきた。
「うん、貸し切りだしね!」
「そっか~、じゃあ私も~」
体を洗い終わった暮葉ちゃんが、私の浸かっている湯船に入り込んでくる。
この浴場はかなり広く、露天風呂やサウナなどもあり、完全に銭湯といった感じだった。
「一緒に外行かない?」
暮葉ちゃんと少しの間、雑談を交わした後にそう言った。
「いいね!行こ行こ!」
元気よく暮葉ちゃんがそう返した。
「う~…結構寒いね」
「そうだね、早く湯船に浸かろ」
ちゃぷんという音を立てて、熱めのお湯に体が吸い込まれていく。
真っ黒に染まった空には、幾つか光が輝いていた。
「おぉ、綺麗だね」
「そうですねぇ…日本の心を感じますなぁ」
「そうなのかな?」
「日本の心とやらを知っている私が言うんだから間違いない」
「いや、暮葉ちゃんの部屋だけ明らかに別世界だったじゃん」
「あははー、家全体を見れば…ね」
冷たい風と熱いお湯を同時に楽しみながら、星空を眺める。
「ずっとこうしていられる気がするなぁ」
「確かに~」
それから間もなく、隣の方から声が聞こえた。
「ひゃっほぅ!」
その後、ザバーンという音が聞こえた。
「あれって…」
「多分佳ちゃんだね」
「わかりやすいなー」
「ねー」
男湯と女湯は竹のような壁で阻まれており、姿は見えないが、声はハッキリと聞こえるという状況だ。
「だから危ねぇって言ってんだろ!」
さっちゃんの声が聞こえた。
多分、佳ちゃんの飛び込みについての返しなのだろう。
「おーい!聞こえるー?」
いきなり、暮葉ちゃんが大きい声でそう叫ぶ。
「ん?その声は暮葉か?」
「もう結構時間経ったのに、まだいたんだな」
「いるよー!」
壁を一枚隔てたまま、会話を続けた。
どうもLrmyです。
なんか、暮葉の会話の書き分けが難しく、男女で会話を分けたことをお許しください。
なんで七海と暮葉の声の感じが同じなんでしょうねぇ?
昔の自分は何を考えていたんでしょうか?
昔の自分の安易な発想で、現在の自分が苦しんでいます…
以上で話を終わりますー。ではでは~