第五十:昔話
「昔と前々雰囲気変わってないな」
「そうだね!」
小枝や葉っぱを踏みながら、先へ先へと進んでいく。
「ねぇさっちゃん。一昨日と昨日の放課後何してたの?」
「中学校の友達と会ってたんだ」
「へぇ…」
「なんか問題でもあったか?」
「ううん、特にない!」
そう言うと、七海は走って行ってしまった。
「おい!走ると転ぶぞ!」
そう叫ぶと、俺は、七海の後を追った。
* * *
「着いたー!」
「そんなに時間かからなかったな」
「そうだね」
昔の記憶だと、もっと時間がかかっていたような気がするのだが。
歩幅とか体力が変わったからなのだろうか?
それにしても、昔と殆ど変わっていないな。
幾ら俺たちが成長したからといっても、木々や風景は小さく見えることは無かった。
「ここでいいか?」
「うん!多分ここが頂上だろうしね!」
カバンの中からブルーシートを取り出し、大きく広げる。
その後、靴を脱ぎ、ブルーシートの上へ座り込んだ。
「じゃーん!今日のお弁当はいつもより頑張って作ったんだよ!」
そう言うと、七海はいつも学校で使っている弁当箱より一回り大きいサイズの弁当箱をブルーシートの上に置いた。
「「いただきます」」
二人同時にそう言うと、同じ弁当をつつき始めた。
* * *
「ご馳走さまでした」
「お粗末様でした」
弁当は思ったよりも多く、二人で食べても完食するのに時間がかかってしまった。
「やっぱり七海の料理は美味いな」
「そうかなぁ、私はさっちゃんの方が好きだけどな」
「そうか?じゃあ、今度作ってやるよ。今日のお礼も兼ねてな」
「本当!やったー!」
その場でぴょんぴょんと飛び跳ねる七海。
「そんなに動いたら危ないぞ」
「大丈夫っ!って、うわぁ!」
七海が跳ねる瞬間に足を滑らせて体勢を崩してしまった。
「っと危ねぇな!」
すぐ隣に居たから、ギリギリで七海の身体を支えることができた。
「大丈夫か?」
「う…うん……」
「ったく、気を付けろよ。この辺は湿気てて滑りやすいからな」
「わかった…」
七海は分かりやすくしょんぼりとしていた。
「弁当は食べたけど、これから予定とかあるのか?」
そう訊くと
「無いけど?」
と返された。
「今日はさっちゃんとお話しするためにここに来たんだよ」
「話なら常日頃からしてると思うが」
「いいのいいの!気にしない!」
「じゃあ折角だから…」
俺は昔話をした。
どうもLrmyです。
昨日はなんだか短編を書きたくなったので、ツキアカをお休みさせていただきました。
『悪の存在しない世界』は、かなり考えが詰まっているので、良かったら考えながら読むと面白いと思います。
特に力を入れているのは、世界観です。
以上で後書きを〆ます。ではでは~