第八回目 二つの努力
第八回目だ。
さて、あなたは努力をしているだろうか?
おそらく、ほとんどの人が努力をしていると答えるだろう。中には、「自分は努力が足りない」と言う人もいるかもしれないが、足りないだけだろ? 努力の第一歩は、ちゃんと踏みしめているはずだ。
でも、あなたの努力は、正しい努力だろうか?
間違った努力は、簡単に裏切る。でも、正しい努力は、絶対に、あなたを裏切らない。
ここで問題となるのが、正しい努力とはいったいなにか? ということだが、それは私にはわからない。きっと、誰にもわからない。それがわかったら、誰でもプロの作家になれる。それは困る。プロの作家になるのは私だけでいい。だから、たとえ「正しい努力」を知っていたとしても、私は口外しない。私は口が堅い。秘密は墓場までちゃんと持って行くタイプだ。
話がそれたので戻す。
小説家を目指す上で、二つの努力が必要となる。みんな意外と、それをちゃんとわかっていない。「私は努力をしているのに報われない」と思っているそこのあなた。あなたはきっと、一つの努力しかしていない。
一つ目の必要な努力は、「面白い小説を書く努力」だ。「自己を高める努力」と言ってもいい。この努力をしている人は多い。というか、小説を書いている人は皆、この努力をしているはずだ。とにかく小説を書くことも努力だし、たくさん小説を読むことも努力だろう。旅をしたり、恋人とデートしたりすることも、小説を書くための努力に入るだろう。
次に、二つ目の努力。それは「自分が書いた小説の素晴らしさを他の人に認めさせる努力」だ。「周りに働きかける努力」と言ってもいい。これをしていない人が、実は多いのだ。小説は『作品』であると同時に、『商品』なのだ。
そこら辺の道ばたに商品を置いても売れるわけがない。小売店と交渉して、店頭に置いてもらい、さらにお客様が買ってくれるように、商品の素晴らしさを伝える努力をする。それをして初めて、商品は売れるのだ。
あなたはちゃんと、見えるところに商品を置いているだろうか?
あなたはちゃんと、自分の商品の売りは何なのか、伝えているだろうか?
あなたはちゃんと、市場のリサーチをしているだろうか?
あなたはちゃんと、需要と供給を考えているだろうか?
あなたはちゃんと、周りの人間を巻き込んで小説を書いているだろうか? たった一人で小説を書いていないだろうか?
趣味で終わらせるなら、一人でいい。
でも、プロを目指すなら、一人で書いていてはダメだ。
あなたはもっと、自分の作品の素晴らしさを他人に伝える努力をするべきだ。あなたはプロになるのだから、一つの努力では、足りないのだよ。
小説は書いて終わりじゃない。書いてからが、勝負だ。
第八回目まとめ
「努力・友情・勝利」