第四十八話:小さな一歩
「よし!」
朝の早くに学校に着いた俺は、昨日の昼に購買で買ったパンを一口齧った。
パンを齧った瞬間、朝特有の肌寒い風と熱く燃え滾った心が全身に広がった。
早く来すぎたので、門が開いたばかりの時間であったために、教室どころか学校に人が居る気配す感じられなかった。
職員室なんかに行けば誰かいるのかもしれないが、教室棟と事務棟は少し距離があるので、確認に行く気は無い。
誰かが来るまでパンを食べて待つことにしよう。
* * *
先ず教室に入ってきたのは、俺のことを虐めてくる男子グループだった。
「…でさー!」
「マジー?w」
「って、お前雅じゃん!」
「こんな時間から何やってんのーw」
教室に入ってきた瞬間から小馬鹿にするように嘲る男子。
これから朝の部活にでも行くのだろうか、全員が運動服のような恰好をしていた。
でも大丈夫だ。俺には強い味方がいるから。
「少し話がある」
「なにー?俺らはお前と話してる時間無いんだけど?お前と違って暇じゃないんだわー」
「それなーw」
「いいだろ、少しで終わるんだ」
俺の話を聞く気は無いらしく、教室にズカズカと入っていく。
「金輪際、俺には関わらないでくれ!」
「はぁ…?」
心底つまらなさそうな顔をして、こちらを見てくる男達。
「俺だって辛いことをされたいと思っているわけじゃないんだ!だから、だから…」
「あーあ、冷めたわ。行こうぜ」
「それなー」
さっきまでの笑顔は消え失せ、睨むようにこちらを見つめ、教室を去って行った。
* * *
「はー…疲れた…」
俺はいつも通り、屋上へやってきていた。
外側からも鍵をかけられるので、ここへ入ってこれるのは旭以外にはいない。
今日の俺の気分は、今日の空模様と同じで晴れやかであった。
なんだか、このまま眠ってしまえそうな程に、追い詰められている感覚が無くなった。
その時、扉がギィと音を立てて開いた。
「よぉ、雅」
そこには案の定、旭が立っていた。
「旭…昨日の今日で来たのか?」
「まぁな」
旭が「それより」と言葉を置いて話を続ける。
「なんだか、昨日と雰囲気が違う気がするんだが…?」
「そうか?まぁ、そうだろうな」
俺は昨日より、一歩だけ進むことができた。
どうもLrmyです。
雅君が虐められている理由について、少しだけ説明をしておこうと思います。
なにせ、本文で語らないのでね。
雅君は昔から勉強や運動ができ、顔もとても整っていました。
女子からかなり好感を得ていた雅でしたが、それを嫌った男子が、雅に気付かれないように悪評を流しました。
そこから流れで雅を下に見る人が増えていき、虐めといえるような行動が行われるようになった、というわけです。
高校に入っても、中学が同じ奴や高校に入ってから雅を良く思わなかった人が、雅を陥れるようなことをしたんですね。
なので、女子からの虐めは殆ど無いです。
以上で後書きを〆ます。ではでは~