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第三十一話:感謝のしるし

「なら良かった…」


さっちゃんのその完全に安心したような声を聴いて、私は少し罪悪感を覚えた。


「さっちゃん…ありがとう!」


精一杯の感謝を込めて、とびっきりの笑顔で感謝を口にする。


「ん、あぁ…気にすんな」


多分さっちゃんは見返りを求めておらず本当に私の為だけに、ほぼ無条件で助けてくれていたのだろう。


だからこそ感謝の言葉を贈られたときに少し戸惑いの時間があったんだ。


……本当にさっちゃんは優しいな…




私が起きてさっちゃんが帰れない理由もなくなったので、帰らせることにした。


「さっちゃん、本当にありがとう!」


「気にすんなって、それよりもまたなんかあったらすぐ言えよ」


ガチャリとドアを開けて自分の家に帰っていくさっちゃんを見届けた後、鍵を閉めて私も学校の準備をすることにした。


しかし、今から準備をするとかなり時間が余ってしまう。



…そうだ!さっちゃんへ感謝の気持ちとして何か作っていこう!


今から買い物に行く時間はないので冷蔵庫にあったチョコレートを使い、チョコムースを作ることにした。


牛乳や砂糖、クリームなどもあったので丁度良いだろう。



そうと決まったら早速作り始めるとしよう。


前に作ったことがあったのだが、そこまで時間は使わなかったし、今から作り始めても余裕で間に合うはずだ。


スマホでレシピを見ながら、手順通りに料理をしていく。


少しずつ完成に近づいていく感じが、パズルのように感じてかなり楽しい。


昔からよく母親を手伝っていたのだが、一番楽しかったのは料理だった覚えがある。


掃除や洗濯も嫌いではないのだが、やはり達成感が違う。


ゴミ屋敷みたいなところを掃除したら、少しは感想が変わってくるかもしれないが…


生憎あいにく私の家は普段から掃除をしているため、ホコリなどは基本たたないのだ。


チョコを冷やし、固める工程で、自分の朝ご飯と昼食用の弁当を作る。


野菜やある程度のおかずは残っているので、すぐにできるだろう。



「よし!」


朝ご飯を食べ終え、チョコレートも固まったので、早速学校へ行くとしよう。


さっちゃんはまだ来ていない時間だろうが、少し待つだけなので問題はないだろう。




学校に着くと、私の席の辺りで暮葉ちゃんがウロウロしていた。


「おはよー暮葉ちゃん!」


「あっ!なななおはよう!」


私が来るのを待っていた様子の暮葉ちゃんは、私が学校に来てホッとした様子で胸をなでおろした。


「昨日は大丈夫だった?」


「うん!全然大丈夫!」


元気であることを証明するために、その場でピョンピョンと飛び跳ねる。


「元気そうでよかった~」


かなり心配してくれていたみたいだ。


佳ちゃんからも暮葉からもスマホに心配の着信が入っていたので、『いい友達を持ったな』と思っていた。

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