石投げて見えぬ先
見違えるほどに澄んだ滝を見下ろして
隣に立っている父がはにかんだ
丸くなった石を一つ掴めば俺に渡してくる
塩水を払って石を眺める
何の変哲もない普通の石だ
投げてどうなるのかは分からない
分かりようがない
父も同じような石を持っていた
勝負を仕掛けてくる
結果はお互い分かりようがないのに
そう言っても父は聞く耳を持たない
掛け声とともに同時に石を投げ捨てる
どうなったのかは誰も分からない
塩水が溢れ出す靴で
これ以上先には進めない
結果を知るのは石だけだろう