第五十一話:頼れる友人
「このプリント大事だから、すぐに提出するように」
担任がそう言うと、プリントが前からまわってきた。
内容は、『学習旅行の行き先について』というものだった。
『今、こんなプリント配られても、行くのはどうせ冬とかになるんだろうな』とか思いながらボーッとそのプリントを眺めていると…
『5月末予定』と下の方に小さく書かれていた。
って、1カ月も無いのかよ。
「旭、修学旅行ってこんな早いもんなんか?」
後ろの席に座っている佳ちゃんに、そう質問される。
「いや、俺も冬とかになるだろって思ってたところだよ」
「やっぱ普通じゃないんか」
佳ちゃんは関西弁からも分かるかもしれないが、中学3年生の時に関東方面へ引っ越してきたらしいので、感覚が関西と違うと思っていたのだろう。
そんなこと全然ないのだが。
「じゃあ早めに準備せなあかんなぁ」
「そうだよな、必要なものって言ったら…」
「トランプとかやな!」
「遊ぶ前提かよ…」
プリントには一泊二日と書いてあったので、佳ちゃんの反応も間違ってはいないのかもしれないが
「とりあえず、一日跨ぐから、着替えとかはいるだろうな」
部屋割りとか、班決めとかはどうなるのだろう。
分からないことが多いが、1カ月後までに間に合うのだろうか…
* * *
授業が終わり、クラスメイトは部活や帰宅の為に教室を出ていく。
俺は帰る前に雅の所に行こう、修学旅行のことについても知りたいし。
ポケットに入っていた鍵をドアに差し込み、左に回転させると、ドアはガチャリと音を立てて鍵を開けた。
「おぉ旭、また来たのか」
「確かに、ずっと来てるな」
「屋上はいい所だからな、ここへ来たくなる気持ちすげぇわかる」
そうだ、修学旅行のことについて聞くんだった。
「雅?今日、修学旅行のプリント渡されなかったか?」
「渡されたけど?それがどうかしたのか?」
「いやぁ、大した話でもないんだが、行く日程が急すぎないか?」
「それなら、どんな準備をすればいいかを考えさせる目的があるって先生が言ってたぞ」
「なんでそんなこと知ってるんだ?」
「俺って虐められてるって言ったろ、だから、先生とはよく喋るんだよ」
「どんな準備すればいいとかわかるか?」
「質問攻めだな…まぁいいけど。準備は、着替えと財布とかその辺持って行っとけば良かったはずだぞ」
「それだけでいいのか、それなら1カ月なくても間に合うな」
「殆ど何もいらないからな」
結局、どこへ行くんだろう。楽しみと不安の感情が沸き上がってきた。
でも、楽しみの方が強いな。
どうもLrmyです。
前回が旭視点だったのに、今回も旭視点だったことに関しては申し訳ないと思っています。
結構書いてから、「前回旭視点じゃん!」って気付いたんで、変えるのめんどくさくなってしまって。
次回は七海視点になるのかな?
視点は作者の気まぐれで決まるのです!ではでは~